優衣羽(Yuiha)

作家・シナリオライター 「君が残した365日」発売。 「僕と君の365日」「紅い糸のその先で、」など、翻訳含め7冊ほど出版させていただいております。 お仕事連絡こちらまでよろしくお願いします。→yui10yuiha07@gmail.com

優衣羽(Yuiha)

作家・シナリオライター 「君が残した365日」発売。 「僕と君の365日」「紅い糸のその先で、」など、翻訳含め7冊ほど出版させていただいております。 お仕事連絡こちらまでよろしくお願いします。→yui10yuiha07@gmail.com

マガジン

  • 元気でいろとは言わないが、日常は案外面白い

    作家による日記風エッセイ

  • 短編小説まとめ

    作家、優衣羽の新規短編小説を載せる場です。気ままに更新。

  • 君が死んだ、綺麗な夜だった。

    高校三年生の三島は、同級生の神田が苦手だった。派手な金髪に人当たりの良い性格、彼は人気者で教師からは問題児として扱われていた。ある日の夜、塾の帰り道でそんな神田と会う。自分の事を知らないと思っていたのに、神田は何故か三島の事を知っていて――。 ある夏、恋にすらなる前に弾けて消えてしまった、残酷なほどに綺麗な夜のお話。

  • 既刊作品の小さなお話

    既刊作品の小話などまとめ。たまに追加。

  • 僕と君の366日の嘘

    僕と君の365日のアナザー版です。Webサイトに投稿していたものを加筆・大幅修正し同人小説として出した作品です。※本にはあとがきが収録されておりますが、こちらには収録されていません。

最近の記事

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優衣羽のポートフォリオ

はじめまして、作家・シナリオライターをしております優衣羽です。 お仕事情報は随時更新します。 自己紹介 書籍 2019年3月『僕と君の365日』(ポプラ社/ポプラ文庫ピュアフル) 装画:爽々 2020年4月『紅い糸のその先で、』(KADOKAWA/角川文庫) 装画:和遥キナ 2020年8月『さよならノーチラス 最後の恋と、巡る夏』(ポプラ社/ポプラ文庫ピュアフル) 装画:爽々 2020年12月『このラブレターが、君の所に届くまで』(KADOKAWA/角川文庫) 装

    • 夜の深さを知る人に、幸福な明日が訪れればいい

      一瞬で消えた秋に冬が顔を出す。寒さに震える朝と夜、陽が出ない雨の日は部屋と外の気温差に驚いてしまう。夏は湿度が高く、虫が何とか言ってたくせに、今だけは感謝していたりする。 一瞬で過ぎ去った季節の中、別れや新たな出逢いを通し、世界はまた、少しずつ色を変えていく。 そんな中、私は何をしていたかと言うと、季節の変わり目に気づかず部屋でカタカタ仕事を続けていた。昼時に少しだけ外に出た瞬間、あれ、寒いんですが?と気づいたのである。 毎日同じことを続け、同じ部屋で、少し違う物語を書

      • 世界が終わる日にきっと、

        世界が終わるとしたら 子供の頃、よく考えていた。 明日、世界が終わるとしたら。 その瞬間はどのように訪れるだろうか。幾度なく見た映画や小説のように、隕石が落ちてきたり、怪物に破壊され、大地震、津波、アトランティスのように海に飲まれ消えるのかもしれない。 ただ世界が終わるなら、さっさと死んで生まれ変わりたいと思っていた。 人生に意味など無く、未来に希望は存在しない。スポットライトを浴びる人間を陰から見て唇を噛み締めるくせに足踏みする。そんな生き様がお似合いだとでも言うよ

        • 雨音を聞くその時に、私が私であればいい

          つんとした、空気の冷たさに目を細める。 子供の頃、雨が好きではなかった。 濡れたランドセル、浸水した靴、水浸しの廊下、鬱々とした空気。 成長した後も雨はいつだって私を憂鬱にさせていた気がする。制服が濡れ、ローファーの隙間からぐちゅぐちゅと音を立て溢れる泡に、心底吐き気がしたのを憶えている。 高い湿度、乾かない洋服、家路につく足が速まるのに気分は億劫。水溜りを踏んでしまえば尚の事。 でも子供の頃から私は、本当の意味で雨が嫌いなわけではなかったりする。 静かな部屋で電

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        優衣羽のポートフォリオ

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        • 元気でいろとは言わないが、日常は案外面白い
          85本
        • 短編小説まとめ
          20本
        • 君が死んだ、綺麗な夜だった。
          6本
          ¥300
        • 既刊作品の小さなお話
          6本
        • 僕と君の366日の嘘
          10本
          ¥500
        • 作家の気まぐれグルメレポート
          2本

        記事

          腹を括る事で幸せになるのなら、何度だって括って楽園へ手を伸ばす

          時折、一瞬で世界が変わっている事がある。 それは別に、一瞬で変わった訳ではなくて。知らない所で進んでいた物事への結末がこの目に映る瞬間。それが重なっただけのお話だったりする。 一人で少し遠くに行っていた。呆然と、世界を見ながら久し振りにノイズのない状態になれたと感じながらも車窓を眺める。生きていると色んな事を考える。見えもしない未来に不安を抱き、置き去りにしたはずの過去の選択、これまでとこれから。今日のご飯は何にしようなんて考えるのも煩わしい時があったりする。 最近気づ

          腹を括る事で幸せになるのなら、何度だって括って楽園へ手を伸ばす

          深海を照らしていた光は今、心臓の真ん中で輝いている

          忘れられない瞬間がある。 午後一時、靡く薄水色のカーテン、黒板を弾くチョークの音、水平線のような空、制汗剤の匂い、薄手のシャツ、誰かの寝息、静かな教室。 電気のついていない室内が陽の光だけで照らされている。優しいその光が、子供の頃からずっと好きだった。今でも陽が暮れるまで電気はつけないし、目安はキーボードを打ち間違えるくらい暗くなるまで。 小さな声、息遣い、酸素を求める魚のようにパクパクと動かして。その先には忘れられない人生の欠片がある。 当時はこんなにも憶えているよ

          深海を照らしていた光は今、心臓の真ん中で輝いている

          いつか、そんな終わりを迎えるために進む物語

          金木犀はまだ散らない 夏が長引き秋は一瞬で消え冬は長く春は変わった。生きれば生きるほど、知っていた季節は消えていく。残っていた歴史は薄れ、標準は変化し、希望は時に点滅する青信号のようで、いつ赤になるか分からない。普通はいつの間にか姿を変えていた。 その昔。十数年前くらい。よく分からないけど26歳くらいで結婚すると思っていた。進学するかしないかは分からない。でも淡々と、有り触れた日常を生き求められた普通を選ぶのだろうと、信じてやまなかった。 やりたい事は特にない。焦がれる

          いつか、そんな終わりを迎えるために進む物語

          振り返って救いの手を伸ばさなくても、君は一人で歩いてきただろう

          郷愁という言葉がある。異郷に来て故郷を懐かしむ意味を持つ言葉だ。別名ノスタルジア。恐らく現代においては後者の方が馴染み深い言葉だろう。 ただ過去を懐かしむという言葉を懐古という。ちなみに、過去を顧みる言葉は回顧。回顧録とは過去に起きた事象をまとめ、いつかの未来に生きた人々が過去に起きた事象を顧みるための記録らしい。 つまり懐古厨とは過去を懐かしんではそこに立ち止まる人々のことをネット用語で表した言葉なのだろうけれど。まあそんなことはどうでもいいか。 懐かしむほどの過去を

          振り返って救いの手を伸ばさなくても、君は一人で歩いてきただろう

          言えなかった過去はラムネ瓶の中で今も泡を立てている

          キュポンッ。小気味のいい音と共につっかえていたビー玉が落ちる。シュワシュワパチパチ。鳴る音はまるで爆発までのカウントダウン。慌てて手を離し飲み口に唇をつける。砂糖に水、檸檬などの香料で味付けされたそれは夏の風物詩だった。 波打ち際で泡立つ海水のように、口に入れた瞬間一瞬にして泡になったそれをいつまでも恋しく思うのはどうしてだろう。穴に落ちてくるビー玉を舌で押し返し、口を離した頃には容量が半分まで減っていた。 「へたくそ」 手のひらに丸い跡が残っている。私は唇を尖らせ、さ

          言えなかった過去はラムネ瓶の中で今も泡を立てている

          君が死んだ一年前と同じ、残酷なほど美しく、綺麗な夜だった。

          空に打ち上がった花を憶えている。 海面は鏡のように反射し、一瞬の輝きを映しては消え灰が降り注ぐ。空に上がる抜けた空気の音、全身に響き渡り心臓さえも脅かすほどの爆発。咲いては消えを繰り返す夏の風物詩を見る人々は皆スマートフォンを手に一瞬を収める事へ躍起になっていた。 どうせ見返さないくせに。画面を通して空を見る人々を横目にそう思った。所詮SNSにあげるだけの映像。自慢、虚栄心、承認欲求に優劣。インターネットがある世の中が当たり前になって、多くの人の生活を覗き見る事が可能とな

          ¥300

          君が死んだ一年前と同じ、残酷なほど美しく、綺麗な夜だった。

          ¥300

          愛されるべき人

          神田伊月は愛されるべき人だった。

          ¥300

          愛されるべき人

          ¥300

          僕の惑星には月光、君の惑星には木漏れ日

          人は必要な時、必要な人に出会うと言いますが 因果応報を信じている。というより、確信している。 その昔、といっても数年ほど前。理不尽がきっかけで居場所を追われた事がある。振り返ってみれば私自身に一切の問題が無かったわけではない。けれどそれ以上に強い理不尽が、まるで断頭台へ跪き民衆の前で嘲笑うような形を持って訪れた。 その時知ったのは人なんて所詮我が身が可愛くて仕方ないから、理不尽も不条理も悪意、嘘でさえ、自分が刺されるのであれば暴こうとはしない事。真実は民意によって歪めら

          僕の惑星には月光、君の惑星には木漏れ日

          羽ばたく願いの起源を知り、叶えるための物語を口にする

          かの有名なオスカーワイルドさんが残した物のうちに、こんな言葉がある。 「人生は芸術を模倣する」 意味は人生が虚像で、芸術こそが真実。 何と捻くれた表現よ。ただ言い得て妙である。 元は「自然は芸術を模倣する」という言葉を引用して作られたのだが、現代において、特に日本に置いてはオスカーワイルドが残した言葉の方が馴染み深いだろう。 オスカーワイルドさんは多分、繊細で悲観的で、諦めを抱きながらも一縷の望みを、愛を捨てられなかった人なんだろうと残された彼の作品群を見る度思う。男色

          羽ばたく願いの起源を知り、叶えるための物語を口にする

          砕け散るまで進んだ旅路の末、星が流れたら僕の勝ち

          君は星。おおいぬ座のシリウス。 8.6光年先で輝き続ける、僕だけの一等星。 個人的な話をすると、星より月の方が好きだ。サイズ感とか光り方とか、色々あるけれど単純に圧倒的なまでの理想を体現しているような気がするからだと思う。 月は満ちて欠ける。いつか爆発して消えるかもしれない。でも、他の星々よりずっと安定感がある。人類が全滅しても地球が滅びても輝いてそうだし、何なら宇宙で大爆発が起きても生き残っている気がする。それくらい、ちょっとした図々しさがある。 美しい光は人々を魅了

          砕け散るまで進んだ旅路の末、星が流れたら僕の勝ち

          諦めを抱いている人

          神田伊月は諦めを抱いている人だった。

          ¥300

          諦めを抱いている人

          ¥300

          周りをよく見ている人

          神田伊月は周りをよく見ている人だった。

          ¥300

          周りをよく見ている人

          ¥300