星芒鬼譚22「何があろうとも、晴明様をお守りするのが私の役目!他の者の術など受けません!」
「どうだ、騰蛇」
紙の姿となった騰蛇は表門の上空を舞っていた。
イヅナは黒い狐の姿で、草むらに身を隠しながら騰蛇と交信する。
「誰もいないようです」
「表門はずいぶん手薄だな」
「先刻も気配がないのに妖怪たちが現れました。油断は禁物ですよ」
騰蛇がひらりと草むらに降り立つと、イヅナも少女の姿へと戻った。
「わかってるよ。とりあえずまずは…」
イヅナが小型の爆弾を腰のポーチから取り出した。
作戦会議の時、ヴァンヘルシングが使えと渡してくれたものだ。
騰蛇が手のひらから出した小さな炎で、導火線に火をつける。
ジジッと音を立て始めたそれをイヅナは素早く表門に投げ込むと、騰蛇と共に草むらに身を隠した。
ほどなくして爆発音が響き大地が揺れた。
この音こそが作戦開始の合図であり、まずは妖怪たちを引きつける囮でもあった。
「ちょっと何この爆発!?」
煙がもうもうと上がる中から、けほけほと咳き込みながらアマニータが現れた。
続いてフランケンが周りを警戒しながら出てくる。
「お怪我はございませんか、アマニータ様」
マルコが耳をそば立て、すんすん、と鼻を鳴らすとまさにイヅナと騰蛇が隠れている草むらに向かって吼えた。
「そこにいるな、出てこい!」
草むらの二人は、ほぼ同時に勢いよく飛び出し敵を攪乱した。
イヅナはマルコ、騰蛇はフランケンにそれぞれ一撃を加え、さっと下がった。
「さすが犬、鼻が利くじゃん」
「犬じゃねえ狼だ!」
マルコが牙を剥き、がるると唸った。
「いや犬も狼も変わんねぇだろ」
「全然違うっつの!むかつくイタチだな!!」
「はぁ!?イタチじゃねぇわ管狐だわ!!」
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