ことば好きが翻訳者になるまでの道のり①
翻訳という作業は孤独だ。
何が間違っていて、何が正解なのかわかりづらく、相談をしたくても相手がいない。
だけど、翻訳コミュニティに参加してみて、いろんな人のアイディアを相互シェアすることで全体像がつかみやすくなり、次に取る一手が見えやすくなったのを実感して、もしかしたら、私の体験が誰かのためになるかもしれないので翻訳シリーズを書いてみようと思う。
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翻訳という作業を通じてはじめて報酬をもらったのは2017年のことだった。
当時私は、幼い子供2人のSHAM (Stay home at mom)かつハンドメイド雑貨のクラフターとしてマーケットに出店したりオンライン販売をしていた。
しかし、子供を寝かしつけてから夜な夜なミシンと向き合う生活が続いた結果、度重なるぎっくり首に泣かされ、企画、製造、販売のすべてを一人で行うことに疲弊してしまった。
もう少し体に負担の少ない、コンピューターひとつでできることを仕事にしたいと思ったのが始まりで、書くこと、言葉そのものが好きだったので、翻訳という分野に行きついたのはごく自然なことだった。
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しかし、仕事を探すとはいえどこから手を付けてよいのかわからない。
手当たり次第にネットサーフィンしていたらたまたま和訳翻訳者の募集を見つけ、翻訳者の最初の難関といわれるトライアルもすんなり受かった。
書くことが好き、という以外翻訳のトレーニングをしたわけでもなかったので「こんなもんなんだな~(楽勝)」くらいな気持ちで私の翻訳キャリアはスタートした。
最初の仕事は、アメリカに本社があるエンタメコンテンツ和訳で、好きな時に好きなだけやれるのもよかったし、成果物に対して校正者の修正が入り、翻訳者全員の出来を毎回ポイント制&コメントで評価されるのもモチベーションに繋がった。
支払いも2週間ごとにあり、連続でポイントを上げ続けるとボーナスも支払ってくれた気がする。
実際翻訳を始めてみると、和訳には自信があったはずなのに、私はいつも落第ぎりぎりのところにいて(落第=契約終了)、その上毎回翻訳作業や調べものにえらく時間がかかっていた。
スピードの遅い私からしたら、常に成績上位にいる翻訳者さんたちの成果物の完成度とこなしている案件数には単純に尊敬の念しかなかった。
時給に換算したら恐ろしく非効率だけれど(スピードが遅いのは私の問題だけど)、PMさんが仕事のできるフェアな方で、自由度も高いし、コンテンツもその会社のインクルーシブな風土も好きだったの全く苦ではなかった。
のちに気づいたことだけど、悪いところならまだしも良いところのフィードバックをくれる会社は少ない。
だから、翻訳者として最初の成功体験を与えてくれたこの会社には感謝しかない。「たりたり構文」など日本語の基礎文法をたくさん学ばせてもらったのもここだった。
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その後時代はパンデミックに突入。
そんな時代でも、できることがあるのはありがたく、まだまだ子育てで手一杯だったので他の会社にアプローチしてみようという気も起きず3年が過ぎた。
その後、数回にわたる引越しがあり、翻訳作業自体ができなくなってしまったので、この会社ともいったん契約終了となった。結構さみしかったな。
それからしばらくして暮らしが落ち着いたころに、再度翻訳の仕事探しの旅に出る。
そこで思い知らされる。
最初の仕事に受かったのはビギナーズラック、だったのだと。
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