「直感」文学 *嵐と過ごして*
嵐が来た。
雨風が吹き荒れるそこを、私はただ家の中からぼんやりと眺めていた。
窓を叩きつける雨に、時折恐怖を覚えながらも、私はそれを好奇心だと感じていたようだった。
「ねえ、雨いつ止むのかな」
同じ部屋にいたミノリちゃんは私にそう尋ねたけれど、
「うーん、わかんない」
という返答が、ミノリちゃんのその疑問を解決したとは思えなかった。
「どうしよう、止まなかったら」
ミノリちゃんが言葉を発したとしても、私はただ窓から外を眺めたままだった。
「どう、……うーん、そうだね。どうしよう」
風が窓を叩き、雨が吹き荒れる。雲は暗く沈み、たまに雷が光った。
「まあ、それを考えてもしょうがないよね。どっちにしたって、今はただこの漫画が面白いよ」
ミノリちゃんはそう言って、手に持った漫画に視線を戻したようだった。嵐の音の隙間で、ページを捲る音が聞こえる。
嵐よ、止まれ。
心の中で、何の救いにもならない願いをした。
それでも嵐は、ただ吹き荒れるばかりだった。
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