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生き写しバトル #毎週ショートショートnote

生き写し、描きます。#生き写し屋

路上に出されたその謳い文句に足が止まる。似顔絵とは違うのだろうかと思いながら、サンプルの絵を見ている。その絵が亡くなった兄に似ている、というのも一因だ。

「描きましょうか?」

と声をかけてきたのは、その店ではなく、隣に構えた「生き写し屋」だった。目の前の生き写し屋は焦ったかのように「うちも描きます、お安く!」と言う。隣は慌てて「うちは無償でプレゼントです!」目の前は「今なら、似顔絵もプレゼント!」

「あ、そうだ、生き写しと似顔絵は違うんですか?」

そもそもの疑問を聞くと、隣同士は同じセリフを同じタイミングを計ったかのように言った。

「そりゃあ、違いますよ!」

その声がまるで一つのように聞こえる。

隣の生き写し屋が「なんだ、わかってくれてるかと思ったのに」とため息をもらす。

目の前の生き写し屋が「ほんと、わかってそうな雰囲気出てたのに」と残念そう頬を膨らます。

彼らまるで、兄の生き写しだと私は思う。


久しぶりに、なんかショートショートっぽいと自分では思ってるところ。(いつもは違うの?というツッコミも込み)



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