旅館・ホテルが目指すべき課題(DX編①)
宿泊施設がかかえる(特に旅館系)課題は、
慢性的なものから、コロナ後に顕在化した新しい課題など、多岐にわたる。
慢性的なものでかつ、コロナ後にも変化した課題は、
「人手不足・人材不足」である。
宿泊施設は「人」が施設の商品価値を高めてくれる重要な要素であるが、
日本は少子高齢化の一途を進むため、この課題はより深刻化していく。
日本の産業において、宿泊業の生産性は最低レベルに近い数値であると
政府内関係者などより、以前から指摘されているが、
今後成長性(GDP)が期待されている産業としても、宿泊業は逆に注目されている。
日本が世界と互角に渡り合える産業は、観光業しかないとも言われている。
それだけにそのポテンシャルを具現化するためには、
「生産性」の改善には少しずつでも取り組むことがマストだ。
やるなら思いきったドラスティックな取り組みが必要だ。
そうしないと宿泊業、特に旅館業の保守的な現場の空気感は変わらない。
では、具体的に「生産性を上げる」にはどうすれはいいのか?
現場で働く人にとっては、日々の業務は当たり前のルーティンワークであり、今の仕事はそもそも必要なものという旧来の考え方(全て悪いと言っているのではない)と新しく入社した若い人にとっては、「それ意味あるの?」という業務の内容、仕方があり、とまどいもある部分が意外と大きいと思われる。
特に合理的でスピード感の高い、デジタルネイティブと言われる
「Z世代」にとっては、旅館の仕事のやり方は、
無駄なこととして映っているかもしれない。
AIやロボット(RPA)のテクノロジーの日進月歩の進化により、
将来(2030年)には、
「今の既存業務のうち27%が自動化され、結果1660万人の雇用が代替される可能性がある(マッキンゼー調査)」とも言われている。
確かにコロナ禍で一気に時代のスピードが10年以上進んだと言われるが、
現実性を帯びた状況になってきたと感じている。
最近、PMSを活用した宿泊(観光)DXへの取り組みが各地で広がっている。
まだ観光DXとしては黎明期とは言え、PMSを中心としたシステムベンダーの
機能の拡張性は今までにない広がりで大きな期待がかかる。
宿泊施設の中でも、スマホを使った非対面での
スマートチェックイン・チェックアウトの
シーンも当たり前、日常的になるかもしれない。
現在でもPMSとサイトコントローラーや周辺機器の連携(API等)により、
より正確に便利にかつ売上を上げていくためのシステム土壌が出来上がっている。
ただ、そのシステムを使いこなしている施設とそうでない施設と
二極化していて、成果はまったく異なっている。
それは、使いこなす「人」のITリテラシーや取組む姿勢で変わるからだ。
ベテランのスタッフよりも、固定観念が少ない若手のスタッフに
担当されるほうが上手くいく可能性は高いと思っている。
経験も大事であるが、新しいことに取り組むときは、
その経験が高いハードルになるケースも多い。
また、若手を育成する人がいないのも課題の1つである。
外部委託してでも、人材育成することが望ましい。
いずれにしても、AIやロボットの導入で、
今、人がやっている仕事を少しずつ奪われるかもしれないが、
国内の労働力は不足の一途を進んでいくし、
人にしかできない仕事・業務をやっていくことで
付加価値を高め、生産性を上げていくことが理想的と思っている。