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「どうにかして探してほしいんです、九尾の狐を」
源探偵事務所に舞い込んだその依頼は、世間を騒がす連続神隠し事件とも関係があるようで…?
調査に乗り出した探偵事務所一行が出会ったの…
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2020年9月の記事一覧
星芒鬼譚17「もう、いい。もう何にもいらねぇよ。ぶっ壊しちまえば全部一緒なんだからな」
石段の途中で、光太郎はスマートフォンを耳に当てていた。
呼び出し音が流れ続けるだけで、いっこうに出る様子はない。
なんだよ、と小さく呟きもう電話を切ろうかと耳から離したとき、突如地響きがして足元が揺れた。
地震だ。
震度にしたら4か5はあるかもしれない。
が、瞬間的なものだったらしく、揺れはすぐにおさまった。
しんと静まり返ったこの状況が、逆に不気味だった。
ふと光太郎は鞍馬の屋敷のほうを見上げた
星芒鬼譚18「さあ、総力を挙げてもてなしてやるが良い。存分にな」
真っ暗な廊下をヴァンヘルシングとカーミラは歩いていた。
城内はひっそりと静まり返っている。
二人ともあたりの様子に集中し黙っていたが、カーミラが口を開いた。
「ねぇ、なんだか変よ…静かすぎるわ」
カーミラは耳が良い。
本人が言うには、人間にはわからない超音波を感じとることができて、物との距離感までわかるんだそうだ。
彼らの眷属であるコウモリと同じ特性を持っているのだ。
「ああ、罠かもしれない
星芒鬼譚19「これでもう邪魔は入らぬ。たっぷりと逢瀬を楽しもうではないか」
大した準備も作戦もないままに、戦いの火蓋は切って落とされてしまった。
規模こそ小さいかもしれないが、それは“妖怪大戦争”の様相を呈していた。
まさに、多勢に無勢である。
光太郎は鞍馬と太郎丸に早々に目をつけられ、二人の激しい連携攻撃を防ぐことで精一杯だった。
ヴァンヘルシングはとにかくカーミラの目を覚まさせようと考えたが、真っ先にアマニータたち西洋妖怪が飛びかかってきた。
とはいえ、九尾の狐に比べ