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「直感」文学 *大きな鏡*

インターホンがなったから、僕はそれに呼ばれてドアを開けた。

「お届け物でーす」

と言って宅配員のお兄さんが持って来たのは平たく、大きな箱だった。

「え?」

と声を漏らした僕に、「サインお願いしまーす」と元気よく答えるお兄さん。

宛名には、「瑞樹」と名前が書かれていて、僕は納得した。

「鏡を買ったの。大きな大きな鏡。今度届くと思うから」

そう言っていた彼女の言葉が思い出され、僕はお兄さんが差し出したそれにサインをした。

家の中にそれを入れると、その大きさはより際立って、その部屋のほとんどを埋め尽くしたように思う。

巻き付けられた紐を取り、丁寧に開梱する。大きすぎて、そしてそれが重たいせいで、ずいぶんな重労働だった。

箱の何かには、大き過ぎると言ってもいいような程に大きな鏡が入っていて、それがこの家に本当に必要なのかどうなのか、僕は疑問を持たざるを得なかった。いずれにせよ、既にその鏡はうちに届けられてしまっていて、開梱されてしまっている。僕の前に姿を現し、僕を真っ直ぐに見ていた。

「まあ、いいか」

溜息に混じった声が漏れ、僕はそれを立て、鏡の前に立った。

そこには僕が映り、僕以外のものも映っていた。

理解はそう簡単に出来そうにはなかった。しかし、その鏡は部屋を明るく照らしているようにも思えた。

これでいいのかもしれない。

そう思うのに少しの時間を要したけど、気付けば僕は納得していたのだった。

僕はいつだってそうだ。ほとんどの物事に納得しようと努める性格。

だから彼女も、突然こんな買い物をしたのだろう。

まあ、これでいいのだろう。

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