【ストゥディア『民法3 担保物権』刊行記念】山本敬三先生に聞く(その③・完)
山本先生の謎を探る
本日は、貴重なお話をお聞かせ下さり、ありがとうございました。
そういえば、ストゥディア民法の執筆陣のお一人でもあり、京大の研究室出身の先生から「山本先生はお仕事以外が謎」「くだけたお話しはしづらい雰囲気」といった情報をゲットいたしました。ストゥディア民法とは何の関係もないのですが、せっかくの機会ですので、最後のシメに、少しだけお仕事以外の情報を教えていただけないでしょうか。質問を3つ考えてみました!
好きな食べ物
自分を動物にたとえたら
民法研究者になっていなかったら何になりたかったか
まず、イントロの部分について少しだけお話しすると、私の指導教授は北川善太郎先生という方だったのですが、北川先生もお仕事以外は謎でしたね。くだけた話はしづらかったです。でもね、指導教授っていうのは、多くの場合はそうじゃないかなあと思いますね。私は、指導する側に立ったらそうならないようにしようと考えていたつもりなのですけれども(笑)、結果的には同じことになっているのかなあと思いました。
その上で、好きな食べ物ですか? 公式回答としては、私の妻は料理がすごく上手で、「妻の作るものはすべて好き」ですね。
(一同:おおお~~~(拍手))
コロナ前までは、卒業式の日にその年のゼミ生全員を自宅に招いてパーティーをしていたのですが、30人くらいのゼミ生がいるときでも、妻はその料理をすべて滞りなく作ってしまう。そういうスーパーな人なんです。
でもたぶん、それだけでは面白くないと思うので(笑)、とりわけ、これまで食べた中でとくに美味しいと思ったものをいくつか申し上げますと、1つは、家族で移転前の築地市場に行ったときに、場内市場のお店で食べたアジフライ。これはね、こんなに美味いものがあるのかと感動しましたね。B級グルメの強さを思い知りました。感動で震えるくらい素晴らしかったですね。
もう1つは、讃岐うどんですね。妻と四国の金比羅山へ行ったのですが、ぶっかけうどんのあまりのおいしさに感動して、3軒くらいお店を回って食べ続けました。
結構お腹いっぱいになりますよね(笑)。
でもね、食べられちゃうんですよこれが……。とくに温玉。あんなに美味しいとは。
あと飲み物、アルコールですけれども、私はドイツのミュンヘンに合計3年ほど在外研究で行っていたのですが、世界一のビールの街なので、完全にビール派になりましたね。ただ、最初に滞在した2年はふつうのビールを飲んでいて、それも素晴らしかったのですけれども、10年後に再度訪れたときに、うかつにも、遅まきながら白ビールに目覚めまして。以来、自分で選ぶときには必ず白ビールにしますね。毎日飲んだって構わないです。日本で買ったら高いんですよね……。でも、美味いものは美味いので仕方がないですね。
アジフライに、讃岐うどんに、ビール。
公式回答は「妻が作るものはすべて」(笑)。
ありがとうございました!
では、「自分を動物にたとえるなら何ですか?」
これは、聞かれたことないですねえ……。
私、小学校高学年から中学・高校・大学のサークルまで、ずっとサッカーをやってたんです。
体育会なんですね!?
ずっとサッカー一筋で。いまもサッカーが大好きです。当時の言葉だとウイング、いまでいうサイドのフォワードにあたるポジションが多かったのですが、当時から自覚してたんですけれども、私、へたくそなんですよね。ただ、足だけは速くて、100m11秒台だった。
えええええ。私は50m11秒台です(笑)。
とにかくスピードにまかせて上下動を繰り返す。なので、動物にたとえるとイノシシですね。猪突猛進。へたくそだけど、まっすぐ走る。走り出すと自分では止まれないというのも、性格的にそうかなと思います(笑)。
すごく意外でした。
最後に、もし民法研究者になっていなかったら、何をやりたかったですか?
これねえ。あんまり面白い答えを言えなくて申し訳ないのですけれども、中学時代の卒業文集を見ると「弁護士になりたい」って書いてあったんですよ。
法律系なんですね!
なんでなのかわからないですけどね。弁護士になって世の中の役に立ちたいとか、そういうことではなくて、専門職に憧れていたのかなあという気がします。大学時代は、よくわからないまま漠然と裁判官かなあ、調査官になって勉強したいな、などと思っていました。しかし、結果として、先生から、大学に残ったらどうかと誘われて残ったのですが、まあでも、裁判官を含めて、組織に就職しないで本当によかったなと思っています(苦笑)。私の親も、家族も、どうしてか上司にたてつくので、ぜんぜん出世できてないんですよね。自分もきっとそうだったろうと思いますね。だから、大学に拾ってもらえて本当によかったとしか言いようがない。研究者になっていて本当によかったと思います。北川先生には足を向けて寝られないです。
藤澤先生と鳥山先生のことも探る
編集部:ぜひ、最後の3つの質問について、藤澤先生と鳥山先生のお答えも聞きたいです!
えっ。
じゃあ、鳥山さんから言ってくださいよ。私のほうが一応1つ年上だし。
急に先輩風吹かされた……
編集部:では、後輩の鳥山先生からどうぞ(笑)。
えええ~~。わかりました(笑)。
好きな食べ物は、僕は千葉出身なので、青魚ですね。イワシとかアジは昔から慣れ親しんでいて、好きです。肉やマグロが嫌いなわけではないのですが、毎日食べるものといえば、アジなどは干物とかも含めて好きですね。
あと、僕も一度ミュンヘンに行ったことがって、ビールは美味しかったですね~。ビールより水のほうが高いんですよね。
1リットルのジョッキで飲みますからね。
ただ、先日、近々する予定の手術の事前検査に行ったら、外科の先生にγ-GTP値について指摘されて……(苦笑)。ちょっと節制しなきゃなと思っています。
B級グルメはそうなっていくんですよね……。
そうなんですよね……。仙台に来てから日本酒も美味しくて。安くて美味いやつがたくさんあるんですよ。生酒とか。それにはまってしまってですね……。よくなかったですね。お酒はすこし自重するようにしています。
じゃあ、動物にたとえてください。
ああああああ~~~、考えたことないですねえ(笑)。じゃあこれは、藤澤先生にたとえてもらおうかな。
最後に、民法研究者になっていなかったら何になりたかったかですが、藤澤先生も僕も、大学卒業した頃が就職氷河期ど真ん中だったので、何をしたらいいのか、すごく悩んでいました。大学院に進学して、数年経ったらもしかしたら経済が上向いて、ほかに就職できるかなあと思って、それ以上深く考えずに修士に進んで、目の前にあるドイツ語を翻訳し続けていました。修士の終わりが見えてきても、経済は一向に上向いておらず、やばいな……と思いながらも引くに引けず、博士まで行ってしまいました。民法研究者になっていなかったらといっても、実際、ほかに選びようがなかったかなと。
なぜ法学部を選んだのですか?
私は、いまでこそ民法をやっていますが、刑事系にすごく関心があったんです。刑事系を勉強したいなと思って大学に入ったのですが、それは少し勉強して満足してしまったんですよね。で、よりわけのわからないほうである民法に惹かれました。不況だったこともあって、破産や担保に強く関心をもちました。執行法や手続法も好きだったのですが、それらはより難しかったので、民法を選びました(笑)。
なるほど。では、藤澤さんにも聞いてみましょう。
好きな食べ物は、私はお酒は一切飲めなくて、甘い物好きなのですけど、特にかき氷が好きです。2月の入試業務の昼休みにささっと外に出て整理券をとってきて、入試のあとにがーっとかき氷を食べる。2月にかき氷を食べる変態です(笑)。
次に、動物にたとえるなら、パンダですね。あまり動かないんです。活動的なことはあまりせずに、基本、寝て食べて寝て食べてだから、パンダ。
鳥山先生はネコだと思う。ツンデレじゃないですか(笑)。
ついでに、私はなんですか?
一匹オオカミ系というか、孤高で、ちょっと怖くて、みたいな感じかなって思いました。
なるほど。かっこいいですね。今後はそうします(笑)。
民法研究者になっていなかったら、実は今も目指しているんですけど、推理小説作家になりたいです。密室殺人をどうやったらできるか、いつも考えています。いいトリックが思い浮かんだら、絶対に賞に応募して、民法はやめて、夢の印税生活をしたいなって思ってます。でもやっぱりなかなか思いつかなくて……。素晴らしいトリックは、アガサ・クリスティとかによってすでに書き尽くされているので。年末に出るミステリーランキングもチェックして、上から読んでいって、トリックがかぶらないように研究してるんです。
ドイツのベルンハルト・シュリンクという憲法学者が、『朗読者』というベストセラーを書いているので、印税生活、いけますよ。頑張ってください。
はい、頑張ります!
でも、民法も頑張ってください(笑)。
とりあえず、食べていくために民法も頑張ります(笑)。
編集部:今日は興味深いお話しをたくさんお聞かせいただき、ありがとうございました!
対談中にもあるとおり、ストゥディア民法はこの後も続々と刊行予定です。全7巻を一日も早く揃えられるよう、引き続き全力で頑張ります!
「広大な民法の海を渡りきる、一番確かな海図」の完成を、どうぞご期待ください。