星芒鬼譚23「助太刀はいらねえ!…これは、男と男の戦いだ!!」
アマニータは杖をぎゅうと握りしめた。
いつもフランケンにやられてばかりのマルコだ。任せていいものか。
マルコは投げ飛ばされ、殴られ、踏みつけられてもなお向かっていく。
今度は地面に叩きつけられ、ふらふらと立ち上がろうとする。
いよいよ見ていられなくなったアマニータが杖をかまえ直し、イヅナも暗器を取り出そうとしたが、マルコが手で制止した。
「助太刀はいらねえ!…これは、男と男の戦いだ!!」
マルコはダメージをかなり負っているだろうに、目にも止まらぬ素早さでフランケンを攪乱しながら、何度も何度も肩の宝石めがけて爪で攻撃を加えた。
やっと宝石が砕けた時、フランケンの巨体がゆっくりと倒れた。
その重みが、地面を伝って足に響いてきた。
騰蛇は、隣でアマニータがほっと息をついたのを感じた。
マルコは体が限界だったのか、その場でばたりと仰向けに寝転んだ。
「目は覚めたかよ、デカブツ」
呻きながら、フランケンがまぶたを開けた。
「体が痛い…私は一体何を」
半身を起こしたところでアマニータが駆け寄ってきて、フランケンの横っ面を張った。
フランケンは頬を押さえ、ぱちくりとまばたきをした。
「…今、私は何故ぶたれたのでしょうか」
アマニータは仁王立ちでぴしゃりと言った。
「自分の胸に聞いてみな!」
ようやく起き上がったマルコがアマニータのそばまでやってきた。
「アマニータ、大丈夫か?」
「うん…ありがと。でもアンタは無茶しすぎ!」
かすかに頬を赤らめながらも、アマニータはいつもの調子でマルコを小突く。
今までアマニータにありがとうなんて言われたことがあっただろうか。多分ない。
マルコは頭を掻いて、へへっと笑った。
イヅナが耳元の通信機をオンにし、妖怪たちに埋め込まれていた黒い宝石について報告した。
それぞれの現状報告が返ってくる。
光太郎・夏美は裏門を突破できたらしい。すでに宝石の存在にも夏美が気づいたという。
ヴァンヘルシングはすでに城内に潜り込んでいるが、城内を漂う妖気が濃すぎてどこに妖怪が潜んでいるかもわからない状態だと教えてくれた。
『イヅナ、騰蛇よくやった。意識が戻った妖怪たちが無事なようなら、協力を頼めるか。俺たちだけじゃおそらく手に負えない』
ひとしきり報告を聞いた道満が静かに言った。
イヅナは振り返って三人の様子を見た。ダメージはあるだろうが、だめでもともとだ。
「わかった、頼んでみる」
『俺は晴明さんの気を辿って最短の経路で向かう。全員気を抜かないように』
面白いなと思ってもらえたらサポートをお願いします。 執筆の際のカフェ代や、記事を書くための取材の予算として使わせていただきます!取材先に心当たりがあればぜひ教えてください(ここが面白そうだから行ってみて!とか)