メガネ朝帰り #毎週ショートショートnote
郊外のショッピングモールには、眼鏡屋さんが2店舗ある。アオケイメガネと、薄紅オプティカルだ。
アオケイメガネは安い価格のファッショナブルなメガネ店。薄紅オプティカルは、オーダーメイドの高級感のある、メガネ店。
閉店の時間になり、店員が帰ると、アオケイメガネのいちばんのイケメンメガネが宣言した。
「薄紅オプティカルに行ってくる」
仲間たちはざわざわとする。おいおい、いくらなんでも薄紅オプティカルにはかなわないって。変なことでもしたら、帰ってこれないぞ。そんな仲間の言葉の隙間をぬって、イケメンメガネは、さらっと言う。
「恋したからさ」
あー、これは何を言っても無駄だ。夜のうちに帰ってこいよ。仲間たちが、つるの部分を叩いて、彼を見送った。
「すみません、これ、こちらのですよね」
薄紅オプティカルの女性店員が、イケメンメガネを持っている。
「あれ? うちのだ」
「壊れてるようで」
仲間たちは、彼を迎え入れる。
まあ、いろいろあったんだよな。
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