ダッシュ!四駆郎に学んだ漫画内美学
これまではエッセイ的な記事が中心でしたが
たまにはほかの作品を引き合いにした漫画論なども語らせてください
みなさん ミニ四駆はご存知でしょうか
「ダッシュ!四駆郎」で1次ブーム
「爆走兄弟レッツ&ゴー!!」で2次ブームを起こしたタミヤのアレです
何年か前から3次ブームと言われてますが
個人的にはコロコロで全面タイアップとアニメ化してないのに
ブームと呼ぶのは抵抗があるので 僕は違うと思ってるんですが
まあその解釈はいいとして…
僕はレッツ&ゴーの第2次ブーム世代なのですが
当時いろいろマシンの改造について調べていると疑問が湧いてきました
「なぜこのキャラたちは 大体いつも
ノーマルセッティングで走ってるんだ?」と
ミニ四駆はもともとオフロードを走るものだったんですが
サーキット走行のレースが主流になっていき
それによってグレードアップパーツという
外付けのパーツによって性能を強化する流れが出来ていきました
しかしアニメや漫画のマシンがそれをつけていることはほぼありません
(ミニ四ファイターVなどの技術指南マンガは別として)
つけた方が性能が上がるし 現実のミニ四レーサーたちはみんなやってるのに
そんな疑問を解いてくれたのが四駆郎でした
ミニ四駆にすっかりハマっていた僕は昔のミニ四駆関連の書籍も
古本屋で購入していました
(児童書や児童漫画は基本 流通が少ないので絶版書の手に入れづらさが
エゲツなく 古本で買うしかなかった)
四駆郎もその一環で買っていたのですが
第4巻に衝撃的なシーンがありました
四駆郎たち「ダッシュ軍団」がFF(ファイティングファーマーズ)という
田舎の農村少年団のチームと戦うエピソードです
FFは監督である村長がスーパーコンピューターを導入し
「勘と経験に頼る時代は終わった」と合理的な指示を出して
勝とうとします
(スパコンあればどんな無茶もきくだろうみたいな描写が多い時代でした)
村長はレース中にダッシュ軍団のマシンが
ローラーをつけていないことに疑問を持ちます
(ローラーとはフリー回転する円盤みたいなもので
マシンの側面につけてコース壁との抵抗を減らすものです)
あった方がスムーズにサーキット走行できるのにつけてない…
スパコンで合理的な考えをしている村長にはそれが理解できません
そこで四駆郎に直接質問します
「すまん、きみ ダッシュ軍団のマシンはどうしてサイドローラーを使わないんだ?」
「だってあれかっこ悪いじゃん」ですよ!!!
すごくないですか! 正確には知らないけど描写からして
この頃タミヤはスピードローラーを販売してたはずなんですよ
それを「かっこ悪いから」で主人公に使わせないという…
しかし冒頭の僕の疑問もこれで解決です
「かっこ悪いから」だったんですね!
たしかにビークスパイダーが真っ黄っ黄の
エアロハイマウントローラーを
つけていたらあまり脅威は感じません
しかしこれはひとつの漫画内で収まる事ではありません
この概念はすべての漫画 ひいては人生においても大切なことです
たとえば 漫画のキャラを作るとき
強烈なキャラクターを作ろうとすると「そのキャラが何にこだわっているか」は大きな武器になります
ベタな例だと「盗みはするが殺しは絶対しない怪盗キャラ」とかですね
こだわりがあるゆえにピンチにも陥るけど それでもポリシーを貫くから
スリリングで面白くなるのです
さっきの四駆郎の例でいうと
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