![マガジンのカバー画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/18129217/875d63912a88dca187b0cb52e4cc5a0f.jpg?width=800)
「どうにかして探してほしいんです、九尾の狐を」
源探偵事務所に舞い込んだその依頼は、世間を騒がす連続神隠し事件とも関係があるようで…?
調査に乗り出した探偵事務所一行が出会ったの…
¥4,000
- 運営しているクリエイター
2020年10月の記事一覧
星芒鬼譚20「…落ち着いてるわけない。だが今騒いだってどうにもならないだろうが」
「一体何がどうなってんだよ…」
光太郎がため息交じりに言った。
運転席の夏美は無言でハンドルを握っていた。
二人はあのあとなんとか城から落ち延び、車まで辿りつくことができた。
が、その間夏美はずっと黙ったままで、光太郎は状況が把握できないままだった。
真っ暗な山道を普段よりも上げた速度で降りていく。
「なぁ、お前何か知ってんだろ」
助手席から聞いても、夏美は前を睨みつけるばかりで一言も発さな
星芒鬼譚21「大丈夫。覚えているはずです、今は思い出せなくても。必ず思い出せますよ」
「さて、どうする」
ヴァンヘルシングが煙草の火を消しながら言った。
吸い殻を投げ捨てようとしたが、思い出したように携帯灰皿を取り出すとしまった。
「どのチームも仲間が欠けてる上に、奴さんは百鬼夜行さながらの大所帯なわけだが」
空気が張り詰め、全員が押し黙った。
光太郎は百はゆうに超える妖怪たちがうじゃうじゃと城中に蠢く光景を思い出していた。
鞍馬や太郎丸まであちら側についていて、武仁までもが
星芒鬼譚22「何があろうとも、晴明様をお守りするのが私の役目!他の者の術など受けません!」
「どうだ、騰蛇」
紙の姿となった騰蛇は表門の上空を舞っていた。
イヅナは黒い狐の姿で、草むらに身を隠しながら騰蛇と交信する。
「誰もいないようです」
「表門はずいぶん手薄だな」
「先刻も気配がないのに妖怪たちが現れました。油断は禁物ですよ」
騰蛇がひらりと草むらに降り立つと、イヅナも少女の姿へと戻った。
「わかってるよ。とりあえずまずは…」
イヅナが小型の爆弾を腰のポーチから取り出した。