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新しい家族
9月になった。
我が家に新しい2匹の子猫を迎えた。
彼女たちが来てから2週間。猫のお世話をし、避妊手術をした猫が傷をなめないように見張り、日向ぼっこをしている姿を眺めること以外、他に何をしていたかわからない。
noteを書く暇がなかったのは、きっといいことなのだろう。
私達家族は、去年の12月に19歳だった黒猫の太郎を失った。
大往生だったし、晩年は長い間老いと体調不良で苦しんでいたから、覚悟はできていた。それでもやはり、ある日全く動けなくなってしまった彼の姿を見た時は辛かった。
私達家族は、彼の最期に、獣医さんを呼んだ。
獣医さんを呼んで苦しまずに旅立たせることは、北米では「ペットへの最後のギフト」として一般的な見送り方であるものの、やはり悩んだ。
もう歩くことも食べることもできなくなった太郎をみて、当時、息子が泣きながら
「Dying in peace is a gift of loveなんだよ。ブラックジャックに書いてあった」
と言った。
“Dying in peace is a gift of love”
おそらくドクター・キリコの言葉だったのだろう。もってもあと数日の太郎を見た時、その言葉が胸に刺さった。
たいがい腹は決まっていたけれど、息子のこの一言で獣医を呼ぶことに決めた。
そして、太郎は私達家族の腕に抱かれで息を引き取った。
8ヶ月がたち、ペットロスから立ち直ったと思っていたが、子猫を迎える、と決めた時、急に太郎の最期を思い出した。
この子猫たちは、太郎ではない。性格も見た目も全く違う。その、胸の中にある違和感を埋められない自分がいた。もう平気だと思っていたけどら太郎の死をまだちゃんと昇華できていなかったことを思い知らされた。
同時に、つい最近猫の看護が終わったところでもあったので、またこれから少なくとも15年は命の責任を追うことにも躊躇があった。
しかし、私以外の家族はもちろん、子猫を迎えることを楽しみにしていて、もう後戻りはできない状況だった。
そうして、我が家に来た2匹の子猫。
動物保護団体には珍しい、青い目をしたシャムミックスの美人姉妹だった。
数日一緒に暮らし、私の中でくすぶっていた想いはすべて溶けた。
「Forster to adopt」といって、2週間お試ししたあとに引き取るかどうか決めてもいいことになっていたけれど、うちにきてから1週間後には、彼女たちを動物保護団体に返すなんて考えられなくなった。
ソフィーは活発で、気まぐれで、猫らしい猫。
ステラはミステリアス。クラスに一人はいる控えめだけれどよく見たら美人というタイプ。おとなしいと思っていたら脱走するし、かといってこちらが脱走を警戒していると腕の中で眠ってしまうような子。
月並みだけれど本当にかわいくて、2匹一緒に寄り添って寝たり遊んでいる姿をみると癒やされる。
売ろうと思えば売れただろうに、こんなにかわいい子達がなぜ動物保護団体にきたのだろう?
そう思って聞いてみると、この子達は6月の熱波で焼けてしまったLyttonという村で、火事の1週間後に救出された子猫たちだったこと知った。
6月の熱波や山火事の被害には、私もそうとう心が痛かったので、こういう形でなにか社会に貢献できたのかもしれない、と思うと少しばかり心が休まる。
さて。
今はもう私の心の中に、太郎とソフィーとステラがすっかり同居できるようになった。老猫と付き合っていた私には、子猫の元気なエネルギーはとても新鮮で艶やかだ。見てるだけで元気になる。
少なくとも向こう10年はDr.キリコにもブラックジャックにも世話にならなくてもよいだろうから、ただただ毎日をこの子たちと一緒に重ねていける幸せを噛み締めようと思う。
#猫のいるしあわせ
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