
第1回 MA+OI HUB 【クリエイティブエコシステムを築くための発見】
コミュニティからアソシエイションへ、MA+OI HUBを開催するまで
去年の年末から色々と考えながら企画していたクリエイターズアソシエイション、MA+OI HUB(仮)の第1回を開催しました。
まずはこれまでの活動を軽くご紹介を。これまでは、Fuelwaというクリエイターズコミュニティの企画運営をしていました。

同世代の幅広いクリエイターを呼んでいたのですが、開始したのは4年前のこと。運営チームは私を含めた3人で、学校が3年生だったため社会人一年目。参加して頂いた皆さんは、まだほとんどが大学生でした。
月日が経ち、当時学生だったみんなも社会を見て、見ていた夢も少しずつ現実味を帯びる25歳。先行きが不安なここ日本。今は、結婚、出産、将来都会に住みたいのか、田舎に住みたいのか、真剣に今後の人生について考えている真っ只中です。必ずしも独立がゴールではない人も出てきます。
会社に所属すること、独立して活動すること、どちらが正解という訳では無いです。でも、自発的な活動が起きるためには、少なくとも共通の目標と、共通の目標に対する共通の熱量を持った者同士が、本気で本音で語り合える場を作らなければいけない。
最近は、常に、今これがコミュニティなのか、アソシエイションなのか、その都度どちらが適しているのか、双方がどう作用し合うのかを気にかけて企画を組み立てています。
誰のための場なのか、何を実現したいのか。
考えた結果、
【 自発的であり、自分の活動に誇りを持った、夢の実現に情熱的なクリエイターがメンバー同士の協力や知識の共有、文化的な対話によって成長する場。 】
というパーパスを設定しました。
そして開催したのが、今回のMA+OI HUBです。
まずはしっかりと全体で会話が出来るように、来ていただいたのは4名でした。

これまでのFuelwaは、最多の時で20名ほど。緩やかな繋がりもまた魅力の1つだったと思います。学校だけでは知り合えなかったみんなと出会えて嬉しかった、色んな考えを聞くことができた、楽しい思い出ができた。先月正式解体のお知らせを送った際も、心のこもったコメントを沢山貰えて、私も心強かったです。
一方MA+OI HUBは、緩やかな繋がりといよりは、同じ熱量でそれぞれの目標達成に共に立ち向かう心強い仲間というイメージでした。
今回は、コミュニティを経てアソシエイションへと進んだことで、クリエイティブエコシステムを築くための発見が沢山ありました。
それを忘れないうちに、綴っておこうと思います。
もし最後まで読んでくださった、同じようにクリエイティブのための場の創出を目指されている方がいらっしゃいました、ご意見をいただけると嬉しいです。
「過去ではなく、今と未来の話が出来る場所」という共通認識
2022年、竹中工務店さんが、Fuelwaにインタビューに来てくださったことがあります。「みんなで集まって何を話すの?」という問いかけに、深く考えずに、「みんなが最近なにをつくってるのかとか…?」と答えていましたが、インタビュアーの皆さんは大変驚かれていました。
当時はなぜそんなに驚かれるのかが分かりませんでしたが、世間の会社の雑談を見ていて気付いた事は、ほとんどの主語が自分自身では無いということです。
興味の対象は会社の未来。個人の思いは言い難い環境。「個人的には…」という語り出しをずっと不自然に思っていました。
でも果たして、「自分ごと」として捉えられない仕事で本気の議論が出来るのだろうか。
例えば街の議論は、「建物を作る会社の人間」でありながら、「父親、レコード集めが趣味、犬を飼っている、休日は朝から公園で息子達との運動を楽しむ」といった、「自分だってその街の活動者だ」という目線で議論をした方が議論は加速するし、より多くの生活者が楽しめる場になるはずです。
偉そうにと思われるかもしれないですが、客観的に見ていて何度もリアルに感じたことでした。自分を他人で語る事はクリエイティブの場では議論を加速させない。知識の共有以外のそれは、他人の噂話か自分を他人で語るマウントにしか過ぎない。
参加している人は、みんな自分に通じるけれど知らない、違う観点からの思考を求めている。
雑談でも議論でも、密度を上げる為には、
〇 本音で発言ができる心理的な安全が確保された場所
〇 お互いの活動に心の底から興味とリスペクトが持てるメンバー構成
〇 リアリティのあるほどよい未来の話題
+ それぞれの意欲と気づきを反映できる進行中のプロジェクト
が必要になるのではないか。
「過去ではなく、今と未来の話が出来る場所にしたい」ということは、事前に皆さんに共有していました。きっと伝えなくても同じクオリティの会話は出来ていたはずですが、何を話し、何に繋げる場にするのかという共通認識は必ず出来ていなければ行けないと実感しました。
気付きに繋がる「良い質問」に着目する
今回の座談会では、各参加者から何気なく投げかけられた「質問」に着目しました。ビジネスには5W1Hが必ず存在します。クリエイティブな現場でもそれは同じですが、クリエイターは日々自問自答を続けながら作品に向き合っています。
今回参加してくださった北澤さんと以前雑談をしていた際の出来事、私が彼に投げかけたはずの質問は自分にも当てはまることでした。
主観的である自問自答には限界があります。他者が居ることで新たな問いかけが生まれますし、問いに答えることで気づかなかった、事柄の繋がりに気付くこともあると思います。
アソシエイションで形成された集まりでは、各参加者がそれぞれの参加者に興味とリスペクトを持っているはずです。
かつ、前述したように、話題は未来を向き、主語は常に自分であるとなれば、その現場で発生するのは「良い質問」であるはずです。
パーパスへの立ち返り
今回は初回だったため、時間の多くは各参加者のこれまでのバックグラウンド、現状、これからやろうとしている事の、「過去、現在、未来」を満遍なく会話しました。
途中でキャリアマップの話題になったのですが、それぞれに興味関心が高い状態であるため、「次回自分も作って持ってこよう」と、自然と課題が発生しました。
コミュニティの際は、正直企画倒れになってしまった課題が多かったです。
今回は無理に課題や企画を作らずに、「座談会のみ」と決めていたのですが、参加してくださった皆さんから「やってみたいから持ってくる」と言っていただけたことは大変嬉しかったですし、企画者、ファシリテーターとしても、申し訳なさや不安を感じずに進行することが出来て進行をしやすかったです。
ここで、冒頭で設定したパーパスに改めて立ち返ってみます。
自発的であり、自分の活動に誇りを持った、夢の実現に情熱的なクリエイターがメンバー同士の協力や知識の共有、文化的な対話によって成長する場。
ここに、今回発生した動きと、その対象を紐付けてみると、以下の通りです。
・キャリアマップ作成という自発的な課題の発生(対自分)
・他ジャンルのクリエイターの観点から得られる、自身の活動に対しての気付き(対自分)
・既に進行されている別企画への自発的な企画提案(対プロジェクト.参加型)
・既に進行されている別企画への、他者を巻き込んだ自発的なコラボレーション提案(対プロジェクト.コラボレーション型)
・全く知らなかった他ジャンルの業界の動きを知る(知識の共有)
・同じ熱量を持つクリエイター達の考え方を知る(知識や暗黙知の共有)
まだ第一回目ではありましたが、私が第一回MA+OI HUBを経て気づいた事は以上のことです。
独立型のクリエイターの思考は様々ですが、意外と意見交換や共有をできる場が少ないというのが、今回多く聞いた声でした。
クリエイターが集まっていると言う大人数の飲み会に行ったことがあります。
50人ほどの参加者が居ましたが、終始野放しで誰が何をしている人かも分からず、最終的には他人で自分を語るマウントの取り合いのような時間が多かったです。
活動的な人は参加するかもしれませんが、正直得られたものは何もありませんでした。チーミングや街、仕事に対して、「目に見える範囲」を大切にし始めたきっかけはこの時でした。人数を集めれば良いだけの話では無い。
クリエイティブなエコシステムの生成には、全員が全員を知りたくなる環境を作ることが必要で、イベントの前段階のケア(目的の説明)と、当日のファシリテーション能力(参加者が均等に発言できる的確なパス出し)が大事になることを、今回改めて感じました。
今回参加して下さった皆様
黒沢鑑人さん / フォトグラファー
Hinanoさん / 建築デザイナー
北澤泉拓 / デザイナー
emyu / デザイナー . イラストレーター

参加してくださった皆様についてもしっかりとご紹介したいのですが、途中まで書いていたところとても長くなってしまいました。
せっかくの機会なので、参加してくださった皆様についてのことは、別途インタビュー企画をさせて頂こうかなと思っています!
才能豊かなクリエイターの頑張りが作用しあって、素敵な作品と夢の実現に繋がるように。今後も、価値ある場を作る努力をしていきます。