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多様化するエンジニアのキャリア:SI回帰から見えてくるもの

みなさん、こんにちは!
にーおか@Yuidyy555です。

北海道は少し、涼しい日が増えてきて
「あー。北海道の短い夏が終わるー!!」と
寂しさを感じる今日この頃ですが、皆さんはいかがおすごしでしょうか?
さて、今日はエンジニアのキャリアについてのnoteです!!!

エンジニアのキャリアパス、SIから事業会社へが多い?

最近、エンジニアの友人や知人たちの転職の動きが変わっていることに気づきました。具体的には、SIから事業会社に転職していた人が、再びSIに戻るという動きを多数目にしているのです。

今回は、エンジニアのキャリアパスについて、最近の傾向と、その背景にある思いを探ってみました。SI、事業会社、それぞれの魅力と課題。そして、エンジニアとしてのキャリアを考える上で、またキャリア支援をする上で本当に大切なことは何か。10年以上、エンジニアのキャリアサポートに携わってきた経験を基に、エンジニアのキャリアについて考察します。

このnoteはどんな人の役に立ちそう?

  • エンジニアとしてどういうキャリアを歩んでいこうかイメージを持てていない方

  • 現在、エンジニアとしてのキャリアに迷いを感じている方

※どの道を選んだら正解!ということはこのnoteでは扱いません。(そもそもキャリアに正解も不正解もないと思っています)

どの立場でこのnoteを書くの?

新卒の時から丸10年以上、ITエンジニアの皆さんのキャリアを転職支援会社の人間として、そのあとはSIや自社サービスの人事として、サポートしてきた経験からここ最近考えていることを書きます。

今までの傾向:SI→事業会社が多かった

2010年代前半、転職エージェントとして働いていた頃、キャリア相談に来られる方々の約8割が「自社サービスを開発する会社に転職したい」という希望を持っていました。

ここでいうSI(システムインテグレーション)企業は、顧客の要望に応じてシステムを構築する会社を指し、事業会社は自社のサービスやプロダクトを開発・運営する会社を指します。

お話を伺うと、その背景には主に3つの要因がありました

  1. 給与水準が高い(と認識されている)

  2. 指示通りに様々なものを作るのではなく、一つの製品に愛着を持って開発したい

  3. 客先常駐ではなく、自社の仲間と一緒に開発したい

当時、面談をした際に20代のエンジニアはこう語っていました。

「SIの仕事にも意義はありますが、自分が作ったものが自分の作った製品として世の中で使われ続けるのを見たいんです」

こうした相談を数多く受け、実際にSIから自社製品開発企業への転職がとても多かったことから、「多くのエンジニアが自社製品開発の会社を望んでいるのだな」と私は認識していました。

最近の傾向:事業会社からSIへの"逆流"現象


ここ数年、知人や友人のキャリア選択を見ていると、従来の流れとは異なる興味深い傾向が目立ち始めました。

具体的には、次のようなキャリアパスを歩む人が増えています:

1.新卒でSIに入社し、客先常駐で開発経験を積む
2.自社サービスを持つ事業会社に転職し、自社サービスの開発に従事
3.別の事業会社に転職し、引き続き自社サービスの開発を行う
4.最終的に、SIに"戻る"形で転職

つまり、一度SIから自社サービス開発の会社に移った人が、再びSIに戻るという流れが目立つようになってきたのです。

この傾向はエンジニアに限らず、デザイナーの世界でも同様の動きが見られます。インハウスのデザイナーとして働いていた人が、デザイン会社に転職して戻るケースも増加しています。

SIへの回帰:意外と納得の転職理由

この傾向に疑問を感じ、直接複数の人に「なぜSIに戻ったのか」を尋ねてみました。様々な回答がありましたが、共通していたのは「多様なプロジェクトに関われる」という点でした。

以下は、3人のエンジニアの声です:

Aさん(30代・男性): 「SIでは1〜2年でプロジェクトや人間関係が変わる。サービス開発も好きだけど、同じ環境で同じ人と同じプロジェクトを続けるのは合わなかった。技術選定や設計、外注管理など、幅広い経験ができるのもSIの魅力」

Bさん(20代後半・女性): 「自社製品開発は楽しかったけど、人間関係に疲れた。SIなら『このプロジェクトが終われば別れる』と割り切れる。様々な人と関わり、多様な経験を積めるのが自分に合っていたんだと気づいた。」

Cさん(30代・デザイナー): 「自社のデザイン思想と自分の考えが合わず苦労した。クライアントワークなら『納品して終わり』だけど、自社だとずっと妥協を強いられる。それが精神的に辛かった。」

「自社だから」という理由で割り切れないフラストレーションや、環境の固定化に対するモヤモヤ感が、「SIやデザイン会社の方が自分に合っていた」と感じ、転職する人が増えているのだと感じました。

この現象は、エンジニアのキャリア選択において、単純に技術的な挑戦や給与だけでなく、「働き方」や「環境の多様性」が重要な要素になっていることを示していると感じました。SIの特徴である「プロジェクトの多様性」や「人間関係の流動性」が、むしろ魅力として評価されているのです。

さらに、この傾向は「専門性」と「汎用性」のバランスに関する議論にも繋がります。自社サービス開発では特定の領域で深い専門性を築ける一方、SIでは幅広い経験を通じて汎用的なスキルを磨くことができます。

エンジニアの中には、この「幅広さ」にキャリアの可能性を見出す人も多いのかもしれません。

私自身、人材紹介会社での経験とインハウス人事としての現在の立場から、この状況に強く共感しました。人材紹介時代には多様な企業やエンジニアと接する中で、キャリアの多様性や経験の多様性を目にしてきました。またいろんな企業の方と接することができるため、それらがノウハウとして自分の中に蓄積されていきました。

一方、インハウスの立場では、入社後一人の人が育っていくところを間近でみることが出来、自社についての理解を深めることができます。しかしながら、「他社事例」を知る機会は圧倒的に減りました。他社がどんなことをやっているのか、どんな意図で新しい施策を組み立てているのかなど、外部公開されている情報以外では仕入れることができなくなりました。「知識」の積み重ね方に大きな変化が生まれたのです。

今回、知人の同じような転職を複数回目にしたことをきっかけに「自社サービスの会社の方がものづくりをする上で、エンジニアにとっては良い環境なのだ」と考えてしまっている自身の固定観念に気づき、深く反省しました。

エンジニアのキャリアは一様ではなく、それぞれの価値観や目標、性格に応じて最適な選択肢が異なることを、改めて認識したのです。

結びに:多様性を認め、経験を重視する新たなキャリア支援の形

ここまで様々な観点からエンジニアのキャリアパスについて考察してきましましたが、「実際に自分で経験してみないと、わからない」ことが多いのも事実です。

日本の労働市場は大きく変化しています。かつては「終身雇用」が当たり前とされ、転職する人の方が珍しい時代でした。しかし、リクルートワークス研究所の調査によると、2020年の転職者数は約301万人と推計されています。これは日本の労働人口(約6,700万人)の約4.5%に相当し、決して少ない数字ではありません。

この変化は、エンジニアにとって新たな可能性を示唆しています。「意思を持った転職」や「戦略的なキャリア構築」を重ねることで、自分に最も適した環境や役割を見つけられる可能性が高まっているのです。

これをいったら元もこもないですが、価値観やキャリアゴールは人によって大きく異なります。SIと事業会社、それぞれに魅力と課題があり、個々のエンジニアに最適な選択肢は異なります。私の知人のように実際に異なる環境を経験することで、自分に合った「働き方」を見つけることができるかもしれません。

私たちエンジニアのキャリアサポートに携わる者の役割は、この多様性を理解し、エンジニア一人ひとりの適性や希望に沿った、偏りのないアドバイスを提供することです。そして、エンジニアが自身のキャリアを主体的に選択し、構築していけるようしっかりと話を聞き、エンジニアが感じた「違和感」を受け止め支援することが、今後ますます重要になると確信しています。

最後に、読者の皆さんに問いかけたいと思います。あなたにとって「理想の仕事」とは何でしょうか?今、仕事をする上で心の中で感じている葛藤はありますか?そして、理想を実現するために、今どのような経験が必要でしょうか?次のステップを踏み出す前に、今の場所で詰むべき経験はありますか?これらの問いについて深く考えることが、「自分らしい働き方」を築く第一歩になるかもしれません。


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