3. 「システム開発 ≒ 組織開発」参考情報一覧
ご要望がありましたので、個人と組織の変化(学習)を考える上で学ばせて頂いた情報をリスト化しました(必要に応じアップデートしていきたいと思います)。コメントはあくまで個人的な解釈ですので、ご参考までにお読みください。
手軽に安く体系的な情報が整理されていることから、本の紹介ばかりになりましたが、動画・音声・勉強会・ワークショップ等(中には弱みにつけ込む悪い情報商材やコミュニティもあるので注意して頂きつつ)も多くの学び合い、助け合いになると思います。
人には認知特性(外部の情報を頭の中で理解したり、記憶したり、表現したりする方法)があり、大きく下記のABCのタイプに分かれるようです。
上記の本は「頭のよさ」の発揮の仕方は人によって違い、その人に合った学習方法が大事と記述されており、自分や周囲の人の学びのステップを考える一定の補助線になりそうです。
私は友人と本などをネタに学び合う会を緩やかに7年くらい?続けていますが、好奇心の赴くまま、学び合うことは楽しいなーと思います。不思議な優越感も劣等感も持つことなく、素直にできるだけたのしく学び合えるといいですね。苦手の克服ばかりをすると、そちらにばかり注意が向き逆効果になるので、強みを伸ばしつつ、苦手を克服するというバランスも必要かもしれません(リハビリの基本姿勢でもあるそうです)。
『「脳を本気」にさせる究極の勉強法』瀧靖之(文響社)
脳の専門家の立場から、人は何歳になっても変化(学習)でき、その為にはどのようにしたら良いかが読みやすく書かれています。学習を自分で勝手に諦めたり、他人を無意味(よく状態を観察せず)に諦めさせたりせずに、自他の学習を支援するヒントになります。
『チームが機能するとはどういうことか』エイミー・C・エドモンンドソン 野津智子[翻訳] (英治出版)
大量生産時代の効率&生産性を追求する科学的な「管理」方法から、不確実な時代に対応する為に個々が「自立」的に学習し合う組織への移行に向けた、留意点、チーム学習の進め方などが書かれています。科学的な「管理」には沢山の知恵が詰まっていますので、チームで管理を分散できると良いなと思います。
『ワークショップデザイン論』山内裕平、森玲奈、安斎勇樹(慶応義塾出版会)
今回のプロジェクトのように、学びの軌道や速度を一定にできないような取組みに対して、ワークショップは有効です。しかし、普段の仕事から距離のある方もいると思います。本書は、そうした距離を分かりやすく、丁寧に縮めてくれます。
『「学習する組織」入門』小田理一郎(英治出版)
学習する組織の理解の入り口に立てる本。変化に適応し、組織の潜在力を生かすための創造的な組織の学習のアプローチについて、初心者の方にも読みやすく書かれています。
『第3の教育』炭谷俊樹(角川書店)
多くの会社(学校)では第1の教育(管理)と第2の教育(放任)の間(同じ理屈の表と裏)を行ったり来たりすることが多く、第3の教育(自立)が必要性であることが分かります。ただし、炭谷さんは、第3の教育が絶対と言われている訳ではなく、人や部門に合わせて教育のOSを切り替えたり、段階的な第3の教育への移行が現実的なケースが多いのではないかと思います。
『両義きの経営』チャールズ・A・オライリー(東洋経済)
会社の専門効率化(知の深化)を進めつつ、同時に、変化に対応して新しいチャンスの開拓(知の探索)をすることが重要とし、双方の進め方について様々な事例を元にして書かれています。知の深化をマネージすることと、知の探索をリードすることのバランスは企業の状況によっても変わり、その2つの変化(学習)の配分の参考になるのではないでしょうか。
『介護経営イノベーション』森一成、渡邊佑(総合法令出版株式会社)
弱さを認めて知り、補完し合うことによってしなやかな組織のシステムの強みが発揮されることが書かれています。自尊感情が低くいことから、好奇心やチャレンジ精神が低下し、足の引っ張り合いが生まれる状況を打破し、チームで視座を高め、豊かな未来の構想を描くステップなど学びがあります。
『パターン・ランゲージ』井庭崇[編著] 中埜博 竹中平蔵 江渡浩一郎 中西泰人 羽生田栄一(慶應義塾大学出版会)
同じビジョンを目指す人たちがイキイキとする為の物語を創造するためのアプローチとして、パターン・ランゲージが書かれています。複雑で中々共有しづらい情報を、受け止めやすいサイズで、会社としての色を伝えながらも、受け止める個人のらしさを失わせることなく共有する方法としてもっと注目されて良い方法のように思います。
『なぜ、部下とうまくいかないのか』加藤洋平(日本能率協会マネージメントセンター)
人の成長を「スキル」だけでなく「器」の成長として見える化する書籍。組織の中のどの段階の人が多く、どのような共依存関係があり、誰が誰のコンプライアンス(追従)を守るのかなど、どのような変化を促すべきかの見立てを考える上で、一定の目安としても参考になるように思います。段階が上だから良いとは述べられてはおらず、会社のステージによっても必要な方の構成は変わってくると思います。
『自意識(アイデンティティ)を創り出す思考』ロバート・フリッツ(田村洋一[監訳] 武富敏章[翻訳] Evolving)
自分が何者かを先に固定して考えずに、自分は何を創りだしたいか?という観点から、逆に自分を考えることで自分に対する思い込み(固定的な自意識)から解放される、ということが様々な観点から書かれています。
『自己の起源』板倉昭二(金子書房)
人間は色々な関係性の網目の中に存在しており、自己が有るとか無いとかの二元論ではなく「あるレベルの自己」が存在していることが、様々な実験結果を元にして書かれています。どういう関係性(コンテクスト)の中で自分(たち)があるのかが紐解けると、柔軟で創造的な思考に繋がりやすいのではないかと考えます。
『理論と事例で分かる自己肯定感 第2版』川鯉光起, 福本江梨奈, 尾澤愛実, 納富隆裕, 浜崎誠, 小笠原晋也
変化(学習)を行う上で一定の効果をもたらす「自己肯定感」のメカニズムについて書かれています。自己肯定感を持つには、相対評価と自己評価の両方が関係するとし、2つの感情への働きかけ方などが参考になります。
『アジャイル レトロスペクティブ』角征典[翻訳](オーム社)
チームメンバーの主体性と自律的な協調行動を育む機会として、振り返り(レトロスペクティブ)を生かす方法が分かりやすく実践的に書かれています。
『アジャイル開発とスクラム』平鍋健児/野中郁次郎(翔泳社)
さらっと簡単に言われていることを身体で理解するまでは、繰り返し練習したり、あるべき姿に行くまでのステップ設計が必要だと思います。アジャイルやスクラムはIT系の専門用語が多く理解しづらい方も、こちらの本は理解の入り口に立ちやすいのではないでしょうか。
『「言葉にできる」は武器になる』梅田悟司(日本経済新聞出版社)
自分の言葉を作っていくための方法が記述されています。言語化することを面倒に思ったり、苦手に感じる方がいるかもしれません。出来事を自分なりに解釈し言葉にしていく(内なる言葉と向き合う)ことで、自分の思考や主体性が生まれ、自律的な行動に繋がっていく1つの方法として有効ではないかと思います。
『リーダーシップで一番大切なこと』酒井穣(日本能率協会マネージメントセンター)
リーダーシップとは、優秀で一部の限られた誰かが持つものではなくて、自分の人生のハンドルを握るような身近なことであることが分かります。そのハンドルの持ち方までが具体的に書かれており、周囲のリーダーシップを照らし合い、楽しく変化(学習)できると良いなと思います。
『組織開発の探求』中村和彦、中原淳(東洋経済)
どのようにこれまでの先人たちが組織開発を行ってきたかを、俯瞰して見渡すことができます。一度、見晴らしの良い組織開発の地図を持って、自分(たち)の取り組みは全体のどこを扱おうとしているかを知ることは、取り組みの不安を軽減してくれるように思います。
『組織行動のマネージメント』スティーブン・P・ロビンス 高木晴夫[訳](ダイヤモンド社)
組織内で人々が示す行動や態度について、体系的に書かれています。「人間力」といったように曖昧な表現がされることに対して、一度、見晴らしの良い対人関係スキルの地図を持ち、自分(たち)の取り組みは全体のどこを扱おうとしているかを知ることは、取り組みの不安を軽減してくれるように思います。
『図解入門ビジネス 最新U理論の基本と実践がよ~くわかる本』中土井僚(秀和システム)
U理論の理解の入り口に立てる本。複雑な組織開発の混乱に対して、組織をどのようなシステムとして捉え、アプローチしていくべきかという方法が、初心者の方にも読みやすく書かれています。
『エンジニアリング組織論への招待』広木大地(技術評論社)
未知なものには恐怖が発生しますが、ウェットで曖昧になりがちな組織をエンジニアの立場から、明快に組織論として体系立ててまとめられています。
『他人を支配したがる人たち』ジョージ・サイモン 秋山勝[訳](草思社文庫)
人の自己肯定感を下げさせて自信を無くさせて支配するなど、心理学を意図的または無意識に悪用する手口が書かれています。こうしたメカニズムを理解しておくことも、良い変化を起こす為には必要になるのではないかと思います。
『流れる星は生きている』藤原てい(中公文庫)
大変な時に顔を出す、人の自己保存の醜さや恐ろしさ、人の優しさや逞しさ、その両面が描かれています。少し大げさかもしれませんが、戦争というようなある種の極限の状態から、個人や組織が守るべき価値観を考えることも大事なのではないかと思います。(本書と同じような境遇を生きた祖母に薦められたこともあり、私はこの本が感情移入しやすかったです)
世界中で「肩書きも所属も関係なく身一つで現場で変化を生む」活動について簡単な言葉で綴られています。少し大げさかもしれませんが、チームも下手をするとグループとなり、その最悪の成れの果ての自己保存的な武装となり、それを解きほぐすような姿勢から学びがあるように思います。「和をもって尊しとなす」の良さが、硬直したグループや同調圧力にならぬよう、異質な「差」を少しずつでも楽しみチームで活かせると良いなと思います。
『システム×デザイン思考で世界を変える』前野隆司[編著](日経BP社)
システム思考やデザイン思考の理解の入り口に立てる本。複雑な事象を捉えるアプローチが様々紹介されています。手法の正しさに偏りすぎると目的を失うことが多いように感じますが、様々なアプローチの入り口として簡単な言葉で大事なポイントを押さえて書かれています。
『デザインブレインマッピング』手塚明・大場智博・山村真一[著] 構想設計コンソーシアム[監修]
様々な知恵(デザイン思考、ジョブ理論、働き方改革、ワークショップなど)がフレームとなり、紹介され、増えてきました。そうした様々なフレームが増えた結果、乱立し、バラバラと使ってしまい、全体が機能するように繋げづらい状況もあります。この本は読者が理解しやすいサイズにフレームとその背景を噛み砕き、それぞれの位置関係が整理し、探求する入り口としてのガイド役になってくれます。