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13年ぶりに中日ドラゴンズファンに戻った私が、借金21のチームに見ている夢。

2023年8月1日(火)、バンテリンドームで行われた中日VS阪神。中日のエース小笠原が登板した試合を私は自宅で見ていた。

調子がいまいちな小笠原が再三ピンチを招きながらもなんとか5回を凌ぎ、2−2で迎えた6回。再度ピンチを迎え、満塁から押し出しフォアボールでリードを許した。次の打者をエースの意地を見せて三振に仕留めるものの、ピッチャーの西に走者一掃のタイムリーを打たれ、2-6。今日の試合を決定づける一打を浴びて、小笠原はマウンドを降りた。

気づいたら涙が溢れていた。

もういいのだ。ドラゴンズが弱いことは痛いほどわかっている。後半戦に入ってからは1勝しかできておらず、借金20で今週を迎えた。あまりに辛い、苦しいチーム状況だ。

おそらく私だけではないはずだが、ドラゴンズファンの心は、もはや勝ち負けで一喜一憂しないレベルまで鍛えられている(嘘、する)。

そんな中でも、推しの福永くんがスタメンになるとか、地元出身の岡林くんが絶好調だとか、涌井くんが若手をご飯に連れて行って慕われているとか、そんな小さな喜びを見つけながら観戦を楽しんでいるのだ。だから、打たれようが、負けようが泣いたりはしない。

じゃあなんで涙が出てきたのか?

中継を消し、はて、と考えた。すると、中日ドラゴンズを応援する理由が見えてきた。

本当は、書き上げたい重めの原稿があったけど、精神不安定すぎて向き合えそうにもないので、ドラゴンズを応援する理由を勢いのまま綴っておこうと思う。(数年ぶりに書くnoteがこんなのでいいのか…)

ここまで勢いに任せて今日の試合を語ってしまったけど、私のファン歴は大したことがない。

ドラゴンズファンの家に生まれた私は、物心ついた頃にはどっぷり竜党になり、小学生から高校生まで、年数試合はど田舎からドームまで遠征していた。
札幌の大学に進学後も、日本シリーズ(当時は黄金期だった…)や交流戦を観に行った記憶はあるが、ドラゴンズ戦の中継なんてやっていない北の大地である。初めての一人暮らしで楽しいことがいくらでもあった大学時代、徐々にドラゴンズから気持ちが離れて行った。

しかし、数年前からなんとなくプロ野球が気になり始め、春のWBCで完全に野球熱が戻ってきた。「私は野球観戦が好きだ」と思い出した、と言った方が近いかもしれない。

なんせ13年ぶりのプロ野球界である。知っていた選手はほとんどが引退しており、監督やコーチ、解説者になっていた。しかも、良かったのか悪かったのか、ドラゴンズが暗黒期と言われていることもつゆ知らず、意気揚々と、どうやらわりと最悪なタイミングで古巣に戻ってきたらしい。

それでも、先に述べたように、試合を観る楽しみはいくらでもある。若手の登用が進んでいて、未来の主力になるであろう選手たちの活躍を見るのは希望を感じられて本当に楽しい。これは今年の観客動員数やテレビ中継の視聴率が好調なところにも現れている。

また、私がプロ野球から離れている間に、社会の変化とともに野球界にもSNSが浸透し、現役や元プロ野球選手がTwitterやInstagramで日常を垣間見させてくれ、さまざまなインタビュー記事を読める時代になった。球界のレジェンド達がYouTubeでチームや選手について解説してくれる動画は、野球素人にとっては有り難みしかない。

さらに、こちらも大人になり、自由に時間やお金を使い、移動ができるようになった今、とにかく推し活がはかどる。はかどりすぎて情報過多。

開幕から試合を追いかけ続けて、5ヶ月。連日テレビやラジオ、中継がない日は一球速報でドラゴンズを見続けていると、たまにしか見なかった時は毎日同じような繰り返しに思えていた試合も、一試合ごとにチームとしても、選手一人ひとりとしても、さまざまな物語があり勝負をしていることがわかるようになった。

外野フライ一つとっても見え方が変わる。キャッチボールくらいしかしたことがない私に技術的なことは残念ながらわからないが、不振で三振ばかりしていた選手が、フライトはいえバットでしっかり捉え、外野まで飛ばせるようになってきているから調子が上がっているんだろうな、とか。

トレードで移籍してきて初めての打席だから、緊張しながらもきっと結果を出すぞ!と燃えているだろうな、とか。

そんな時、私はいつもWBC優勝の時に読んだ、このnoteを思い出す。

シーズン中にはひと試合ひと試合のすべてにドラマがある。
他の人にとってはとるに足らないようなシーズン中の一試合も、特定の選手を応援していたり、個人的な思い入れを持って見にきている人にとっては、かけがえのないドラマが生まれることがある。その「奇跡」に気づけるかどうかは、自分が積み重ねてきた物語の厚み次第だ。

ようやく話を元に戻す。

今日、自然と涙が出てきたのは、たった5ヶ月だけど小笠原の物語を見続けてきたからだと思う。

開幕投手を任されながらも涙を流した初戦。初めて選出されたオールスター。エースとしての自負。メジャーに挑戦したいと話してくれた目標。

チームが悲惨な状況の中で、小笠原はどれだけのものを背負って、今日のマウンドに立ったんだろう。悔しいよね。と想像すると、いろんなものが画面から伝わってきて、居ても立ってもいられなくなった。

ニコニコ笑顔のしんちゃんが見たいよ……。

個々の物語、先輩後輩関係、チームの歴史、さまざまな背景をもとに目の前で行われている試合を観れば、たとえ負けてもいくらでも楽しみようはある。

でも、やっぱりドラゴンズの選手たちが、笑顔の瞬間をもっと見たいし、野球を楽しんでいるって伝わってくるようなプレーが見たい。

それを叶えるためにはチームもいい状態にならないといけないし、最高の笑顔はリーグ優勝、日本一でしか見られないものだと思う。

色々と思うことはあるけれど、残念ながらファンにできることは、応援することくらいしかない。

だから暗黒期と嘆かれようが、ドラゴンズファンと言って「御愁傷様です」と言われようが、勝っても負けても、どんなに弱くても、これからもずっと応援し続けるよ!また日本一になろうよ!

だから、ひとまず最下位から脱出して!お願い!



このnoteを書いている間に、2-10で負けていました。お疲れ様でした。


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北川由依
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