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スクワット・ベンチプレス・デッドリフトの「BIG3」を伸ばすために必要なただ一つの筋肉を発見 ⁉ ~ 研究論文を手がかりに考えてみる ~

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〜2月9日 21:00

(記事のアップ後に相当量を加筆したので、セール期間終了後に値上げする予定です。興味ある方はお早目に!)

BIG3

スクワット、ベンチプレス、デッドリフト
筋力トレーニングにおける、基礎的なバーベル種目の代表例といってよいでしょう。

「3種目じゃ全然足りない」とか「スクワットとデッドで動作がかぶる」とか「もっといい選択肢がある」とか色々と批判されることもありますが、今でもやはり筋トレの「基礎基本」とされる種目です。

アスリートの筋力、いわゆるストレングスの指標として用いられることも多く、フィジカル強化のためこれらに取り組んでいるスポーツ競技の選手も多いと思います。

またボディメイクの分野でも、筋力強化や筋肥大のための基礎的な種目として行われることは多いはず。

今でこそ、利便性や安全性、対象への負荷のかかりやすさなどからマシントレーニングも浸透しつつありますが、かつてはボディビルダーといえど古典的なバーベル種目を黙々とやり込んでいた時代もあるのです。

今でも、コアなトレーニーはオールドスクールなバーベル種目を重視していることでしょう。

世界的に有名な(金色の)某フィットネスジムでも、トレーナーの採用試験を突破するには規定重量のBIG3を挙げないといけないとか……。

そんなわけで、ある意味BIG3の挙上重量というのは筋トレをする人にとっての「共通言語」のような側面があります。

おそらく、筋トレをしている人でBIG3を全くやったことがない、という人はまずいないでしょう。

少なくとも、ベンチプレスぐらいは経験があるはず。

だから、

ベンチ、何キロ挙がる?

と聞けば、それで相手のトレーニングレベルがなんとなく推測できるというもの。

スクワットのしゃがみの深さだととか、ベンチプレスでお尻が浮いてるとか、物議をかもしそうなチェックポイントはいくつかありますが、BIG3の挙上重量がなんとなくトレーニーとしての「格」を決めてしまう、という肌感覚は理解できるでしょう。

それこそパワーリフティングという、BIG3の合計挙上重量を競う専門の競技も存在します。

近年では、競技人口がかなり増えて裾野が広がっているという話も聞きます。

さて、今回の記事はそのパワーリフターたちを被験者に行われた研究の紹介です。

2002年、アメリカインディアナ大学の研究です。
共著者には、東京都立大の先生の名前もあります。

内容はズバリ、FFMBIG3の挙上記録との関係を調べたものです。

FFMというのは Fat-Free Mass の略で、日本語だと「除脂肪体重」と訳されます。

ごくかんたんに言うと、「筋肉量」のことだと思ってください。
(正確にはやら何らやら筋肉以外のものも含みますが)

つまり、そもそも 筋力=筋量 なのか?という基本的な問題ついて調べた研究です。

これは一見するとごく当たり前のようですが、その一方でリフティング競技の世界では、軽量級でもものすごい重量を挙げる選手がいるのも事実。

また、高重量を挙げるには筋肉量よりも神経系の発達が重要だ、という説もあります。

なので、一概に筋量=筋力とは言い切れないだろう、という根強い意見があるのです。

ということで、今回の研究では20人男性パワーリフターが調査対象です。

そのうち、4人の世界チャンピオンと、3人の全米チャンピオンを含むそうです。
その他の選手も、みなナショナルレベルのリフターだとか。

これはすごいですね。

97年に実施された全米の大会で被験者を募ったようです。

この人達を、体重に応じて

軽量級(LWT)
中量級(MWT)
重量級(HWT)

3つのカテゴリーに分け、超音波診断装置を使用して骨格筋の厚みを計測しました。

用いられたのは、アロカSSD-500という日本の機材だそうです。
この手の実験ではわりとおなじみですね。

医療機器販売サイト「Bemedis」より転載

全身のうち、13箇所の筋肉の厚みを計測しました。

さて、結果はどうなったでしょうか。

測定結果


全体的な結果として、筋肉の厚み挙上記録との間には高い相関関係が見られました。

これは、軽量級~重量級の全ての選手において同様です。

なので大筋としては、

筋肉の厚みがあるほど、BIG3の記録は大きい傾向にある


ことが、今回の調査では確認されました。
(もちろん、この結果一つで最終的な結論を出せるわけではありません)

スクワット、ベンチプレス、デッドリフトの3種目全てにおいて、はっきり正の相関がありました

つまり、筋力=筋量 というきわめてシンプルな原理の正しさが、ここでは確かめられたのです。

加えていうと、どうやら筋束の長さ(Fascicle length)FFMと相関しているようです。

筋束というのは、筋肉を構成する筋繊維が束になったもののことです。
さらに言うと、筋繊維は筋原線維が束になったものとされています。

下の図の、赤〇で囲った部分が筋束です。

wikipedidaの「筋肉」の項より図を転載。

なので「筋束長とは筋肉の長さのことだ」と言いたくもなりますが、羽状角の問題もあるので一概にそうはなりません。

筋肉には羽状筋と呼ばれるタイプのものがあって(代表例は大腿四頭筋)、そうした筋肉では、短い筋束が筋腹に対して斜め方向に走っています。

一方、平行筋と呼ばれる筋肉(代表例は上腕二頭筋)では筋束と筋腹が平行なので、この場合はほぼ 筋肉の長さ ≒ 筋束の長さ になります。

詳しく説明すると長くなるので、これぐらいにしておきます。

さて、続いて個別の筋肉について、いくつか気になった点をコメントしていきましょう。

じつは、かなり意外な筋肉が、BIG3の記録との高い相関を見せているのです。


まず、下図をごらん下さい。

各筋肉の厚みと、BIG3トータルとの相関(関係の強さ)を表にしたものです。

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