子どもが自ら考えて動かない原因は親や先生にある?主体的に行動してほしいときは、「一緒にルールをつくるところから始めてみよう」という話
どうも、定時制高校の特別非常勤講師の経験がある、おざりんこと、小笹です。
今回は「子どもたちが自ら考えるよう促すにはどうすれば?」というお悩みを持った親御さんや先生に向けて、「ルール」と「自律的」の関係性に着目しながら、掘り下げていきたいと思います。
考えはじめたきっかけは、タラちゃんの髪型も違反になる校則
この前、中学生の姪っ子との会話で「最近、ツーブロック(刈り上げスタイルの髪型)が生徒会の話し合いによって解禁された」という話を聞き驚きました。
厳密に考えると“タラちゃんのヘアスタイル”すらもダメだったということ。
「なんて不思議な校則なんだろう」という疑問から、「校則(ルール)」と「生徒の自律性」の関係性について思考が巡っていったので、それをシェアしていきたいと思います。
学力(偏差値)が高い高校ほど比較的自由度が高い傾向にある。
僕の住んでいた校区内では、偏差値が高い学校は制服はあれど、私服登校OKという学校がありました。「自分で考え判断できるでしょう。服も決められたものを着るのではなく、自分の責任で服も選んでください」
一見、自由と思えるけど、それなりに責任を感じさせる校風だなと感じた記憶があります。
では、「偏差値の高い学校しか、自ら考える力を育めないのか?」と問われると希望が見えないので、この学力を物差しにすることは一旦置いといて、「ルール(校則)」と「自律度合い」の関係性に着目して見たいと思います。
「ルール」と「自律性」の関係
「ルール(校則)」と生徒一人ひとりの「自律性」は相互にリンクしています。
自律性とは「社会的な行動・判断ができる」と言い換えてもいいかもしれません。つまり「自らの行動が周囲や自分の将来にどう影響があるかを、自ら考え判断できる」ということ。
ルール(校則)がないとどうなるか
自律性がない状態で子どもたちを放っておいてしまうと、1日中ゲーム三昧、昼夜逆転、昼間からマクドでダベり、よろしくない大人たちとつながりが生まれ、ひいては万引き強盗への加速度を加えてしまう。(かもしれない)
だからこそ、厳しいルールで行動を抑制し、管理下の元、子どもたちを守らなくてはならない。
おそらくそれも正しい。
ルールで管理するということは、自ら考える力も低くなる
しかし、「ルールで管理する」ということは、自ら考える機会がなくなるため、「先生の言うことに従っておけばいいや」となり「自ら考える力」も低くなります。(従順な子でない場合、反発が強くなる可能性もあります)
すると「自ら考える力」が低くなる(反発する力が高まる)ため、「ルールを強化する」という力が働きます。
ここは互いに強化し合う関係です。
ループの発端には「できないという思い込み」が存在する
実は、このループには先生の「子どもたちは、自分で考え行動する力がない」から、という前提(思い込み)が存在しており、それを認知しない限り、ループは永遠に回り続けていきます。
「ルールを強める」ことにより、「自ら考える力が低くなる」ため、さらに先生の中にある「生徒は自ら考える力はない」という前提(思い込み)が強化される、という関係になっています。
一方で、このループは脱することができると考えています。脱するためには、「望む変化」を明確にすることが必要です。
この場合、親、先生側から見ると「生徒の自律性を高めること」つまり、「自分や周囲にとってよりよいことになるよう、自ら考え判断し行動してくれるようになること」にあります。
では、ループのどこから変えていくか。
これは仮説でしかないですが、
先生一人一人が「生徒には考える力が備わっている」というマインドセットを持つこと
生徒の主体的な行動を歓迎するマインドセットを持つこと
生徒同士で話し合いルールを考える場を設けること
ルールを考え実行した経験を増やすこと
それによって生徒自身が何を得たのかを振り返る場を持つこと
などが挙げられそうです。
こうすることで、ルールで縛る、というループから抜け出し「ルールは自分たちで作れるものだ」「上手くいかなければ変えていけばいい」という信念(思い込み・前提)を生徒も先生も学び続けることができます。
冒頭にもどると、ツーブロック禁止を生徒会の話し合いによって変更した、というプロセスはまさにこれにあたります。
生徒会の話し合いでは「なぜツーブロックが禁止されてきたのか?」という疑問に必ずぶち当たります。その理由を紐解いていく過程で、「必ずしもツーブロックはあくまでも何かを守るための手段の一つでしかなく、それよりも大切なことがあること」に行き着いたはず。
それに気づくことができれば、自然と新たなルールの輪郭が浮かび上がり、何を大切にすれば良いかが見えてきたのではないでしょうか。
なぜそのルールとなっているか、思考するこのプロセス自体が実はとても重要なのではと僕は思います。
終わりに
学校の現場は、アクティブラーニングの導入や、DXによる学習環境の変化、先生の労働環境の見直しによる効率化の要求、運動部の地域移行のための調整など、常に時代からの要請に、変化を強いられる大変な環境だと思います。少しでもこの解説が先生の一助になれば幸いです。
僕の一番の願いは、生徒一人ひとりが大人になるときに幸せになってくれること。そのためにも、自ら考える力を持ち、自分の好きなこと・得意なことなどの自分らしさを発見し、関係性の中で成長していける環境づくりができることを願っております。
ちなみに、僕が特別非常勤講師としてお仕事をさせていただけたのは、所属するシミンズシーズがあったからです。総合の時間を使い、定時制の高校生たちと、最後の思い出になる校外学習の内容を考え、実行するまでをサポートさせていただきました。
自ら考える力を育むことにお悩みの方がいらっしゃれば、いつでもご相談くださいませ〜!おざりんでした!