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インクルボックス4回目「障害者雇用、未達だと社名公表だけど本当は…」

インクルボックスのセールスフォース発達障害裁判4回目が配信されました。

法定雇用率未達が続き、社名公表リスクが高まるなか、現場の理解がないまま障害者の採用が進められることがいかに危険か。雇用率ありきの採用、これは就労支援の専門家から指摘されてきた問題です。セールスフォースでは過去12年間、障害者雇用率未達が続いていました。D&Iがうたわれながら、蓋を開けてみればこんな実態だったのです。
動画ではまた、この裁判継続中でもあった2023年1月にセールスフォースでレイオフがあったことにも言及しました。
こうした会社は、そもそもどういう人を前提にして成り立っているか?「即戦力でいつでも転職していける健常者を前提にして成り立っている」といえます。そういう人は、リスクに対処しつつ、そのような会社を利用してステップアップしていけばいいのでしょう。しかし、Yさんもそうであるように、おそらく大半の障害者は生き残れないのではないでしょうか。特にリストラ(解雇・雇い止め)に遭った場合の再就職という問題にどうしていけばいいのか。健常者の場面でも見られてきたのと同様の高い解雇リスクが、一般並みの平均年収(年収400万円前後)に含まれるのであればどうでしょうか。これは、外資系企業の障害者雇用の難題です。
かたや日系企業の障害者雇用はどうでしょうか。有期雇用であっても勤怠が安定し、刑法に触れるような問題行動をしなければ契約更新。ですが、年収100万~200万円で事務補助・軽作業という求人が目立つ。しかも、多様性が低く、発達障害の人にとって居づらい社風の会社も多い。こうした現状に辟易し、外資を目指した当事者も少なくありません。
外資・日系問わず、社会全体で合理的配慮、なかでも見えない発達障害への合理的配慮は、まだまだ低い浸透ぶりです。
そんななか、Yさんが「声をあげたい」と裁判に訴え、会見を開いたことは、公益性のある告発でした。
今日、働き方改革、ジョブ型雇用への転換、D&I、そして解雇規制が政治的社会的イシューとなるなかで、重要な意義をもつ調査報道になったと思っています。この問題を考えることは、私たちがこれからどんな会社や社会で働いていきたいかを考えることにつながっていく、と考えます。
名乗り出てきた十数名の社員、アドバイスいただいた専門家・行政機関、伴走いただいた複数媒体の編集者の存在がなければ、形になることはありませんでした。

そしてこの調査報道を行った筆者が、発達障害の雇用やキャリアをめぐる問題の当事者である、ということ(自らも外資の障害者雇用で雇い止めにあうという体験をした)。筆者は「たとえ会社を放り出されても自分のキャリアは自分で切り開く」とやってきたのですが、実のところリストラに遭ったら本当に大変です。概要欄にもある筆者のnoteでそれを詳しく伝えています。当事者が安心して働いていける社会を望みます。

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企業における障害者雇用率の未達が続くと社名が公表となることがあります。
長谷川さんによると、この「雇用率ありき」の採用により、さらに根深い問題が発生し、発達障害をめぐるセールスフォースの裁判のような事例につながると指摘します。

00:00 セールスフォース裁判が今後に与える影響は?
02:13 障害者雇用率を達成できないと社名が公表される?
09:25 訴えたYさんの現在に見る発達障害者雇用の現実
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長谷川祐子(長谷ゆう)/ライター・翻訳者・ジャーナリスト/「ノルマル17歳。」神戸自主上映会企画中
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