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高額療養費制度の改悪で医療費が大幅にアップ!?今すぐとるべき対策は!?

はじめに

皆さんは、高額療養費制度についてご存知ですか?病気やケガで医療費がかさんでしまったとき、自己負担額が一定額を超えないようにするための制度です。前回、前々回と高額療養費制度の「概要」と「お得」について話してきました。しかし今回、この高額療養費制度が改悪され、医療費負担が大幅に増えます

この記事では、高額療養費制度が改悪される理由、いつから改悪されるのか、そして改悪された時に私たちはどうすればいいのかなど、わかりやすく解説していきます。また、医療保険の見直しについても触れ、読者の皆さんが安心して暮らせるように役立つ情報を提供します。
・前回、前々回の記事を読んで、高額療養費制度について更に知って損しないための知識を取り入れたい方
・公務員と一部の会社員の方(付加給付を利用できる方 ※付加給付については前回記事をお読みください)
・医療保険(入院や手術に備える保険)の保険料を節約したい方
上記の方にとっては特に役に立てる記事になっていますので是非最後までお読みください!


※時間がない方は、太字を追えば概要を掴めます!時間がある方は最後までゆっくり読んでいってください!



高額療養費制度とは?

高額療養費制度は、病気やケガで医療機関にかかった際に、自己負担が一定額を超えないようにするための制度です。所得に応じて自己負担の上限額が定められており、この上限額を超えた部分は国が負担してくれます

具体的な改悪内容

まず、高額療養費制度という制度自体は維持されます。
現状、日本で100万円の医療を受けた場合、健康保険が3割負担ですので、自己負担は100万円の3割で30万円で済みます。しかし、30万円も支払えないという家庭も多いものです。ですので、国は昔「高額療養費制度」を作りました。高額療養費制度は、30万円の自己負担額を更に助けてあげるよって制度です。例えば、年収500万円程度の方なら最終的に病院に支払う自己負担額は約8万円程度まで軽減されます。(約30万円ー約8万円=)約22万円は国が更に負担してくれるということです。今回の改悪は、この自己負担額が上がりますよという内容です。
この「自己負担額」は所得によって上限額が定められています。今回の改悪でこの上限額が上がるのですが、所得が高ければその引上げ率も高くなっています。それぞれの上限額は下表で確認してみましょう。

2024年12月25日 毎日新聞

高額療養費制度改悪の理由

高額療養費制度が改悪される理由は、主に以下の点が挙げられます。

  • 医療費の高騰: 高度な医療技術の発達や高齢化に伴い、医療費が年々高騰しています。

  • 財政状況の悪化: 少子高齢化が進み、社会保障費の負担が大きくなっています。

  • 保険料の抑制: 保険料の値上げを抑制するため、被保険者の負担を増やす必要があると考えられています。

上記理由の3点目「保険料の抑制」は一見して矛盾しているように思う方も多いかもしれませんね。高額な医療を受けた場合の負担額が増えるのに「保険料の抑制」が理由ってどういうこと?と思いませんか?

今回の改悪の国の思惑を一言で言うと、「若者の負担を軽減させたい」です。
医療を受ける可能性が高いのは何歳の方々でしょう?もちろん若くても医療を受ける方もいますが、一般的に若者より高齢者の方が医療に多くかかります。つまり、医療費を多く支払うのは高齢者で、高額療養費制度の利用する人も高齢者が大きい割合を占めていると言うこと。でも、高額療養費制度を維持できるのは現役で働く若者たちが支払う税金です。今回の改悪で若者の支払う税負担を少なくし、実際に医療を受ける人たちの負担を(今より)大きくしようと言うことなのです。
お気づきの通り、世間では今回の高額療養費制度の限度額引き上げを「改悪」と呼んでいますが、立場によっては「改悪」でもあり「改良」でもあると言うことです。

いつから改悪されるのか?

高額療養費制度の改悪は、政府の政策決定によって時期が確定します。段階的に引き上げられていく予定ですが、その第一段階が2025年8月から施行されます。

高額療養費制度改悪がもたらす影響

高額療養費制度が改悪されると、以下のような影響が考えられます。

  • 自己負担額の増加: 高額療養費の上限額が引き上げられ、自己負担額が増加します。

  • 医療費への不安が増大: 病気やケガをした際に、どれくらいの医療費がかかるのか、不安に感じる人が増えるでしょう。

高額療養費制度改悪のよくあるQ&A

Q:高額療養費制度が改悪されるなら医療保険をもっと手厚くした方がいいの?

A:医療保険を手厚くする必要はありません。下表にある通り、限度額引き上げは、年収1000万円程度までの方であれば、引上げ率は32%。金額にして約7万円です。

2024年12月24日 日本経済新聞

更にお勤めの会社によっては、ここから付加給付により更に負担は軽減できる場合もあります(「付加給付」については、前記事「公務員向け高額療養費制度について解説!実はこんなにお得だった?!」をご覧ください)。

仮に、年収800万円の40歳の方が医療保険の保険料を今よりプラス
3,000円上げて手厚くしたとします。

・1年後の41歳の頃に100万円の治療を受けたら自己負担する医療費は、高額療養費制度を利用すれば18.8万円/月
・高額療養費制度の引上げ率は13%、金額にして現行より約2.4万円引き上げ
・プラスした保険料分3,000円は、年間で3.6万円の負担となる。

保険料を上げて医療保険を手厚くするより、その分、貯蓄を増やし、更に資産運用することで資産を増やして対応する方が多くの方にとっての最適解と私は考えています。

高額療養費制度改悪に備えて、今すぐできること

高額療養費制度の改悪に備えて、今すぐできることは以下の通りです。

  • 医療保険の見直し: 今回の改悪に伴う医療保険の見直しは不要ですが、現状の保険の把握や保険料適正化のための見直しは積極的にしましょう。

  • 医療費のシミュレーション: 自分がどんな病気になった時にいくら医療費がかかるのかイメージしておくことも大切です。例えば、がん罹患者の平均医療費は77万円と厚生労働省から発表されています。この金額を知ってどうでしょう?イメージとのギャップはありましたか?(がんの平均医療費について更に知りたい方のために下記にURLを貼っておきます。)

  • 貯蓄と運用: 貯蓄と併せて、資産運用を始めることで医療費以外の支出にも備えることができます。

まとめ

高額療養費制度の改悪は、私たちの今後の生活に大きな影響を与える可能性があります。しかし、改悪の経緯や仕組みを正しく知って事前に準備することで、悪影響は最小限に抑えることができます。この記事を参考に、ご自身の状況に合わせて、医療保険の見直しなど、必要な対策を講じてください。



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