お寺のお坊さん1年目にやったこと〜文化を通して人が繋がる地域の拠点を目指して〜
愛知県西尾市にある普元寺(浄土真宗本願寺派)の執事長・西脇唯真です。
普元寺に本格的に関わるようになってから1年が過ぎたので、お寺でやってきたことを振り返ろうと思います。
得度(僧籍を取得)したのは5年くらい前なので、「お坊さん」ではなく「お寺のお坊さん1年目」です。
この1年間、住職と妹と協力し
「お寺が文化の発信地として地域の拠り所になれたらいいよね!」と色々やってきて、
活動を、街中に届くフリーペーパーや、市長さんのSNSなどでも取り上げていただけるようにもなりました。
書こうと思ったきっかけ
最近、同じ年代のお寺の後継さんがお寺に視察にきてくださったり、
「お寺に戻って何かしたいけど、何をしたらいいのか分からない」
「お寺に戻っても楽しそうなことがない」
という相談を受けることがあったので、特にそんな方に読んでいただきたいと思い筆をとりました。
何を書くのか?
大前提、24歳はお坊さんとして、基本的に学ばせていただく立場です。
お寺に入ると、葬儀・ご法事、住職についていき、門信徒(檀家)様に色んなことを教わっていくなかでお育ていただきます。
多くのお坊さんがそうであるように、僕もやっと少しだけ自信を持って、お寺の基礎的なことができるようになってきました。
そうした所謂「法務」でも、沢山学んだことがあるのですが(機会があればまた書きます)、
今回は、掃除、書類の整理、寺報作成・・・
などの「実務」のなかでも、
特に新しく取り組んできたことを中心に振り返ります。
1、写経会を妹と主催
僕と妹(社会人1年目で土日にお寺を手伝ってくれる)が中心となって写経会を運営し、1年が経ちました。
自分たちで考え、工夫して、参加者の方からも応援していただいて、とても学びにもなりました。
お陰様で、リピート率8割超(そういう数字を気にするものじゃないのかもですが、素直に嬉しい!ので書いちゃいます。)
毎回、定員の20名近くの方にお越しいただいています。
終わった後には、参加者の皆様と何気ない会話をさせていただきます。
「1ヶ月に1度気持ちがリセットされる」「書かせていただくことが有難い」「休憩時間にお菓子を食べるのを楽しみにしている」と、
それぞれに感じることをお聞きし、皆様と交流できるのはとても楽しいです。
2、四季を感じる心地よい境内づくり
「四季を感じられる場所にしたい」と、
長年、境内に木を植えてきた住職の思いを受け取り、様々な取り組みを行いました。
・ベンチの設置
ベンチは、気軽に境内に入っていいですよ!という印になると思い、設置しました。
・風鈴を飾る(7〜8月)
お盆参りの時、若い人が「また来年もお参りたい!」と思えるきっかけになったらいいなあ、と想像しながら企画しました。
いつもお墓参りに来てくださる方に、「癒される」「いい音がするねえ」など喜んでいただけて、嬉しかったです。
・紅葉ライトアップ
3年前から始めた紅葉のライトアップ。
ライトの当て方を研究したり、椅子席をつくって、ゆっくりできる場所をつくったり工夫をしました。
お陰様で、紅葉の写真を市のポスターに採用していただきました!
3、【ロゴ制作の発注】伝統を大切にしながらも新しい取り組みを行なっていくお寺を表現
僕と同じ高校出身で、昨年開業されたふくろう経営デザイン室様にお願いして制作していただきました。
お寺の本堂の形でありつつも、どこかモダンな雰囲気を醸し出しており「伝統を大切にしながらも、時代に合わせて新しい取り組みを行なっていくぞ!」という想いを形にしていただいたと思っています。
4、【お寺の情報を発信】InstagramなどのSNS運用とホームページ制作
兼業先の神社お寺の検索サイト「ホトカミ」(100年後に神社寺院を残すというコンセプトの素敵なサイトです!)の運営で学んだことを活かして、お寺の情報発信に取り組みました。
・お寺のホームページ制作
住職と相談しながらつくりました。
「お寺の長い歴史」「住職がどんなことを考えて、どんな取り組みをしてきたのか?」「普元寺の魅力はなんなのか?」などを深く知るきっかけになり、とても勉強になりました。
・Instagramの運用
コツコツ投稿してきて、もうすぐフォロワー2千人。
元々、写真が好きだった住職が8割くらい撮影、投稿しています。
僕は大学生の時にインターンで Instagram運用をしていたので、住職にアドバイスをしたり、ハイライト機能にアクセスを表示させて、お参りに来た方が迷わないようするなどの工夫をしています。
5、地域で活躍する方々と連携して行事を開催!文化を通して人が繋がるお寺に
・夜のマルシェ
先日5/20に開催したマルシェには、約300人の方がお寺へ足を運んでくださいました。
・お寺カフェ
特産品の抹茶を発信したいと思い、シェフに抹茶ティラミスの開発をお願いして実現しました。
予約制で、100人の方に来ていただきました。
また、会のなかで開催した「住職と巡る境内ツアー」では、住職がお寺の歴史や建築に込められた仏教の教えなどをお伝えしました。
とても多くの方が参加してくださり、普段、機会がないだけで、多くの方がお寺や仏教に興味を持ってくださっていることを感じました。
・境内レストラン
地元で活躍する出張フレンチシェフの提案によってはじまりました。
3分で予約がいっぱいになるほどの人気で、観光の面からも、お寺に触れていただく機会としても可能性を感じています。
その他にも、普元寺ではお座敷を貸し出し、「己書教室」「水彩画教室」「落語会」「手作りお香教室」「俳句教室」などを開催しています。
おかげさまで、文化を通して人が繋がるお寺になってきているのを感じます!
6、【冊子「てらまち」を発行】「てら」と「まち」をつなぎ、地域で頑張る方を応援
お寺から地域の皆さまとの交流を紹介し、「てら」と「まち」を繋ぐ冊子『てらまち』を発行しました。
お寺はずっと昔から地域の方に支えられてきたことを知り、何か地域の方のためになることがしたいと思ってつくりました。
地域でマルシェを主催する方のインタビュー記事をはじめとした、全10ページの制作をしました。
その内容は、西尾市長さんにも、InstagramやFacebook取り上げていただきました🙏
以上、1年間、試行錯誤してきたことのほんの一部ですが、振り返ってみました。
【最後に】全ての活動で念頭においていた言葉
僕にとってお寺は、沢山の方とのご縁をいただける、本当にありがたい環境だと感じています。
わからないことは丁寧に教えてくださり、やりたい!と言ったことに協力してくださる住職とお寺の総代様、地域の方々に心から感謝です。
そうしたお寺の日常や、人との繋がりを通して、現代のお寺、僧侶として何ができるのか?という問いへのヒントもいただいています。
「布教とは、伝えることではなく、つながること」
この1年、全ての活動で念頭においていた現代仏教僧、松本紹圭さんの言葉です。
僕は、2年ほど前、tiktokで一生懸命「仏教を伝えよう!!」と頑張っていたのですが、苦しくなってしまったという経緯があり、
(その経緯は⬇︎の記事)
お寺での様々な取り組みを通して「つながりの中でお互いに仏性が開発されていく」ことを目指している、今の方がしっくり来ています。
歴史を振り返っても、文化や芸術などを通して人がお寺に集い、そのつながりのなかで仏教が受け継がれてきたんじゃないかなあと思う、今日この頃です。
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