届け 届け 『希望』の音*アニメ『アイドルマスター ミリオンライブ!』ネタバレ感想
2023-10-01 先行上映後本放送前の感想です。
ブログに書いたものを転載します。
アニメ『アイドルマスター ミリオンライブ!』を先行上映
で全て見てきた。端的言って、この作品を最後まで生きて見れた事は幸福であった。
良かった!
とにもかくにも良かった。これに尽きる。いやもうこれに尽きるんすよ。こんな幸福な作品ある!?っていうか。テーマとかクオリティとか『ミリオンライブ』のアニメとしてとかいろんな意味で良かったんすよね。これほど良い作品を見れたこと、作ってくださったアニメスタッフには感謝の念しかない。
・何が良かったか?
それは見ていて漠然と感じていたことだがきっとバランス感覚とクオリティそして作品に対する愛、これに尽きる。それら三つの要素が非常に高いレベルで纏まっていてこの作品は素晴らしい作品となった。では、それが一体どういうことか一つ一つ見ていこう。
『ミリオンライブ』をアニメ化するということ。
ミリオンライブを知っている方なら、この作品というかコンテンツはアニメ化が容易ではないモノであることは分かるはず。一口に言っても39人のアイドルたちを1クールで魅せなければならない。それが出来ていたかかは置いておいて、そういう命題を背負ったコンテンツであるということは分かるはず。それをできる限りの力を振り絞って、やってのけたのよこの作品は。いや担当の出番が少なかったとか不満が出るのは分かる。このアニメ化で切り捨てられたんじゃないかと。でも1クールという限りある尺の中で十分にやってのけた俺は思うのだな。そう『ミリオンライブ!』のアニメ化として出来ることをやった、その意味において100点満点。そこを俺は評価してる。
1クールのアニメ作品として見たときのクオリティの高さ。
昨今のアニメは大人向けの作品は話数を圧縮して、脚本面でも画的な面でも、一話一話のクオリティを高める傾向にある。その点はこの『ミリアニ』も同様なのだが、そのクオリティの高さが凄まじい。CGアニメだが、そのCGは最早映画レベルと言っても遜色はなく、さすが先行で劇場公開するだけはある。そしてそれだけじゃない、練りに練られた脚本、1クールという限られた尺で『ミリオンライブ!』を表現する為に、あらゆる方策が取られており、そこも評価出来る。
『ミリオンライブ!』に対する愛
これは最早狂気に達するレベルなのだが(主に監督が)俺も一応ミリオンライブのプロディーサーの一人であるつもりである(まだまだ歴は浅いが)そんな俺からしても歴戦のプロデューサーでもある監督の『愛』こだわりが細部にまであって、そのこだわりが凄まじいのだ。いや分からんのよ、仕込まれたネタが。いろんな人の感想とかをネットで漁ってて、ここってそういうことだよねとか言ってて、なるほどなと思うんだけど、いや知らんのよそんなこと(良い意味で)。
ではこの先はネタバレ全開で感想を書くので、10月8日からの日曜朝10時テレビ東京系列での本放送を初見で見る方、あるいは先行上映をこれから見る方は回れ右!このページを閉じてください。公式サイトは
アニメ公式『アイドルマスター ミリオンライブ!』全国の映画館にて全話先行上映決定! #ミリアニ 配信情報や、放送日時はここをチェック!
一幕
第1話『たったひとつの自分らしい夢』
「『夢』ってなんだろうー」こんな未来の台詞から始まる本作。『夢』とはなにか、
そんな未来が765ASのライブを偶然見て、アイドルに惹かれ、静香と出会うところから物語の歯車が回り始める。もうみんな言っているだろうけれどこの765ASのライブが凄いんだわ。まずここで引き込まれる。圧巻の映像美。そして歌い踊る春香たちの姿を見て、『アイドル』という『夢』を見る未来。そして走り出す物語。春香たちが未来を動かし、未来が物語を動かす。この物語の様式美というか構造そのものが綺麗だとまず思うんだなぁ。そして『夢』をみつけた未来が、走り出すことで、ずっと『夢』みてた静香も悲願だったアイドルへ走りだす、この運命の二人感、最高です。
第2話 『夢のとびらはオーディション』
最早タイトル通りなんですけど、未来と静香、そして既に受かっていた翼も含めて、アイドルになる為にオーディションを受けるわけですよ。そこであれ!見た人なら分かるだろうけれど、静香の『Rat A Tat!!!』アイドルになるためのオーディション、やっと掴んだ夢への扉、それが閉ざされてしまうという恐怖、「私はここで終わってしまうの?やっぱり駄目なの?」そんな言葉が静香の脳裏に浮かび、焦ってしまう静香、そんな時静香は思い出すのです、本番前未来が静香に掛けた言葉を、「大丈夫だよ、だって私が静香ちゃんの一番最初のファンだもん」その言葉を思い出した静香は、自らの才能を絞り出す様に歌を歌い上げる。この歌、最上静香役の田所あずささんの歌唱、演技が素晴らしすぎる。もう凄いんですとしか言いようがない、これは最早百聞は一見にしかずというか、見てください!というお気持ち。
第3話『きらめく世界!私たちのシアター!』
この話から明確に未来、静香、翼以外のメンバーが出てくる。で、まあ動いているミリオンスターズのメンバーが可愛いんだこれが。3DCGアニメでこういう表現が良いのかわからんが、作画が良いのである。目立つアイドルたちもいて、そこは個人の好みで推しキャラは違うと思うのだが、個人的に良かったのが『徳川まつり』、通称まつり姫である。いや現場大臣の話が良いんだわ。
ここでちらりと語っているが、アイドルに限らず、人というのは誰か一人独立した『個』として存在しているわけではない、「あなたがいるから自分がいるし、自分がいるからあなたがいる」それを体現しているというかその意味を包括したのがこの話というか。端的に言ってしまうと、世界は、社会は、誰かの仕事で成り立っているという話である。それがどんなにクソみたいな、見下され、蔑まれることであっても、それがあって社会が成り立って私たちは生きていられる。故に現場大臣、シアターの建設をしていた現場の方たちに、まつり姫は姫として感謝を捧げられるのだ。そうアイドルはライブ会場を建設している現場の方たちがいることで成り立っているのである。これをアイドルアニメで描く凄さ。それもまつり姫というキャラ描写の一環で描く凄さ。そしてこれはフィクション全般に言えることで、最後にも語るが、見てくれる君に感謝、受けてがあってこその創作物、フィクションなのであり、そこはメタ的に『アイドルマスターミリオンライブ!』という作品にも現れているのだ。
第4話『原っぱライブはじめます!?』
百合子が見せてくれた景色をきっかけに、未来は劇場建設予定地の横にある原っぱで、メンバーとライブをしたいと言い出す。「原っぱ―!?」である。そしてその計画を知ったミリオンスターズのみんなはあれやこれやとやりたいことを言い出し、事態は収拾つかない事態に…。そして気落ちする未来だが、未来の想いは「みんな早くアイドルとしてデビューして活躍したがってるはず、だから出来ることをしたい」というものだった。それをプロデューサーに語る時、一緒にいた翼が密かにマイクのスイッチをオンにして…。それを聞いたメンバーたちは、気持ちは一つ、そうデビューし活躍したいという想いという気持ちは一緒、けれどベクトルが違った為にバラバラになりかけた、それを未来の気持ちを知ったみんなは、気持ちを新たに『原っぱライブ』に向けて動き出す。
二幕
第5話『未完成のThank you!』
もうこのタイトルよ。ミリアニはサブタイトルが良い。4話同様に全員集合(紬と歌織もいるので真に全員集合)したアイドルたちがその個性を存分に発揮して物語を紡ぐ。そして未来達がやりたいこと、それは『手作りの武道館』でのミニライブ。そこにはまだデビューと合流前の紬と歌織がいて……。細かいことは忘れてしまったので詳細は省きますが、未来は集まってくれたみんなに(アイドルや観客を含めて)「ありがとう」を伝えたいという。故に『Thank you!』でもそれは音源もなくて、ジュリアのアコースティックギターが伴奏として奏でられたものだった。そしてその声が届いたのか外にいる未来たち以外のアイドルもつられて歌い始める。ちょっと記憶が曖昧なんだけど可憐が最初に歌い初めたはず。そしてその声は観客席にいた紬と歌織にも届いて……。春香たちから未来へ、未来たちから、紬と歌織へ、そうこれは『継承』なんだな。そして現れる静香父「お前がやりたかったのはこんなことか?」と言い放って去っていく。
第6話『動き出す夢 ライブシアタープロジェクト』
この回は紬と未来、歌織と翼、志保と静香が軸となった話がされます。面白いというか、可愛いのが白石紬で、なんと765プロには寮があると思って、下宿先を用意せず上京してきてしまったのだ。そんな中東京の改札で目をグルグルにして倒れ込む紬、可愛かった。またこのアニメの紬、本当に美少女なんよな。それがぱっと見見ただけで分かる画力は凄いというか。また紬が未来に言う「大丈夫、みんな一緒だから」という台詞も好き。あとPに対して、恒例のめんどくさい感じを出す紬可愛かったです。話は変わって静香と志保。早くアイドルとして 父に一人前として認められてくて、レッスン中別なことを考えてしまうという静香。そんな静香に「アイドルになりたいという意思が確かならそれを貫き通せば言いじゃない」そしてちょっと何に対して言ったのか憶えていないのですが、静香に対して「むしろその方がアイドルとしてお客さんに対して不誠実なんじゃないかしら?それともあなたのアイドルに対する想いってその程度なの?」と聞く志保に、静香が言う「アイドルになりたい気持ちなら誰にも負けない」と。うーんしずしほ良いっすねー。これぞって感じ。あと忘れてた、チーム1stのデビューライブ、いやーすごかった。『Star Impression』って曲自体カッコいい曲だし、映像も相まって凄いカッコよかった。これは映画館で見る価値があった。
第7話『ドキッ!真夏の海のデビューバトル!』
馬鹿回です。生すかということで覚悟はしてたが、やはり駄目だった。一応水着回でもある。でも凄いところとしてあの数のキャラを出して魅せるという目的にちゃんと意義を持たせて実行出来てるのが凄い。あと解説に亜利沙を置いてるのが好ポイント。テーマ的にも『バトンをつなげる』や『一人も見捨てない』ということが描かれており、海美の台詞が代表する様に「一人だけど、一人じゃない」そうこれなんよな、この台詞凄い好きで、これを象徴する話として見ても凄い良かった。あとこんな回ばかりだと困るけど、数ある一回としてなら、こういう回凄く好き。
第8話『変わるためのステージ』
この回ちょっとこのミリアニの中では特殊というか、なんか普通のアニメのお当番回的な感覚で見れる回。フィーチャーされたのは、このみ、桃子、千鶴、亜利沙、奈緒、ロコの6人(それでも多いな)この数のキャラをきっちり描写しきって、一回で終わらせたのだからさすがである。で、まあ個人的に思うことだが、この回このみさんを通して、Pを描いてたとも思うのだよな。年上のこのみさんに大人だからと頼ってしまったP。けれどもPはPこのみさんは大人である前にアイドル、その線引をしっかりして、Pとしてこのみさんを支えることにしたそのPの心構え、素敵である。
三幕
第9話『もうひとつのバトン』
まさかまさかの『READY!!』ミリオンマークとナムコエンジェルのロゴが合体する演出胸熱なんだわ。お話としては先輩たちとチームフィフスの絡みの話。未来は春香と、静香は千早と、翼は美希と、紬と歌織は真、雪歩、伊織と。個人的に注目したのは、翼と美希の絡み、ついについに翼の核心に迫ることを美希が言うのです、そう「本気じゃないでしょ?」「そんなんじゃ未来や静香に負けちゃうかもね」と。これを翼は『本気』とはどういうことか考えます。芸細なのがXで見た意見で気づいたのですが、翼の回想での台詞と実際に美希が言った台詞は違うとのこと。これは凄いというか、ここまで拘るんだんぁと制作側の熱意を感じた。
第10話『アイドルに大切なもの』
この回ねぇ、この回はやばいですよ。何から話して良いかわかんないんだけど、ともかく素晴らしいですね。いや、何がって内容がですよ。担当贔屓とか言われようと、この内容なら許せるっていうか、このレベルのものを持ってこられたら素直に黙るしかないというか。解説、解説します?なんか何を持っても野暮な気がするというか、まず見てください!という気持ちが勝ってしまうというか。じゃあ要点というか、おおと思ったところだけ少し書きます。まず如月千早という存在。このアニメ『ミリオンライブ!』では語られていませんが、彼女は事故で弟を亡くしています。また、それが原因で母親と疎遠になり、家族関係は最悪でした。その再生を描いた話がアニメ『アイドルマスター』であった訳ですが、それは今回語られません。そんな千早がチャリティーコンサートで旦那さんを父親を亡くした家族の元に寄り添って徐ろに歌うのです。せめて亡くしたモノに報いる為に。その傷を癒やす様に。この回のタイトル覚えてます?『アイドルに大切なもの』そうこれこそが”アイドルに大切なもの”なんです。歌を誰かに届けて、その誰かを笑顔にする、力を与える、それこそがアイドルの本質なのです。そんな千早の姿を見て静香は気づくのです。「大事なことを見失ってたんだと思うの」と。そう彼女の原点、彼女が何故アイドルになりたかったのか、それは仕事で人生に疲れた父親を元気づける為に、憧れのアイドルになりきり元気づけることだったのです。つまりアイドルの本質を静香は既に「持っていた」のです。それを気づいたとき、チャリティーライブで歌う静香には天使の翼が見えて……。繰り返しになりますが、それを見ていた静香の父は思い出すのです、昔子供だった静香が自分を元気づけようと、アイドルになりきってくれたことを。そして静香のやりたいこと、その意義を再確認した静香パパは、認めるのです、静香の夢を。そしてPに言うのです。「私と同様頑固者なので苦労しますよ」と。
補足
本放送を見て。
必死に頑張る静香を見て、『本気』とはどういうことかを悟る翼、良かった。静香パパを前にして「違います、いいえ違いません」と言うPも良かったし、未来が静香は「私の憧れ」で静香ちゃんは凄いと言い切るところも良かった。そしてそんな静香を見て「静香はいつも『本気』」だ、だから見に来てくださいという翼も良かった。
第11話『とびらの向こう 繋がる想い』
第12話『新しい未来へ』
この回は前後編というか。遂にアニメ『アイドルマスター ミリオンライブ!』も最終回。終わりである。寂しいなぁ。ロスだ。というわけで、何故この11話12話をまとめたかというとこの2話端的に言ってLIVEだからだ。そうミリオン”ライブ”のライブ。冗談ではない、本当にライブ。ライブシーンが止めどなく次々と流れて、これはアニメじゃなくLIVEに参加してるんだなと感じさせてくれる。それ自体が凄いんですけど、画としてのクオリティも凄まじいものがあり引き込まれる。個人的に良かったところは、ライブ中機材が故障して音が止まってしまうというハプニングが起きる。ライブを止めるという選択肢も考えられたが、裏方のP達はギリギリまで止めたくない、まあ機材は復旧ししたのだが、そこで控えていたのが白石紬である。「うちがやらんと…」今まで引っ込み思案というか自信がなく、実際実力も追いついていなかった紬が、ステージに立ち圧巻のパフォーマンスを魅せるのだ。曲名は『瑠璃色金魚と花菖蒲』このステージが凄まじくて白石紬というアイドルの持つポテンシャルを遺憾なく見せられた感じがした。そしてライブが終わり、閉幕。劇場の屋上では雪が。そう季節は12月、ホワイト・クリスマスだったのだ。そしてそして、このアニメどんな終わり方をするのかと思えば、それがまた凄まじくてハッとさせられたのだ。この最終回で描かれたのはミリオンスターズのこけら落とし公演、つまり『始まり』であってそう『終わり』ではない、これはどういうことか。そうこれから先の劇場の物語はお前たちプロデューサーが紡いでいくんだよ!バトンは渡したぜ!というメッセージを感じた。これから先も『ミリオンライブ』は続いてく、その物語はお前たちが、いやみんなで作っていくんだよ!これまでも、これからもということである。なるほどなぁ。凄いオチだ。『ミリオンライブ』の未来を考えていなければこんなオチは描けない。『終わり』ではない『始まり』だったのだこの物語は。
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