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当時はまだ社長じゃなかったあなたへ

あっという間に2023年も終わりです。
もう、10月30日ということで、2023年も残り約60日(1,440時間)だ。

先日掲載した記事は、もうこれ以上書くことが無いという覚悟で書いたもんだが、意外と言いたいことはまだまだたくさんあるようだ。

記事にはいくつかコメントをいただいた(スタエフで話してくれる人もいて、とてもありがたい❤)が、
人によって捉える側面が違うのもまた面白かった。
もちろん、半端に読んでる人もいれば、間違った理解の人もいるかもしれない。一度読んだ人も、スキだけ押した人も、何度も読んでみてもいいかもしれない。いつでもコメントをお待ちしています。


本記事は、タイトルにあるように社長や会社役員
あと、実例として書いてある部分として、看護師や介護関連の方も理解してもらえる内容かもしれません。



事件は会議室で起こっているんじゃない、現場で起きている!


もう25年も前!?マジかぁ…

さんざん流行に乗って擦られた、踊る大捜査線の名セリフ。
なかば”ギャグ”のようにもなっているセリフだ。
「組織の民主化と評価主義」にも踊る大捜査線の話題は登場するわけだが、
この映画のテーマは日本人にとってかなり普遍的な内容だ。
本当に意味が解っているならば、笑えない日本国民が多いはず。

当時はベンチャー企業も少なく、まさに”大企業の話”だと思われていた。
大企業に所属する多くの人は身に沁みながらも、どうしようもない青島刑事と同じように、怒り、そして笑うしかなかった。そして中間管理職だった人達は、室井さんと同じように天を仰ぐしかなかった。俺は学生だったので、恐らくそうじゃないかなと思う。

秋田弁をしゃべるシーンがとても好きだったな、室井さん

それから25年が経ち、
エンタメとしてこのシーンが脳裏にこびりついた世の中で、

事件は会議室で起こっているんじゃない、現場で起きている!

若かりし頃にこの映画、このセリフを聴いていたにもかかわらず、
警察組織とまったく同じような組織を作ってしまう
経営者がなんと多いことか。


「その問題については経営会議で話し合います。」

なんで、自分たち(経営陣)は自ら特別視し、
現場の声を遠ざけてしまうのか。
会社のこと、運営のことについては、
俺たちがいつもお前たちよりも深く考えている。

「目の前のことだけやってろ!お前らとは視座がちがうんだ。」
とでも言わんばかりに。


結果、出てくるのは意味不明な、現場に則していない解決策で、
ロクに説明しない、
ルールを押し付けて余計に現場が動きにくい環境が出来る


現場で起こった問題に対して、
会議室で決めたことなんてのはそんなもんだ。


でも、意見を聞いたってロクな回答が返ってこない

そりゃそうでしょう。
見ている景色が違うんだから、それは単純に質問が悪いと思う。

そもそも、そこに自分の立場とかが出てくる意味が解らない。
経営として、問題が発生していることは間違いない状態で、
その背景や相手の状況も解っていない中、
「何か問題はないか?どうしたらいい?」と聞いても、
そりゃロクなことは返ってこないだろう。

そもそも、現場の人は経営レベルで考えていない

あと、

「社長に物申すことなんて滅相もございません!」

そういうこともあるだろうね。


あと、恐らくあるあるですが、
フワッとしていて何かよく解らない。
定量的じゃないただの感想

「〇〇な時に困っているんですよ」

それは、一日(一月)に何回あるの?
具体的な数字を、毎日カウントしていないことが多いです。
なんとなくだから、何をどれくらいのKPIに置いたらいいかが定まりません。

「だからダメ、聴いても無駄なんだ」

と思うんだろう。でも、そうじゃなくて!

そこからフカボリしたり、定量できるような質問をしないから
いつまでたっても問題から課題に掘り下げることが出来ないんです。

それは単純に問い方が悪い!



何のために下積み時代があったのか考えて欲しい

大学の先生だろうが、学生から社長になった人だって、
誰にだって下積み時代があるだろう。
親から譲り受けた二代目だろうが、三代目J-soul Brothersだろうが。
そのポジションになる前には必ず下積み時代があるはずだ。


両方の視点があるから、あなたはその立場にいるんだよ。
経営視点でしか見られない視野の狭い人が経営などするな


結局、問題は現場にしかない

意見を吸い上げることが出来ようが、出来まいが
起っている問題は、結局現場にしかない。
会議室で考えたことにはほとんど意味がない。

そもそも、問題は理想と現実のギャップにある。
現実=現場
現場、現物、現実の三現主義だ。



質問による問題のフカボリ:実例

リアルタイムで、所属する会社で起こっていることをメモしておく。
超具体的な部分は伏せるが、看護や介護の現場でも起こりうる話をしています。「問題があるけど、課題にならない」そんな場面を”問い”で切り崩します。

【背景】
現役ではないが、各地の病院でリーダー看護師を務めたり、
特殊な資格を持った看護師で、看護系の学会でも座長を務めるような同僚が何人かいます。

彼らは病院コンサルタントをしていまして、とある病院の看護師長とのインタビュー後の、僕との会話です。

僕はコンサルタントを指導する立場です


インタビュー後の僕の感想(→に寄せているのが僕のチャットの内容)

なんかさ、「フィジカルアセスメント」の話だけど
他の施設でもよく出てくるけど、
どこも定量的にとらえてないからふわっとしてる。
実際、早く見つけられたら助かったとか、実際に起った急変の数、
そういう患者さんの数をカウントしておいてほしいんだけど、
運用的に難しいもんなんすか?
現物なくて、イメージだけしかないから、全然改善できないと思うが。

ずーっと同じ話題が進まないので、切りこんで聞いたのがさらなる背景


すると、Aさんからこういう回答が返ってきました。

フィジカルの定量化って結構難しくて、看護部自身も明確な評価方法って持ってないですね。
急変数くらいなら医療安全から取得できるかと思います。
フィジカルアセスメントがどうすれば出来ていると評価できるか…。
筆記テストしたところで、
机上と臨床現場で使えてるかの評価はまた別モノ。

例えば大工さんだと
「ノコギリを使って木が切れる」→
「家が建てられる」
ザックリすぎる…。
「ノコギリを使って真っ直ぐ木が切れる」→
「地面に垂直に家が建てられる」

看護師
「フィジカルアセスメントができる」→
「患者の状態が見れる」
これもザックリ過ぎる

「フィジカルアセスメントで患者の状態を把握できる」→
「患者の急変予測ができ、急変発生数が減少できる」
「ノコギリで木が切れる」🟰「呼吸数は測れる」
とりあえずここから確認するか…。

僕が聴きたかったことは何一つ返ってこなかったんですよ。
でも、ここで諦めない。問題は現場にしか落ちていないから!


なるほど、でかい単位の話をしすぎなわけですね。
実際出来てないと、どんなところに影響が出るのか?
出来ていると何が起こらないのか?
というと、なにが考えられますか?

質問を極限にシンプルにしていきます。
これも外れるかもしれないと思いつつ、諦めない。


褥瘡(床ずれ)の発生率、インシデントの発生率、院内感染の発生率なんかも指標になりますかね。
その一方でフィジカルアセスメントの技術って前述の通り、totalでの技術であり、大工さんの経験や豊富な知識に基づいた技術なので、上記の指標も沢山の知識をベースに考えられてます。

前半部分で運よく狙った回答を得ることが出来ました。
数字のことは解っているのに、活用できていないようです。
でもやはり、アセスメント技術、看護師の能力の部分に目が行っているようです。


インシデント発生率など挙げてくれた数字はすぐ出そうですが、
実際どうなんですか?

能力の部分は無視して、聴きたいことを聴いていきます。


Bさんからこんな回答が

インシデントは記録して報告するため、院内の医療安全でインシデント率などは把握していると思います。
患者のアセスメントが遅れることで、人工呼吸器装着日数、滞在日数、ベッド稼働率、医療費などにも影響が及ぶと思います。
院内の緊急要請の51.7%が気道、呼吸、循環、意識に関連し、SPO2低下48%、呼吸困難9%と呼吸に関連する何らかの懸念が多いことが示されています。なので、酸素に直結する呼吸状態の観察は大切と捉えられています。しかし、入院後24時間に行われたバイタルサイン測定において、呼吸数が測定されたのは12.6%という報告があり、呼吸数を正確に計測しなくても、血圧や脈拍など他のバイタルサインで患者状況は把握できると言っている文献もあります。つまり、複数のバイタルサインを統合してアセスメントすることがフィジカルアセスメントには必要で、この思考を可視化するのが難しく、Aさんが言う通り、どの病院でもフィジカルアセスメントが課題というが、できたと評価するのに難渋しているのが現状です。

僕が知りたいことと、現場での想いにはこれだけの乖離があるんだなと思うほど、
自分たちの能力やスキルの話をします。


いやぁ、おもしろいですね。
”フィジカルアセスメントの難しさ”はよく理解できました。
多分、ユーザーである看護師も同じ感覚なんだと思います。
でも、実際には”フィジカルアセスメントの可視化”ということを求めているわけじゃないんですよ。
でも、みんなそういう思想になるんだなと。

多分、「そんなことなら見えてる」ってみなさん言いそうなんですが、

重要なのは
急変率、褥瘡(床ずれ)の発生率、インシデントの発生率、院内感染の発生率」です。

この数字を月々で記録・表にして、「この表を見てください、ウチの施設ではフィジカルアセスメントが問題なんですよー」っていう人は誰もいない。

その難しいフィジカルアセスメントのどうのこうのより、
フィジカルアセスメントが良くなると、改善する数字が数値化されていないんですよ、どこの施設でも。

でも、基本的には報告するから、あるんですよね。
つまり、その数字の意味を理解できていないということ。

上記の〇〇率をKPIにして、変動を追わないから、
勉強会などして知識を増やしても
実際のアセスメントが良くなっているのかどうかすらわからない。
結果、ずっとモヤモヤと
「フィジカルアセスメントは難しい」となるわけです。

大事な、”やったことによる効果”を可視化するための数値化が出来ていないということです。

「できたと評価するのに難渋している」とありますが、
これって、看護師が主語で、能力・スキル的な話ですよね。
出来ていようが、できていまいが、知ったこっちゃなくて
患者にとっては床ずれが起こらなきゃいいんですよ。
そこに目を向けないと、改善はしていかない。

解説しすぎな気もしますが、これでも理解できるとは思っていません。
とにかく、コンサルタントとしては現場感覚とその上位の両方の視点を持つべきです。
コンサルは、このメタ認知をトレーニングしているから、
いろんな案件に対応できるようになる。

するとBさんは

はい。ただ、自分たちの意見に背き、論破すると感情論で返され「だからあなたはダメなのよ」とレッテルを貼られ、身動きができなくなります。自分は県関連で他にも精神科、重身の小児病院などがあり、そちらに移動となってしまった人を何人も見てきました。
看護局長、看護部長、看護副部長をいかに味方するかによって、院内の活動が変わってきます。要するに気に入られれば、なんでもOKでした。
そんな素敵な看護局でしたw

完全に余談ですが、
クソみたいな職場ってのはどこにでもあるんだなとおもいます。


これを元に、アセスメントの勉強会と、
KPI設定とモニタリングを行うコンサルティングの開始していきます。

何のペインもフカボリしないうちに、勉強会だけ受注しそうだったので、
それでは何の解決もしないぞ!っということです。



問いかけの作法


このあたりの質問によるフカボリは、
安斎さんのこの本を元に勉強したものです。
実例は特にスキル的なことはなく、質問し続けただけなんですが、
この本には、いろいろな角度から物事を見て、質問するためのスキルが書かれていますので、オススメです。(以前にもおすすめした気がする)

同じく、「問いのデザイン」という書籍もありますが、かなり理論的、学術的で難しいので、こちらの問いかけの作法がおすすめ。


社長以外のNo.2や役員に告ぐ!


選挙で選ばれていないあなたは、
社長(No.1)側に立たないでください

なんでそっち側に立つんですか?立てるんですか?

だいたい、事業部の本部長などを兼任しているわけで、
どうして部下の声を拾って、部下の代表にならないの?

そんなんだから、人気がないんだよあなたは。

代表の癖に、そっち側に立って、指示するんじゃねー。

立場をわきまえた方がいい。
あなたはいつ偉くなったの?


補足:これは、社長だけど会長が居て、それで苦しんでいる”あのお友達”のことじゃないよ😆


会議室で起こっている問題もある!


実は、問題は会議室でも起こっている!
それは、これらの記事を参考にしてほしいです。

ということで、会議に関する話題は引用だけにしておきます。



さいごに

長くなっちゃったんですが、

どんな人も昔は子供だった。
どんな偉い人も子供だった。
先生も社長も、みんな子供だった。

下積み時代は誰にもあり、(超大金持ちの帝王学は除く)
その心を忘れてはいないか?

問題は現場にしかない。
聴いても何も出ないのではなく、聴き方が悪い。
というか、諦めず聴け。

それが組織の民主化という意味でもある。

聴いてもロクな答えが返ってこないのではない。
単純に質問と関係性が悪いだけだから。

まぁ、言うても理想論。
現実はそうはいかないよと、思うでしょう。

だけど、理想がないと、問題が浮き彫りにならないだよ。
理想と現実のギャップが問題
問題が無ければ課題もない。

なんとなく、上手くいってないけど
何をしていいかわからないのは、
そういうことじゃないかな?


最後まで読んでくれたのならば、コメントお待ちしております。

それでは!


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