倍速視聴派の僕が倍速しなかった唯一の映画『PERFECT DAYS』が教えてくれた幸せの本質
Amazon Primeで『PERFECT DAYS』という映画を見た。2023年制作で色々な賞を受賞しており高い評価を受けている映画だ。舞台は東京で、古びたアパートに住む中年のトイレ清掃員のおじさんが主人公だ。
この映画はとてもすごい。なぜなら、あらゆる映像作品を倍速視聴で見る僕が、この作品だけは倍速をせずに見たいと心の底から感じさせられたからだ。実際に倍速視聴することは最後まで無かった。
今まで見てきた感動的で衝撃的な映画達とこの映画とでは、楽しみ方が根本から異なる。意外なストーリー展開や大迫力の映像ではなく、“映画の流れる時間そのもの”を楽しむことができた。
本作の主人公は、色々な映画の主人公で出てきそうな弁護士や医者、刑事や探偵でもない、トイレ清掃員だ。スカイツリーに近い古びたアパートで一人静かに暮らしている普通のおじさんだ。
決して華やかではない生活だが、主人公はとても幸せそうであり、それが本当に魅力的なのだ。映画を見ている最中何度も「ああ、僕もこんな風に生きれたらいいなぁ」と頭に浮かんできた。
また描写や登場人物がものすごく身近でリアルなため、感情移入がとてもしやすいのも重要な魅力の1つだ。気が付くと、映画視聴中その主人公のおじさんと自分を何度も重ねていた。
この映画から僕が得たものは“強い安心感”だ。お金が無くても、華やかに生きていなくとも、似たような日々の繰り返しでも、生き方次第では自分もこんなに幸せに生活できるんだと思わされたからだ。
この映画を見れば、現状の人生に不満がある方もきっと“強い安心感”を得られると思う。お金が足りない、恋人ができない、人間関係が煩わしい。そんな悩みを抱いている人にこそ是非見てほしい映画だ。