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おな
2018年12月14日 19:00
「ああ……なんでだっけな」その理由を思い出すようにか、それともとぼけようとしているのか、彼は自分の頭を掻きむしっている。「そんな事憶えていないよ。ただ、見た時にいいと思ったんだ」「それが理由なの?直感的にいいと思ったって事?」「直感的……まあ、そんな所だと思う。それじゃ答えになってないかな?」「いえ、別にいいの。分かった」窓の外から明るい光りが嫌という程入り込んでいるというのに、部屋の
2018年12月11日 19:00
私は彼の胸に頭を預けたまま聞いた。日曜日の昼下がり、彼がどこかから帰ってきた後の事だ。「あの湯呑みあるじゃない?」「ここに来る時に買ったやつ?」「そう」「それがどうかしたの?」「なんで、あれを買ったの?」「え、なんで?」「うん。なんで?」「なんでって言われても……気に入ったからだよ」「気に入ったの?」「うん。そうだよ」「なんで気に入ったのよ?」彼の言葉が止み、視線は自分の