
「直感」文学 *すぐに終わるから*
「ほら、すぐに終わるから目を瞑ってて」
カオリはそう言いながら、僕の手を取った。
「なに?なにするの?」
目を閉じるだけで感じられる、不可思議な不安の中に僕はいて、そしてなぜだかほんの少しの期待感が混ざっている。
「いいから、ちょっと手を開いて」
カオリは僕の手をゆっくりと開く。その温もりを感じながら、僕はぴっと目を真っ直ぐに閉じたままでいたのだ。
どうしてこんなにもカオリの手は温かいのだろう。
そんなことを考えている内に、僕の手に何かを握らせたカオリが「目を開けていいよ」と言った。
僕はゆっくりと目を開け、自分の手をゆっくりと開く。
「そんなんじゃ恥ずかしいでしょ?」
カオリはそう言う。僕は自分の手のひらにあるヘンテコリンなキャラクターのキーホルダーを見ながら、自分の携帯に付けられた、キャラクター不在のひもだけが付いたそれを思い出していた。
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