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吉留公太『ドイツ統一とアメリカ外交』(晃洋書房、2021年)

吉留公太さんのこちらの新刊本を手に取って、あらためてドイツ統一と冷戦終結が歴史となったのだと実感しています。


今年は、「9・11テロ」の20周年であると同時に、ソ連崩壊、冷戦終結から30年。カブール陥落と米軍のアフガン撤退によって前者ばかりが注目されておりますけれども、後者もまた歴史的には大きな事件です。こちらの著作はおもに、アメリカ外交を軸に、1990年のドイツ統一に至る国際政治と外交交渉を包括的かつ緻密に論じておられます。


吉留さんとはほぼ同世代で、東欧革命、ドイツ統一、ソ連崩壊といった冷戦終結の過程を、ちょうど物心ついた思春期、学生時代に経験したわけですが、そのときに起きたことをこのような歴史書をとして完成させるのはとてもすばらしいことです。


私もいつか、このような作業を行いたいと大学院生の頃は感じておりましたが、次々と冷戦終結機に関する優れた歴史研究が観光される中で、むしろ「受益者」としてこれらの研究を消費することを楽しみたいと思っています。研究者人生は長いようで短いので、これからの時間をどのように使うかということは、何かを選び何かを捨てるということ。この分野に新規参入して、これら以上の研究を完成させるのはちょっと難しい。まだやりかけている研究が私の場合は多々ありますので、そちらを終わらせないと。


吉留さんとは、もうひとつの写真に写っている、こちらの『イギリスとアメリカ』(勁草書房)の執筆、そしてそれに至るまでの英米関係史研究会でご一緒しました。とても明るく、パワフルで、とても大きなご貢献をして頂き、同時にいつも食事会があかるく楽しくなった想い出があります。

私にとって、『イギリスとヨーロッパ』と『イギリスとアメリカ』の勁草書房から刊行頂いた二冊は、共同執筆をした本の中でもとりわけ、刺激が多く、学ぶことの多い時間でした。そちらでご一緒した方が、次々と素晴らしい著書を刊行され、また学界でご活躍され、とても大きな励みと喜びになっています。

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