離婚して自分の人生を生きていく⑨
面会交流の方法について、私たちは調停で話を進めていた。月に1回進むか進まないかの調停のスピード感はかなりゆっくりとしている。思い通りにならない状況の中で、私もソウもイラついていた。
そして次の調停の前までにアイの習い事の体操教室にお手伝いという形でソウが関わり始めたことから、その先生を通して面会交流をやってみるということに決まった。
面会交流とSさん
調停から約2週間後に、Sさんの家で受け渡してもらい面会交流をすることに決まった。Sさんと先生は体操教室を主催している夫婦である。Sさんの子どもはアイと同じ保育園に通っている友達だ。
Sさんに私から面会交流についてよろしくお願いします、と連絡を入れた。ソウさんから話は聞いているよー、私たちで力になれることがあれば遠慮なく言ってね、とSさんからも返信があり、調停で決められた通りのやり方で、私とソウが直接会ったり、連絡を取り合うことがないように協力してくれることとなった。ひとまず今回だけというつもりだということも伝え、お願いした。
面会日当日、朝に自転車でSさん自宅に送っていく。子どもには、今日はパパと何するのかな、楽しんできてね! とか言いながら、何とも言えない気持ちに、、、
何となく胸がムカムカするような、胃が気持ち悪いような身体的な感覚があった。
私はただの未熟な人間だけど、子どもにとっては理想的な親になりたい、そういう気持ちが強いタイプなのだろう。
本当は楽しんできてほしいとも思っておらず、初めての長時間の面会交流にドキドキしていたのかも。そんな気持ちを隠しながら、自転車を走らせていた。
Sさんの家に着くと、彼女ははすぐに出てきてくれて子どもをお願いする。こうやってアイちゃんご家族に関わる事ができて嬉しい、と笑顔で言ってくれたが、Sさんを信じて良いのか、まだよく分からなかった。
ソウからお金のことでずっと嘘をつかれていたり、豹変して大声で怒鳴られたり、身近な人に裏切られたと感じていた私は、この時は人間不信気味で、Sさんを頼ることに抵抗があった。他人の面倒ごとなのに協力してもらって悪いな、とは思いつつも、本当は面会交流の仲介役をお願いしたくなかった。
お迎えに行くと、アイと一緒に夕食をとっていかないかと誘われる。子ども同士は大喜びしていて、悪いなと思いつつご馳走になった。
元々あまり人付き合いを積極的にしていたわけでもないが、別居してからは更に付き合いが悪くなっていた私は、ちょっと何話したらいいかわかんない状態。
そんな中で、コミュニケーションお化けみたいなSさんからのお誘いに、正直ビビっている私である。
「アイちゃんのことで協力できる事があったら何でも話してね」
「ご主人とアイちゃん、すごく仲良しで二人ともとても嬉しそうだったよ」
「帰る時なんて、すごく離れたがってて、ちょっと泣きそうになっちゃった」
聞いてもいない面会時の様子を、一方的にご自身の感想込みで話されるSさん。
また何とも言えない胸がムカムカするような気持ち悪さが再燃するが、協力してもらってるわけだし、ここは私が我慢して聞くべきだよな、と黙って聞いていた。
すると、、、
「ねえ、二人は離婚しちゃうの?」
「調停してるって聞いたけど、これからどうするの?」
「お金の問題があったんだって?大変だったね!」
「二人のことは大人の事情があるんだろうし、周りが口挟むことじゃないってわかってるんだけど、アイちゃんが可哀想になっちゃって」
「アイちゃんがお父さんに会えるためなら何でもするから、どうかアイちゃんからお父さんを無くさないで」
私の中で危険信号が点滅する。この人、めちゃくちゃ首突っ込んでくる、、、。
心にシャッターというものがあるのであれば、確実にこの時シャッターを下ろした。かといって、敵にも回したくない。聞かれたことには、否定も肯定もせずにはっきり返答せず、笑顔で何とかこの場を凌いだ。
Sさんがソウに何を聞いているのか、アイを勝手に可哀想な子認定とかやめて〜、心の中で思うことは山ほどあったが、今後も卒園まで保育園で遭遇することを考えると、気まずい感じはなるべく避けたい。
そう思ってからは当たり障りのない話をするようにして、最後にしっかり笑顔を顔に貼り付けてお礼をした。
アイの感想
面会交流についてアイがどう思ったのか、家に帰ってから聞いてみた。
「楽しかったー」
細かくどんなことやったのか聞いてみるも
「うーん、、、◯◯ちゃんと一緒にお家で映画見たの面白かった。あと◯◯ちゃんの自転車乗せてもらったの。また◯◯ちゃん家に行きたい。良いでしょ?」
あまり根掘り葉掘り、面会中のことについて聞くのも負担かなと思ったので深くは追求しなかった。
アイ本人からは、パパと離れるのは嫌だったとか、もっと会いたかったとか、とういうセリフはなかったけれど、またパパに会えるように約束するからね、と伝えると、嬉しそうに頷いていた。
自分の気持ちを言語化するにはなかなか難しい年齢なので、こちらが聞いてみるしかないのだが、嫌なことはなかった様子だったので、面会交流は続けていくつもりだ。
子どもに聞くと、ずっとSさん家族と一緒に過ごしたそうだ。
受け渡しをSさんにお願いしたというイメージだったので、私としてはちょっと予想外。
何となく感じる違和感
子どもの連れ去りなどの懸念がある場合は、第3者がいる中での面会交流の方が安心である。その点については他者の目があって良かったのかもしれないと思ったのだが、何となくモヤモヤと気持ち悪い気分になった。迎えに行った時のSさんの言動を思い出したからだ。
私とソウの胸中を探られているような、、、
子どもを人質に取られているような、、、
私たち家族の問題を見張られているような、、、
そもそも、面会交流は父と子どもの時間なのではなかったか?
子どもからはお友達と遊んだ話しか出てこないけど大丈夫?
次回の調停で、今回の面会交流についてどうだったかという話になると思うので考えをまとめておく必要はあるだろう。
現時点での私の考えは
面会交流については続けてみて様子を見たい
受け渡しのみ第3者に入ってもらう
Sさんとはなるべく関わらない
子どもを通した人間関係っていうものに慣れていない私は、自分が気をつけていればSさんとは距離を取って当たり障りなくやり過ごせるだろうと考えていた。