見出し画像

「10回×3セット」は本当に筋トレの最適解か? ~比較実験から考察する~

筋トレ界の王道、というかまず初心者ならここから始めろ!
と言われる10回3セット

じつは、明確な根拠のない数字だったりします。

ただ、一応それなりにメリットも考えられます。

  • それほど高重量ではないので、フォームに多少不安があってもケガをしにくい

  • そこそこボリュームを稼げる

  • キリがいい、分かりやすい

などでしょうか。

別に確たる根拠があるわけじゃないけど、無難かつ便利で覚えやすい数字が、10回3セットということでしょうか。

従来から言われているので、もうなかば業界のデファクトスタンダートみたいになってるけど、もっといい方法はないのか?

ということで、ある実験が行われていました。

2014年の研究だとか。

論文の筆頭著者は、トレーニング科学ではおなじみのブラッド・ショーエンフェルト博士です。
こんな本の邦訳も出ています。

本記事は、この実験内容と結果についての紹介、およびそれらについての考察です。
それでは、さっそく紹介しましょう。

まず、この研究では総合大学に所属する男性20人を被験者に行われました。
多分学部生だと思いますが……院生や、もしかしたら教職員も混ざってるかも。

平均年齢は23.2±2.7歳
じっさいの年齢幅は20~31歳です。

これらの人達が10人ずつ2つのグループに分かれて、実験を行いました。
実験手順は、次の通りです。

週3回のトレーニングを、全8週間行う。
全部で9種目。ただし、1回のトレーニングで行うのはそのうちの3種類。
1週間で、9種目を重複なくすべて行う。

実験終了後に、筋力と筋肥大の結果を計測する。

筋力は、
ベンチプレス
バックスクワット
1RMの記録で計測。

筋肥大は、
上腕二頭筋の厚みで計測。

実施する種目

上半身(前部)

インクラインプレス
フラットバーベルプレス
ハンマーストレングス・チェストプレス 

上半身(後部)

ワイドグリップ ラットプルダウン
クローズグリップ ラットプルダウン
シーテッド ケーブルロウ

下半身

バーベル バックスクワット
マシン レッグプレス
マシン レッグエクステンション

上記の種目を、1回のトレーニングで3種目ずつ実施する。
週3回なので、1週間で9種類全部行うことになる。

まず1点注記。
フラットバーベルプレスが何を指すのか不明です。
おそらく、フラットなシートのベンチプレスの事だと思うのですが。

もしかしたら、ベンチに座って行うバーベルショルダープレスか、あるいは全く別の種目かも知れません。

一応、ベンチプレスのことだと思って話を進めます。

続いて、比較対象となる2つのグループについてです。

➀HTグループ(Hypertrophy Training=筋肥大)

10回3セットで行う。
負荷は、10RMの重量(事前に10RMを計測)。
セット間インターバルは90秒
分割法で行う。

つまり、上記の種目を部位ごとに
Day1 上半身(前部)3種目
Day2 上半身(後部)3種目
Day3 下半身    3種目 

で週3日行う。

②STグループ(Strength Training=筋力強化)


3回7セットを行う。
負荷は、3RMの重量(事前に3RMを計測)。
セット間インターバルは3分
全身法で行う。

つまり週3日のうち、どの日も上記の

上半身(前部)
上半身(後部)
下半身

各群から1種目ずつ行い、全身にまんべんなく負荷をかける。
ただし、1週間の中で同じ種目を2度はやらない。

となっています。
要は、従来の

ボディビルダー寄りの分割筋肥大型トレーニングと、
パワーリフターの間で行われることの多い全身・筋力型トレーニング

を比較した実験といえるでしょう。

さて、結果はどうなったか。

筋力

まず、筋力について。
これはもう予想がつくかと思いますが…
STグループ、つまり3回7セットグループの勝利でした。

ここから先は

4,389字

¥ 100

期間限定!Amazon Payで支払うと抽選で
Amazonギフトカード5,000円分が当たる

この記事が気に入ったらチップで応援してみませんか?