筋肥大トレーニングの「最終結論」か、それとも現れては消える「泡沫理論」か⁉~大注目の「LLP法」について考える~
さて、筋肥大トレーニングの基本中の基本といえば
フルストレッチ/フルコントラクション
Full Stretch/Full Contraction
ですね。
完全伸長/完全収縮ということで、かんたんに言うと、伸ばしきって縮みきる。
つまり「可動域をめいっぱい使ってトレーニングする」ということです。
これとほぼ同じ意味あいの用語で、Full ROM(Range of Motion)という言い方もします。
「全ての可動域」という意味ですね。
基本的に、できるだけ広い範囲で筋肉を動かした方が、トレーニングの効果は高くなるとされています。
とはいえ、ふだん扱えない高重量を扱う目的で、あえて可動域を狭くして、ハーフレンジやパーシャルレンジで種目を行うという方法も、あるにはあります。
パワーリフターや、1RMに特別なこだわりのある人がしばしば用いる手法です。
また、伸ばしたい競技力の目的によっては積極的にハーフやパーシャルレンジを採用する場合もあるかもしれません。
しかし、これはあくまでも「特定の目的」のために行うものであって、普段からメインのトレーニングで行うようなものではありません。
だから、基本的にトレーニング上級者になるほど、可動域にはこだわってトレーニングをしているはずです。
たとえば、日本のボディビル界ではもはや「レジェンド」というべき有名人である、「狂気の男」こと合戸孝二氏は、ベンチプレスでの大胸筋のストレッチ感を追求した結果、独自のパッドを敷いて種目を行っているといわれます。
動画をごらんください。
これまたボディビル界では有名な、バズーカ岡田氏との動画です。
この動画に登場する、自転車のサドルを大型化したようなパッド。
どうやらこのパッドを背中に敷くと、大胸筋のストレッチ感がより強くなるようです。
(合戸氏のジムに置いてある「独自の機材」は、こうした観点から考案されたアイテムが多い印象があります)
面白いことにこの「合戸式パッド」、クラウドファンディングで商品化される予定みたいですね(2024年6月時点)。
個人的には、かなり興味深いアイテムです。
そんなわけで、筋トレにとって可動域の広さはもう「最重要課題」といっても過言ではありません
でした。
ここで「でした」とことさら過去形でいうのは、最近になって、この「フルストレッチ-フルコントラクション」という筋トレの大原則を、根底からひっくり返すかも知れない理論が登場しているからです。
しかも、それは選手やトレーナーなどいち個人が独自の経験則から提唱する理論としてではなく(こういう「個人の意見」レベルでは、それこそ様々な理論が提唱されては消えていきます)、トレーニング科学の分野で「エビデンスあり」として、つまり科学的に一定の有効性が認められたものとして、登場しています。
その名もずばり
LLPトレーニング
といいます。
このLLPというのは、
Long Range Partial
の略称です。
ロングレンジパーシャル、直訳すると「長距離の部分的(トレーニング)」です。
これだと何のことやら分かりませんが、普段からトレーニングをしている方なら、次のように言いかえればすぐに分かると思います。
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