[トゥルーマン・ショー]を観て
今までほぼ映画を観てこなかった人間がいろいろな映画を観て好き勝手書いていくものです。
20年以上前の映画なので今更ネタバレも無いと思いますが、映画の中身に思いっきり触れるので気にされる方は注意です。
1998年のアメリカ映画。もう20年以上前の映画なんですね。今見るとこういった箱庭リアリティというものはだいぶ手垢のついた表現だと思うのですが、「トゥルーマン・ショー妄想」なんて単語が生まれているあたり当時は斬新だったんですかね?
誘導としてとてもきれいだなと思いました。やたら芝居がかった挨拶、そして天井から落ちてきた照明で「ん?」となり、キャストさんの割と現実的な人間的ミスとかでだんだんと舞台設定がわかってきます。そして、視聴者だけでなく、トゥルーマンもどんどんと気づいていき、主演の男優さんの演技も相まって、コメディだとは思うのですがとても狂気的な世界観が楽しめました。
こういった「リアル(っぽい)エンターテイメント」、決められたリアルっぽい世界の中で人間ドラマがあって楽しむというのは、あいのりとかテラスハウスとかもこういったものに当てはまるのかなーと思います。きっとほかにもたくさんあるんでしょう。
フィクションを許さないとまでは言わないですが、昨今のエンターテイメントはこの「リアル(っぽい)」の「っぽい」が重要視され過ぎているような気がします。どこかの記事で「脚本」が見えてしまうと「演出」ではなく「やらせ」と表現することが増えたようです。漫画でもすぐに現実考察班のような人たちが登場し、「これは現実ではありえない」とする感じですね。昔見た柳田理科雄さんの空想科学読本なんかはいいかんじにエンタメとして楽しんでいましたが、そうじゃない人が増えてきた印象です。個人的には「いや、「漫画」やぞ?」と思うんですが。
「実は箱庭でした」ちゃんちゃんではなく、箱庭と気づかせたうえで、ショーの視聴者も見せて、舞台裏も見せたうえできちんと終わったのがすごいなーと凡コメントとして思いました。あれだけの人数を出して、搭乗時間自体は短いのにそれぞれの人物がどういった性格なのかというものを伝えることが出来る表現はすごかったです。
映像として特に印象に残っているのは、初めにホームレスのお父さんが出てきたシーンでしょうか。あれだけ引きの画面でたくさんの人が映っているのに「この人何かするな」とわかるのは驚きでした。あと言うまでもなく最後の階段ですね。書割の空と水の青と、階段の白、影の黒。とっても画としてきれいでした。また、あれだけ行きたかった外の世界への扉の先が真っ暗だったのも印象出来でした。
しめくくりは本当にエッジが効いていてぞくっとしましたね。あれだけ30年間続いていた超人気番組、トゥルーマンはもちろんプロデューサーのクリストフ等々もずっと心血を注いで作ってきたコンテンツだし、放送中は警備そっちのけでずっと見ていた大好きなコンテンツのはずなのに、終わったら「次の番組見よう」。いや、当たり前なんですが、改めて表現されるとなんか「こっわ」となりました。
題材的にはさすがにもういろいろな後発のコンテンツを観てきたので目新しさは無いですが、いまでもとっても楽しめる映画だと思いました。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?