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仮設住宅のコミュニティデザインに学ぶつながりの大切さ

先日、コミュニティデザイナーの木村直紀さんのお話をお聞きする機会をいただきました。

木村さんは東日本大震災後の仮設住宅の「コミュニティデザイン」に10年以上関わってこられたそうです。

仮設住宅の住民の方々は、今までと違う土地に住むことになるため、そこで人との繋がりができずに孤立してしまいやすいという問題があります。なかには孤独死をしてしまう方もいらっしゃるそうです。

そこで、木村さんは活動仲間や地元の人たちと協力して、
仮設住宅にお住まいの方同士や、その仮設住宅が建設された地域の人々が繋がれるようなきっかけをつくってこられました。

住民皆でベンチをつくったり、廃校になった校舎を生かして集会所にしたり。

これまで畑仕事をされてきた方がまた畑仕事をしたいという話を聞いて、
地元の方に話を持ちかけたら、一緒に畑仕事をするようになったり。

また、花壇をつくると、世話をするためにそこに人がやってきて、人の繋がりができるという話が印象に残りました。花壇は世話をしないと、枯れてしまったり草が生えてきたりするので、必ず定期的に誰かがお世話をする必要があります。イベントなどとは違って、何か特別な機会をつくらなくても必ず定期的に人がやってきて、そこで会話が生まれたりするのです。

これらの活動は、人の繋がりを生み出しているだけでなく、住民の方が社会に関わって前向きに生きていく活力を生み出しているように感じました。

私が「現地の人々にとって見ず知らずだった木村さんが訪れて、一番最初はどのようなことをされたのですか?」とお聞きすると、最初はスイカを持っていって沢山の仮設住宅が立ち並ぶ真ん中に置き、子どもたちを呼んでスイカ割りをしたとお答えくださいました。その次は、地域の人々に声をかけて一緒にお酒を飲んだり食事をするというのを何回も繰り返したそうです。

食事を囲んで会話をするということの尊さや大切さを改めて感じるお話でした。
また、それを凄く楽しそうに嬉しそうにお話される木村さんの飾らないお人柄が、現地の方々に受け入れられていったことが想像でき、その姿勢にとても勉強させていただきました。

木村さんの仮設住宅のお話を聞いて、私が日々感じているお寺の役割に重なる部分がありました。
月一回の法話会や写経会、マルシェ、子ども日曜学校など様々な行事でできる人の繋がりは、やっぱり大切な役割を持っているのだと感じました。



子ども日曜学校の様子

また、お寺に毎週のように来て、植物を育てたり草取りをしてくださっている地域の方の姿は、私がランドスケープデザインを学びはじめたきっかけのひとつです。お寺としては彼女達のような方のおかげでお寺が維持されているため、本当に有難いと思っています。それと同時に、お寺に来て植物のお世話をすることが彼女達の生き甲斐にもなっているのだと感じてきました。

地域の方の貢献によって維持されているお寺の境内


私が副住職をしている普元寺は、今後30年以内で60~88%の確立で起こるといわれている東南海地震で被災する場所にあります。普元寺のある地域のほとんどは、津波ハザードマップで浸水を示す色がついている危険な場所なのですが、普元寺の周辺だけは少し土地が高くなっていて浸水しないという想定が出ています。
私は、普元寺の空いている土地などを生かし、災害時の避難・利用に活用できるような場所や計画をつくりたいと思っています。ランドスケープ・デザインを学んで、まず最初にやりたいことのひとつです。
しかし、今回の木村さんの話をお聞きし、そのための備えのひとつは助け合える人との繋がりを大切にしておくことだと思いました。

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