火星の別件逮捕 #毎週ショートショートnote
こんにちは、火星警察です。少しお時間よろしいですか?
道ばたで声をかけられた。そんなに挙動不審に見えたのだろうか。俺は軽くショックを受けている。
「な、なんですか!」
挙動不審に拍車がかかる。別にやましいことなんてないのに。というか、スルーしてたけど、「火星警察」ってなに? マスク警察みたいな、火星の絶対正義を押し付けてくる人のこと? 俺の頭の上にハテナマークがマンガのように浮んでいるのを、女性火星警察官の瞳の奥に見つけた。
「そのTシャツ、どちらで?」
着ているTシャツを指差す。絵のような文字のような何かが書かれたデザインのそれは、古着屋で買ったものだ。そう答えると、盗んでないですよね? と念を押される。
「盗んでません!」
まるで盗んでいるかのような言い方だ。
「では、別件で逮捕します」
そう言って女性火星警察官は、俺の手を取った。
「わたしの心を盗んだので」
Tシャツに火星語で「別件で逮捕してください」と書いてあったとは。
(410字)
毎週ショートショート企画への参加です。
お題の風が語りかけます、ムズい、ムズすぎる!(反応したら埼玉県人)
ギブアップしそうだったので、書けただけでも自分を褒めてあげたいです!
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