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【インド】至上最高の愛の形

デリーのホテルで運転手を雇い、アグラまで片道5時間。タージ・マハルに到着した。メインゲートの奥から目に飛び込んでくる、白く巨大なタージ・マハルの想像以上の美しさに息を飲んだのは私だけではないだろう。


ディズニー映画、「アラジン」の宮殿のイメージが強いが、実は、その中にあるのは棺のみ。宮殿のような風貌を備えた、世界一美しいお墓なのだ。

タージ・マハルは、皇帝シャー・ジャハーンの愛妃ムムターズ・マハルが36歳の若さで亡くなった際に、悲嘆にくれた皇帝によって建設されたお墓である。

2万人以上の技士や大理石を運ぶ為の1000頭のゾウを総動員し、世界中から集めた宝石を埋め込み、22年の歳月をかけて完成させたと言う。つまり、皇帝は愛妃の死後、彼女への愛を形にして、この世に残すことに人生を捧げたのだ。


権力や栄華の誇示の為に、国の財政が傾くほどの財を注ぎ込んで宮殿を建てる王は、歴史を辿ると数多くいるが、愛する1人の女性の為に、ここまでした王はシャー・ジャハーンの他いないだろう。

と、そこまで知った上で改めてタージ・マハルを見ると、隙間なく施された繊細な彫刻や、愛妃を死んでも美しく飾るその美意識は、全身全霊の愛の証だと言うことを感じ取れる。生前はさぞかし想像を絶するラブラブっぷりだったのだろう。


当時となんら変わらない、お金、権力、情報が渦巻く現代でも、限りある命を生きる私たちにとって、人を愛することは、誰しもが持って生まれた権利である。


死ぬ時を想像して人を愛したことがあるだろうか?
とてもロマンチックだと私は思う。
皇帝が死ぬまで妻を愛し続けたその愛の物語故に、タージ・マハルはお墓でありながら、世界のカップルが訪れるプロポーズの聖地となっている。

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