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こころ癒される世界へ 2 -holonic universe
9月も半ばをすぎ、空気もだいぶ秋めいてきましたね。
yuhaku Ginza Gallery では、9月14日よりアーティスト・矢野竜輝氏をお招きした作品展がスタートしております。
今回は先週に引き続きこの個展「ホロニックユニバース」について。
作品展のテーマ、ひいてはご自身の制作テーマに通ずる、いくつかのモチーフをご紹介いたします。
散在する点
多くの作品に登場し、主題そのものともいえるモチーフ。
異なる個を表す一つ一つの点が規則正しく並んでいたり、点在していたり。
一つだけの時もあれば、二つ三つと集まっていることも。
ひとつずつフリーハンドで描かれた点は、間近で見ると有機的なあたたかさも感じさせます。
それぞれは異質な個やグループが同じ空間に収まり、全体としてバランスが取れている様子は、異質な存在を互いに受け入れ共存していく理想の世界そのものかもしれません。
○△□ (まるさんかくしかく)
こちらには、江戸中期の僧侶にして画家・仙厓義梵の影響があるそうです。
ユーモラスな禅画と逸話で今でも親しまれている仙厓。
その代表作のひとつ、もっとも難解な作品であるとも言われるのが「○△□図」(出光美術館蔵)です。
「○」「△」「□」この3つの図形が神道・仏教・禅を表しているとか、仏の身体・言葉・心を表しているとか、この世の存在すべてを象徴しているとか、とにかく様々に解釈されている作品。
矢野さんはここに、まったく形が違うものが少しずつ重なり空間をつくる、まさにご自身の描きたい世界を見いだされ、以来モチーフとして作品にもしばしば取り入れられているのだそうです。
コラボ作品においては、○と△をあしらい、yuhaku の直線的な輪郭を「□」に見立てることで三つの図形がそろうものも。
グラデーション
こちらは今回の作品展ならでは。
yuhaku のグラデーションを背景に見立て、想像の翼を広げて描かれた作品です。
長方形も活かし、今回の制作にあたり一番最初に筆を入れた作品だそうです。
ゆったりと進むくじらの姿。
泳ぐ空間は海のようですが、空にも、宇宙にも見えてきますね。穏やかに、おおらかに、心が和ぐのを感じます。
ほのかに広がる街燈の光。
その中に佇むシルエットからは、優しく満ちる愛と、深い信頼が伝わってきます。
こちらは先の二つに比べると、もう少し抽象的な作品ですね。
木の幹、それとも土の匂いをのせた風でしょうか。
やわらかに息づく、生命の力を感じさせます。
眺めていてポジティブになれたり、癒される作品を心がけていらっしゃるという矢野氏。
今回手がけていただいたコラボ作品は財布や名刺入れといった毎日持ち歩くアイテムが中心。
ふれるたびに気持ちが上向く、おまもりのような存在になれたら…と、特に心あたたまるモチーフを選んでくださったそうです。
深く広い世界を確立しつつも見る人を決して置き去りにしない、明るいメッセージにあふれた作品たち。
手にした方の背中を、そっと支えてくれることと思います。
矢野竜輝展「ホロニックユニバース」の会期は9月27日(火)まで。
yuhaku とのコラボアイテムは、会期終了後もご覧いただけます。
芸術の秋、ぜひお立ち寄りください。