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「どうにかして探してほしいんです、九尾の狐を」
源探偵事務所に舞い込んだその依頼は、世間を騒がす連続神隠し事件とも関係があるようで…?
調査に乗り出した探偵事務所一行が出会ったの…
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2022年2月の記事一覧
星芒鬼譚33「わかってねーな、ヒーローってのは遅れて登場するもんなんだよ!」
扉の先には一筋の光も許さぬような闇が広がっていた。
その中に青白い輝きをまとった玉藻と、傍らに跪く何者かの姿がぼんやりと浮かび上がる。
白に紫の襲、金色の装飾があしらわれた美しい狩衣。
覚えがあった騰蛇は目を見開いた。
跪いていた人物が顔を上げる。
晴明であった。その顔に表情は無く、まるで能面である。
あの狩衣は平安の頃、好んで晴明が身につけていたものだ。
悪趣味なことをする。騰蛇は小さく下唇を噛
星芒鬼譚34「もう、終わりにしましょう。僕らは永く生きすぎました」
「ちょっと待て…どうなってんだよ」
対峙する二人を見て光太郎は困惑していた。
「つまり、今の戦いはとんだ茶番だったってわけさ」
その肩をヴァンヘルシングがぽんと叩いた。
夏美は黙って晴明の出方を窺っているようだった。
「晴明様…どうして、」
「どうして?お前はあんなに俺の傍にいたと言うのによくそんな言葉が吐けるな。…お前も、俺のことなどろくに見ていなかったんだろうな」
絞り出した騰蛇の声
星芒鬼譚35「…帰ったら、いなり寿司だかんな」
「やっと、終わりにできるんですね、この命を」
道満の声は震えていた。
死にぞこないの体を引きずりながら、ずっと求めていた。死という終わりを。
しかし、いざ目の前にすると体が竦むのはどうしてなのだろうか。
晴明も、わずかに震える拳を握りしめた。
「ああ…ゆっくりと休むとしよう…お前をこの手で葬り去ってからな!」
千年もの時に耐えうるように、人の体はできていない。
道満は体が軋み始めたのを感じて