創業からのサスティナブル
サスティナブル:「持続可能な」って解りにくい日本語訳ですよね。
ようやく耳馴染みし、腑に落ちるようになった言葉ではないかと思う今日このごろです。
突然ですが、一般的な革の染色する作業はどの様に行っているか、ご存知でしょうか?
ザックリ話しますと、通常はドラムと呼ばれる大きな樽に染料を溶かした水を入れ、そこに革を入れた状態で染めムラの出ないようにドラムを回転させ染めていきます。
この工程では、気温と水温と革の厚みを考慮し、クライアントの希望の色に近づけるには、職人の経験と勘が重要となります。
革が濡れている状態で、乾いた時の色を判断するというのは、本当に難しい作業です。
という話は、今回の話のポイントではなく、お話ししたいのはこの作業の際に大量の水を必要とすることで、大量の廃液が出てしまうことです。
これは革の染色に限ったことではなく、繊維の染色にも言えることです。
世界各国で問題視され、工場排水の規制を設けているため、現在の日本や先進国では問題にはなっていませんが、途上国ではいまだにそのまま川に流され、カラフルな川が生まれているという実態もあります。
しかし、yuhakuの染色技法は染料の入ったボトルから布に取り、それを革に染み込ませるという工程なので、全くといっていいほど廃液が出ない作業なのです。
また、使用している染料の成分が市場で出回っている物の中でもかなり安全な染料の一つであることから、現在の新型コロナウイルスの影響により外出自粛という中でも、職人各自が在宅ワークにて染色作業が出来ています。
このような非常事態になる以前に、冗談半分で「自宅で染めればいいじゃん」という発言をしたことがあったのですが、実際にその日が来るとは予想もしていませんでした。
※こちらの画像は実際の在宅ワークでの作業場です。
日本の美意識には古来、自然や朽ちてゆく儚さが持つ美しさ「侘び」「寂び」があり、「枯山水」の様に「何もないからこその美」が存在しましたが、この意識が置き去りにされつつあるのは、「ものが増え発展するこそが豊かさ」という欧米的な思想が戦後根付いてしまったからなのかもしれません。
自分はもちろん戦後しか知らない人間で、自分個人も後者の思想でいましたが、ここ数年でその考えにも変化があり、以前書かせて頂いた「江戸時代の日本人の色の感覚」であったり、今回の原稿を書いているうちになんとなく、yuhakuの活動は日本人が古来から持っていた感覚を再確認するための活動でもあるのかとも思えてきました。
今後の自分たちの活動は大量にものづくりするのではなく、よりパーソナルなものづくりを求められていくのではないかと考えています。
そうして生まれたる作品は、一輪の花の様にみなさんの心を飾る存在でありたいと願います。
その一歩として、「Color at Home」企画を実施します。
これは職人一人ひとりがお客様から頂いた“絵”や“写真”からヒントを得た色で革を染め上げ、お客様だけの商品を作っていきます。
在宅ワークが多くなる中で、yuhakuの色が一輪の花となり、日々の彩りとなれればと願います。
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