敬愛する村田沙耶香さんのこと
私は幾名かの方のファンを自称しているのですが、
好きになった経緯や魅力について、
少しずつお話ししていきたいと思っています。
今回は敬愛する作家・村田沙耶香さんについて、
自分の経験を交えて書き留めていきます。
出会い
村田沙耶香さんの作品と出会ったのは、
2016年『コンビニ人間』で芥川賞を受賞された後のこと。
たまたま入った書店で著書を手に取りました。
その魅力
私が考える村田沙耶香さんの魅力です。
▪︎「世間の常識」を当たり前とせず、独自の視点で紡がれる物語。
…世間では一般的とされる人生のイベントに対して、村田さんならではの視点で切り込んできます。
▪︎特異な世界観とは裏腹、やさしい文体で構成されていること。
…普段は遅読気味な私ですが、村田さんの文章は分かりやすい言葉で組み上げられているため、頭の中にすんなりと入ってきます。
また、好きが高じてサイン会に伺ったことがあるのですが、おっとりふんわりとした雰囲気を纏われているご本人と、作風とのギャップにますます心惹かれてしまいました。
自身の経験との交錯
私が村田さんの作品を読みたくなるのは、
「周囲から求められる理想像と自分自身の差異に懊悩している時」です。
現在は交際/結婚願望があまり無いタイプの人間なのですが、
つい数年前までは「健全に人を好きになり、適齢期には結婚しなければ」と勝手に思い詰めてしまうことが多く、息苦しさを感じていました。
村田さんの作品を読み始めた当時、お付き合いしている人がいました。
将来結婚したら仕事は諦めて、相手方の家庭に入らなければなりませんでした。
このまま関係を続けるのか、
思い切って袂を分かち、自分の道を歩むのかで悩んだ時、村田さんの作品の数々に触れて、別れを決心することができました。
作中には、度々一風変わった価値観を持つ人物が登場します。
その誰もが、飄々と堂々と自分を生きているように感じられるのです。
私はそんな人々に何度も勇気付けられてきました。
おすすめの作品
特に印象深い作品は下記の2作です。
『丸の内魔法少女ミラクリーナ』
36歳会社員のリナは、「魔法少女ミラクリーナ」に変身して日々の無理難題を乗り切ることが、幼少期からの密かな習慣です。
とあるきっかけから親友の恋人と街をパトロールすることになりますが……
単行版と文庫版どちらも揃えたほど心に刺さった作品です。
私も幼い頃に憧れていたキャラクターをずっと好きでいるタイプなので、主人公の人物像や考え方に共感できる点が数々ありました。
想像できなかった方向に物語が展開していくので、読み進めていて目が離せなくなります。
『きれいなシワの作り方〜淑女の思春期病』
こちらはエッセイ集です。
ちょっと恥ずかしい気持ちになるような失敗談も、後味軽やかに綴られています。
本作は学生の頃初めて拝読したのですが、社会に出てから再読し、心情が身近に感じられるようになりました。
環境の変化を経験したことのある女性は、思わず頷いてしまう題材ばかりだと思います。
おわりに
村田さんの作品を読み終えた時に毎回共通するのですが、自分自身が囚われていた常識から解放されるような、不思議な読後感を味わうことができます。
その感覚がいつの間にか癖になり、さまざまな作品を読み込んでは惹きつけられてきました。
これからも村田沙耶香ワールドに浸って、固定概念を打ち壊す体験を重ねていきたいと思います。
機会があればぜひ読んでいただけると嬉しいです。
ここまで読んでいただきありがとうございました。
Yuhu