ミナミヌマエビの酸欠について


ミナミヌマエビとは

ミナミヌマエビは東アジアが原産の淡水性のエビで、水草や藻類、残餌や死骸等を食べる雑食性の生体です。小型で可愛らしい見た目と、繁殖力の高さから、水草水槽やアクアテラリウムなどで人気のある生き物です。

ヘモシアニンと酸素運搬

ミナミヌマエビは血液内の酸素運搬をヘモシアニンという色素によって行っています。ヘモシアニンは銅を含むタンパク質で、酸素と結合すると青色になります。人間や哺乳類は鉄を含むタンパク質であるヘモグロビンを使っていますが、ヘモシアニンは細胞外にあり、ヘモグロビンは細胞内にあります。また、ヘモシアニンはヘモグロビンよりも酸素との親和性が低いため、酸素運搬能力が劣ります。

水温上昇と酸欠

水温が上昇すると、水中の溶存酸素量が減少します。これは、水温が高くなると、水分子の運動が活発になり、酸素分子が水から抜けやすくなるためです。また、水温が上昇すると、生物の代謝も活発になり、酸素消費量も増加します。特に、水中にはミジンコやバクテリアなどの微生物も存在し、水温上昇に伴って活動が促進されて必要酸素量が増えます。これらのことから、水温上昇は酸欠を引き起こす要因となります。

酸欠と生体反応

酸欠になると、生物は生命維持のために様々な反応を示します。例えば、呼吸回数や心拍数を増やして酸素摂取量を増やしたり、魚やミナミヌマエビ等は水面に集まり酸素を求めるような動きをします。しかし、これらの反応は短期的な対処であり、長期的には生体に負担をかけます。特に、ミナミヌマエビは酸欠に弱いため、最悪の場合は死んでしまう可能性が高いです。

ミナミヌマエビの特性と酸欠

前述の通り、ミナミヌマエビは酸素運搬能力が低いヘモシアニンを持っています。そのため、水中の溶存酸素量が低下すると、他の生物よりも早く酸欠状態に陥ります。また、ミナミヌマエビは繁殖力が高く、水槽内で個体数が増えることもあります。これは、水中の酸素消費量を増やすことになります。

まとめ

以上のことから、ミナミヌマエビの飼育では、水温上昇による酸欠に注意する必要があります。水温上昇に伴い生じる生体反応やミナミヌマエビの特性により、水槽環境が悪化するサイクルになりやすいからです。水温上昇を防ぐためには、水槽の設置場所や水量、照明などに気をつけることが大切です。また、適切なエアレーションや、水草の設置も酸欠対策として有効です。

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