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星芒鬼譚29「…な?やってみなきゃわかんねーだろ?」
「…な?やってみなきゃわかんねーだろ?」
光太郎はにっと笑うと、息を吐きながら刀を下ろした。
武仁の手から短刀が滑り落ち、乾いた音が響いた。
不思議なくらい静かだった。
「なんで…なんでだよ。俺なんか斬り捨てればいいのに」
憑き物が落ちたようだった。
先ほどまでの武仁とは違っていた。
急に毒気を失ったそのさまは、なんだかひどく小さく、頼りなく見えた。
「お前を斬るなんてできるわけねーだろうが」
光太郎の目も声も、優しかった。
力が抜けたのか、武仁は膝から崩れ落ちた。
呪いは解かれたのだ。
「多分ほんとはわかってた、あんたたちは俺を見捨てたりしないって。でも怖かった…ずっと怖かった」
光が戻った瞳から、大粒の涙がぼろぼろ零れる。
光太郎は頷きながら聞いている。
やっと体を起こした夏美も、武仁を見つめながらじっと耳を傾けた。
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