「見えない価値」を見える化し、評価尺度に統合する 経済社会システム、保健医療システムのゲーム・チェンジ
こんにちは、守屋祐一郎です!
Public Healthの産業を開発すべくUbie、聖路加国際大学公衆衛生大学院(School of Public Health,以下SPH)で頑張っています。
このnoteでは、Public Healthの産業を開発するためのレバレッジ・ポイントを思考する中で、これに賭けようと思えた仮説を言語化しました。
アドバイスやご推薦情報等ありましたら、ご指導いただけましたら幸いです!
\\このnoteにある情報//
医療ヘルスケア、Public Healthと社会課題解決、ソーシャルイノベーションの交点
資本主義、医療制度における"価値評価"を巡る課題と打開策
要約
岸田政権が掲げる経済政策「新しい資本主義」にて、「インパクト」を鍵とした社会的課題解決が目指される。構造的課題の突破に向けて、「見えない価値」を見える化し、評価尺度に統合することが肝要。
近い課題が保健医療システムにも存在する。医学的エビデンスを基本とするその特性から議論が先行(医薬品の価値評価等)しており、その知見を経済社会システムにも応用可能である。
有用な要素技術として、経済社会システムの観点からはインパクト加重会計や非財務資本とエクイティ・スプレッドの同期化モデル(柳モデル)、保健医療システムの観点からは医療技術評価や社会疫学等が挙げられる。
これらの知見を応用することで、真価が適切に評価される状態を作り、価値ある事物のポテンシャルを開放していける。これは脈々と続いてきた資本主義や医療制度の歴史のページをめくる当事者になる好機でもある。本目的の研究と政策提言に貢献できるよう勉強頑張ります。
「新しい資本主義」の兆しと「インパクト」
岸田内閣の経済政策「新しい資本主義」において、「インパクト」をキーワードに、社会的課題を解決する経済社会システムの構築が目指される。
これは現在スカラー値で表現されている成果指標やインセンティブ構造を、インパクトの考え方でベクトル化していく試みとも理解できる。
重要な取り組みの一つに「インパクト投資」がある。これは、「経済的リターンと並行して、ポジティブで測定可能な社会的および環境的インパクトを同時に生み出すことを意図する投資」と表現される。
インパクト投資の市場は国内外共に拡大中。スタートアップ育成5か年計画も鑑みて、"当たり前"になっていく未来と考える。
レバレッジ・ポイントは"「見えない価値」を見える化し、評価尺度に統合する"こと
このような「社会的課題を解決する経済社会システム」実現における構造的なボトルネックを考える。
真因に迫るべく、なるべく根本のレイヤーとして、インセンティブ構造、もとい企業価値評価の尺度に着目する。
企業価値を「見える価値(財務的な価値)」「見えない価値(非財務的価値)」に大別した時、「見えない価値」の評価は、(ESG情報開示、インパクト測定・マネジメントなどの具体的な活動もあれど)未だ発展途上である。
具体的な歪みとして、経済性が低いテーマへの資源流入が劣後する、長期的な価値創造より短期的なインセンティブの追求が優先されてしまう、異なる専門家の協業時に納得感のある共通ゴールを定義しにくい、等がある。
踏まえて、一つのレバレッジ・ポイントとして、「見えない価値」を見える化し、評価尺度に統合することを重点課題としたい。
政産官学、金融から非営利まで、目的関数も文化も異なる様々なプレイヤーが交錯する中、適切な共通言語を頼りに益々建設的な議論を展開可能な状態を目指す。
具体的な登り方として、経済社会システム、もとい企業価値評価の文脈では、インパクト加重会計、非財務資本とエクイティ・スプレッドの同期化モデル(柳モデル)などに注目している。以下に情報を集積していくので、参考にされたい。
保健医療システムにも近い課題構造が存在し、議論が先行している
経済社会システムと保健医療システムの間に、「見えない価値」の見える化を巡る課題構造の共通点を見出せる。
例えば、医薬品の価値評価がある。医薬品の真の価値=「見える価値」+「見えない価値」と定義でき、現時点では評価尺度は主に前者からなるが、昨今「見えない価値」への関心が高まっている。
薬価算定の方法に関してこちらが詳しいが、現時点では類似薬との比較または原価ベースが基本である。
医療の根幹にはサイエンスがある。これまでの歴史的実践と探求に支えられる形で、「見えない価値」を見える化する議論が先行している、と解釈できる。
ex.)医療行為や薬価における総合的評価(アプレイザル)、バリューベース・ヘルスケア等
補完的イノベーションへの期待が高まっている
踏まえて、保健医療システムにおいて先行する議論や手法を、経済社会システムにも応用していけると考える。
実際に、グローバルヘルス(国際保健)分野では最先端の事例が生まれつつある。
Public Healthの文脈におけるキーワードとしては、医療技術評価、社会疫学等が挙げられる。
これらの要素技術も駆使して、「見えない価値」を見える化し、評価尺度に統合することで、経済社会システム、保健医療システムの双方にゲーム・チェンジを引き起こしていけるのではないか。
真価が適切に評価される状態を作り、価値ある事物や善意のポテンシャルを開放したい。
真の課題解決に対しては、片方では不十分=両方のシステムチェンジが必要条件である。
このような補完的イノベーションへの期待が高まっていると考える。
これは資本主義、医療制度の歴史のページをめくる当事者になる千載一遇の好機でもある。
価値とはなにか、善とはなにか、といった深遠な問いとも向き合っていく必要がある。
産業を開発し、Healthインパクトを最大化する
「産業を開発する」と言っているのは、Healthインパクトを最大化するため。
一人、一社が出せるインパクトは限定的であり、課題解決には融合知が必要条件である。
プレイヤーとして勝負し続けることに加え、他者を加速させるアクセラレーターとしての機能も備えなくてはいけない。
決められたルールの中で前進することを後押しするとともに、ルールそのものも進化させていきたい。
今後は、以下で勝負していきます!
❶社会課題の解決と経済的な成長を高次で両立する"インパクトスタートアップ"の突破事例を創出する(まずはUbie)
❷「見えない価値」を見える化し、評価尺度に統合する(研究と政策提言)
❸融合知の触媒になる(飲み会とか。何卒今後もお付き合いください。)
PS
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Ubieの夢は、少しづつ輪郭が具体性を帯びてきました。
医療のポテンシャルを開放し、大きく意味のあるインパクトを引き起こす本物の"パブリックヘルススタートアップ"にしていけると確信しています。「見えない価値」の見える化に向けて、Ubieのアセットを使って仕掛けたい展望もいくつか温めており、楽しみです。絶賛採用中ですので、ご興味お持ちいただけた方、お気軽にお声掛けください!
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