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「直感」文学 *今年が始まる*
”あけましておめでとう”
この日だけ、連絡をくれる人が何人もいる。
彼ら、彼女らが今、どういった心持ちで、どういった身なりをし、どういった生活を送っているのか。
それらを僕は一切知らない。
そこには決められた挨拶を交わす、僕たちの関係性が成り立ち、そしてそれらが僕たちを支えてもいる。
”あけましておめでとう”
僕はメールを返し、スマホのスリープにする。
ただこれだけの付き合いであっても、僕たちは繋がっているのだろうか。
今はSNSが当たり前のように生活の中に存在しているから、まあ、おおよそのことを世界中に散らばった電波を通して知ることが出来るけど、人間同士の関係って、それでよかったのだろうか?
もちろん否定するつもりはないし、それが時代というものでもある。
それなのに、大きく首を縦に振りながら肯定することができないのは、ただ純粋にそれを”寂しい”って思うからかもしれない。
ただ純粋に”会って話したい”と思うからかもしれない。
そう、ただそれだけなのだと思う。
”もし、時間が合えば、今度ご飯でも行かない?”
僕に連絡をくれたみんなに、僕はそう返した。
どれくらいメッセージは返ってくるだろうか。待ち遠しい。
うん。僕はただ気長に待とうと思う。
だってまだ朝は明けてないのだから。
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