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アントワープにて自己紹介を一席



冒頭

かつて、私はマルタン・マルジェラのような『正体不明のデザイナー』に憧れていました。姿を現さず、作品だけで語る。そのミステリアスなスタンスに魅了されたのです。
しかし最近、ある言葉を耳にしました。「もしマルジェラが現代のデザイナーだったならば、SNSを駆使していただろう」と。なるほど、時代というのは常に変転するもの。情報が瞬時に広がる現代では、ただ静かに隠れているだけでは人々に見つけてもらえない——いや、そもそも存在さえ気づいてもらえないのです。
思えば、マルジェラ本人というのは、私が想像していたほど無口な人物ではなかったようです。アントワープという街には彼の学生時代や現在を知る人が多く、その語られるエピソードの数々は驚くほど人間味にあふれているとか。静けさやミステリアスさに加え、彼もまた時代の波を乗りこなしながら、「正体不明のデザイナー」という伝説を自ら編み上げたのでしょう。
こう考えると、デザイナーとしての「語り方」というのは、どの時代でもやはり重要なものなのかもしれません。私もまた、作品を通じて己を語りたいと願いつつ、現代的な道具をいかに使いこなすべきか模索している最中です。

アントワープ 王立芸術アカデミー公式インスタグラムより、学校の屋上で撮影したクラス写真

自己紹介・経歴

「そんな私は誰なのか?」と疑問に思われた方もいるでしょう。ご挨拶が遅れました。私、上田祐平と申します。今年6月、アントワープ王立アカデミーのファッション科を卒業したばかりの、いわば新人でございます。
さて、私の経歴を少々お話いたしましょう。
2018年、セントラル・セント・マーチンズのファッション科(Foundation)を修了。
2023年、アントワープ王立芸術アカデミー(BA)を卒業。
2024年、同アカデミー(MA)を主席で卒業。
ニューヨークで2年、ロンドンで1年、アントワープで5年にわたり、アートとファッションを学びました。現在はアントワープ、ミラノ、そしてパリを拠点に活動しております。

経歴やCVはこちら

学校を卒業した今、これまでの経験や日々の発見を語るべく、Noteを始めてみることにしました。しかしながら、ここに至るまで、私はSNSというものをほとんど避けて通ってきたのです。高校時代にTwitterをやめて以来、Instagramにもプライベート写真すら載せたことがありません。
その理由は単純。自己主張が薄い人間だったからです。けれども、ファッションという世界は、ただ作品を創るだけでなく、作者自身というキャラクターも創造するもの。マルジェラでさえ、あの「正体不明のデザイナー」というキャラクターを演じていたのです。このままでは私も、危ういことは明白であります。
もう一つの理由は、日常生活と制作に夢中だったからです。そして、アントワープという街がまた、SNSに没頭するにはあまりにも小さすぎる。学校から徒歩1分の場所に住んでいた私は、クラスメイトの日常などSNSに頼らずとも知っていましたし、ありがたいことに先生方にもフォローされ(いや、監視され)ていたので、自然とSNSに対して硬派な態度を取るようになったのです。
ですが、これからは変わらねばなりません。作品を通じて語るだけでなく、現代的なツールを駆使して、私の経験を発信していくつもりです。その第一歩として、ここに自己紹介をしたためる次第でございます。

ファッション科学長 ブランドン先生と私

noteの活用予定

では、これからNoteを使って何をしていくのか。その具体的な内容は、まあ置いておくとして、アートやファッションに興味を持つ人たち、特に海外美大の受験に興味がある人たちと繋がりたいと思っています。ファッション学科なんてものに惹かれる人なら、なおさらです。
僕はこれまでニューヨークやロンドン、アントワープでファッションを学んできました。世界中の美大の受験準備もしてきたし、その過程を振り返れば、ほとんど独学だったと自負しています。もちろん簡単ではありませんでしたが、結論として、アントワープもセントマも、思っていたほど手強い相手ではなかった。なぜか?受験というものには、構造と基準というものがあって、それを理解してしまえば、『方法』が自然と見えてくるからです。
美術やアートを学ぶことはできます。創造力やセンスだって鍛えられます。そういったものが天から降ってくると信じている人もいますが、それは彼らなりの「語り方」に過ぎないのでしょう。実際には、言葉にしないだけで、彼らもそれなりの『方法』を持っているのです。

次回

次回の記事では、『方法』とは何か、それがどのようにアートやデザインに応用可能なのかについて共有したいと思います。『方法』を求める人々の気持ちはよくわかります。しかし同時に、その言葉が持つ重みや、避けられない矛盾にも目を向ける必要があります。それこそが、アートというものの本質に近づくきっかけになればと考えています。そんな葛藤について、ゆっくりとお話しできればと思っています。
また、オンライン授業についても触れ、具体的な内容を説明していきたいと考えています。ぜひ次回もご覧ください。

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