『こんなふうに生きていけたなら』
PERFECT DAYS
日比谷でやっていた先行上映に仕事終わりにすべりこんで観てきた。
まさに「こんなふうに生きられたなら」と思った。
役所広司さん演じる平山の、
時間を経て身についたであろう無駄のなさ。整然としているさま。やわらかさと鋭さと厚み。
世界に対して限りなく明瞭な境界線をもちながら味わいとやさしさが顔をのぞかせる瞬間にぐっと惹きつけられる。
東京がこんなふうにみえることもうれしくなった。光や色はずっとそこにあるものを違うふうに魅せてくれるからすごい。
同じ世界にいても繋がっていない世界。
探したらきっとあるその世界は、もしかしたらほんとうは生きたい世界なのかもしれない。
変わっていくものと変わらないもの。
流れていくなかでうつくしく、きらめくものは一瞬のようでいて、ずっと大切にできるものかもしれない。
写真を撮りたい。映画を観ながらずっとそうおもっていた。
じんわりとあったかくなる気持ちを。
一日のはじまりの光や音を。
大切な日々の営みを。
眠りにつくそのときの安堵を。
自分の中にあるそういうものを写真を通して表現したい。
生きるのは大変だけれど、
うつくしいとおもうものを大切にできたら人生をいとおしくおもえる。
そんな気がする。
映画を観終わって、先生が思い浮かんだ。
先生は勤めていた美容室の代表で、映画の主人公平山とは違うタイプのエネルギーに溢れ、周りにはいつも人がたくさんいる。
でも似ている気がした。
積み重ねてきたものが滲みでてとどまることなくその人を覆っている空気のようなものがいつもある。
それを魅力的に感じるところにはきたけれど、それはどうやったら手に入るのかも、その正体がなんなのかも得体がしれない。
ここから先それを探して生きていくことになりそうだ。
というわけでほんとうにおすすめの映画です。
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