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「データ分析に必須の知識・考え方 認知バイアス入門 分析の全工程に発生するバイアス その背景・対処法まで完全網羅」
山田典一さん著の「認知バイアス入門」を紹介します。下記の図が書籍の目次からなるダイアグラムです。書籍の全体構成を俯瞰することができます。
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「データ分析に必須の知識・考え方 認知バイアス入門 分析の全工程に発生するバイアス その背景・対処法まで完全網羅」
第1章 分析者にとっての認知バイアス―複雑な世界と繋がり続けるための認知の癖を知る
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1.1 分析者にとっての認知バイアス
1.2 認知の働きを理解する
1.3 認知バイアスの起源を知る
1.4 各種バイアスの起源と特徴を知る
1.5 失敗の歴史から分析の役割を再考する
多くの書籍が分析者ではなく社会人向けのバイアスの本であるが、本書は「分析者のための」という切り口で書かれた本です。そのうえで、タイトルは「統計的」ではなく「認知」というタイトルがついているのが特徴といえるでしょう。内容的には3種類のバイアス、統計、認知、社会的について書かれています。
第2章 統計的バイアスの基礎―認知の癖に起因する統計的バイアスへの対処法
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2.1 統計的バイアスの種類
2.2 バイアスの発生原因
2.3 統計的バイアスへの対処
2.4 分析者もバイアスの罠
統計的誤差として、系統誤差と偶然誤差にわけて説明がされています。このうち、系統誤差を小さくするための手段の一つとして、認知バイアスの知識を役立てよう、ということのようです。系統誤差としては、交絡、選択バイアス、情報バイアスが紹介されています。そして、交絡因子を見誤る原因としての確証バイアスと信念バイアスを紹介しています。偶然誤差への対策としては認知バイアスというより「サンプルサイズを増やすことで対応できる」としています。
第3章 機械学習とバイアス―私たちの外側にある推論マシーンとの向き合い方
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3.1 機械学習の基礎
3.2 機械学習のバイアス
3.3 パターン認識
3.4 専門性に基づく直感と機械学習
3.5 社会的バイアスと機械学習
機械学習バイアスとしては、データバイアス(≒統計的バイアスの情報バイアス)、選択バイアス、帰納バイアスを挙げています。
そして教師なし学習における、人のパターン認識のの限界と、機械のパターン認識の限界についても語られています。
第4章 記憶由来のバイアスの罠―風呂場で死ぬより、コロナで死ぬことを恐れる理由
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4.1 記憶の仕組みと特徴
4.2 記憶の働きに由来する認知バイアス
4.3 情報空間で露になる記憶由来のバイアスの脆弱性
4.4 記憶由来のバイアスの軽減戦略
人間の記憶の仕組みや特徴に触れたあとで、記憶の働きに由来する認知バイアス、情報空間で露になる記憶由来のバイアスの脆弱性について紹介した上で、それへの対処法として、記憶由来のバイアスの軽減戦略を紹介しています。
第5章 認識由来のバイアスの罠―認識時に重視される「正確さ」以外の基準を知る
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5.1 認知の働きの特徴
5.2 集団を介した自己・他者認識
5.3 分析者が注意したい認識由来のバイアス
5.4 認識由来のバイアスの軽減戦略
認知の中でも認識にあたるものとして、自己・他者認識、状況認識の特徴を紹介しています。
分析者が注意したい認識由来のバイアスを4つ挙げた上で、軽減戦略を3つ紹介しています。
第6章 判断由来のバイアスの罠―物事を「自分と切り離して」分析し判断する難しさ
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6.1 確証バイアスの影響を知る
6.2 確証バイアスにおける判断由来の認知バイアス
6.3 集団レベルにおける判断由来の認知バイアス
6.4 判断由来のバイアスの軽減戦略
判断バイアスとして確証バイアスとそれ以外に分類し、紹介されています。
確証バイアスの弊害として、循環論法と偶然性の軽視が語られています。
また個人だけでなく、人が集合した際、特有のバイアスにも触れた上で軽減戦略が語られます。
第7章 因果関係の錯覚への対応―科学的な因果関係の4つの認定基準を知る
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7.1 因果関係とは
7.2 因果関係の錯覚と疑似科学
7.3 因果効果の測定
7.4 因果メカニズムの解明
因果関係の基準として①:関係性、②:妥当性、③:時間性、④:非偽性の4つについて紹介されています。
バイアスとしては疑似科学を信じるメカニズムとして、さきほどの基準4つがどのタイミングで現れるかの整理(わかりやすい!)や因果関係のメカニズムを解明する際の①:因果効果の分解、②:介入の計画について紹介されています。
第8章 ケーススタディ―分析の流れの中でバイアスへの対処法を学ぶ
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8.1 ケーススタディ①:気温とアイスクリームの売上の相関分析
8.2 ケーススタディ②:宿題は学力を向上させるのか?
8.3 ケーススタディ③:機械と専門家の協働実験の評価
ケーススタディとしては3つ。気温とアイス、宿題と学力の相関関係を分析する際に混入してしまいかねない認知バイアスと、機械と専門家の協働実験(いわゆるヒューマン・イン・ザ・ループ)の評価における認知バイアスについて、事例紹介の体裁で教えてくれます。
最後に
大量の情報がわかりやすく整理されている労作です。筆者自信が「知識のバイアスに囚われた」という告白が「おわりに」でされていますが、これはわかりやすさへの意欲、つまり知らない人へどう伝えたら伝わるか、に試行錯誤していたことの表れでもあります。このように誠実に調査・執筆された本ですので、ぼくも活用していこうと思いましたし、これを呼んだ皆さんもぜひ活用いただけたらと思います。
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全体構成図は The cognitive bias codexへのオマージュとして同じスタイルで作成してみました(Creative Commons Attribution-Share Alike 4.0 International)。