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近畿大学附属高校教諭によるオールイングリッシュ授業攻略セミナー備忘録(1)
先日同僚が見つけてきたセミナーを見たら、何と元同僚で近畿大学附属高校の大川先生と古川先生ではありませんか。懐かしくなってついポチッとしてしまいました。内容はケンブリッジの教材を使った授業作りで、ちょうどケンブリッジを使い始めた本校にも参考になりそうな感じ。今日は、セミナーで聞いたことを忘れる前にまとめてみようと思います。聞き違い等もあるかもしれませんので、気づいた方は教えてくださいね。
江藤はかつて近大付属の英語特化コースの一期生と4期生を合計6年受け持っていました。LOTsとHOTsの考え方や「オールイングリッシュからの英語リッチ」の考え方は似ています。ただ、私が総合探究系にシフトして行ったのに対し、今の英語特化コースは厳格にケンブリッジのやり方を踏襲しているように感じました。順を追って、まとめていきます。
第一部:近大付属の取り組み
講師は、神戸市外国語大学修士課程にも通う古川先生と、国際教育室室長の大川先生です。2017年、ケンブリッジの教材を使っている全国の高校行脚をされて、先進的な取り組みから学ばれたそう。ところが、2019年にショッキングな事件が!古川先生、授業が面白くないと生徒に言われ、CELT=Sを取得し、その後校内研修も積極的に行うようになりました。
2020のコロナショックは近大付属にもやってきました。コミュニケーション中心の授業を実践して3年目でケンブリッジの肩書を持つ先生が増えた頃です。
・授業の組み立て方が鍵
・コロナ禍で分かった、生徒の身についたSelf centered learnerの姿勢
この二つを全国に先駆けて始めたオンライン授業で実感されました。
英語特化コースでは、令和2年度の進路状況は実人数で言うと、近畿大学60名、海外大学(Monash, Queensland University of Technology, University of Nottingham Malaysia)、国際教養大学1名、奈良県立大学1名、明治大学1名、関関同立3名と有名大学にも合格されたとのこと。近畿大学は8割が学費免除だそうです。
それよりも驚いたのは、英検一級2名、準一級15名、TOEIC満点が出ていること。コミュニカティブな授業でTOEICのスコアが上がるのは分かりますが、英検1級まで合格しているのであればかなり力がついていると言えるのではないでしょうか。特に重要なのは「試験対策ゼロ」だと言うこと。「○○対策」として似たような問題をたくさんさせる先生が全国に多いのは本当に嘆かわしいことですよね。
第二部:授業が変わる4つの取り組み
1)English Only / RichなCommunicativeな授業
オールイングリッシュというと、とにかく全て先生が英語を話さなくてはと肩に力が入ってしまうものですが、ここではEnglish Richという表現が出てきました。English Richとは、メインは英語だけど日本語で考えたりしてもいいということ。教師が英語を話すというところが最優先でなくて良く、生徒たちが英語を使ってコミュニケーションができるのが大事なのです。
2)Reduce TTT(説明しない、問いかける)
次に、TTTです。Reduce Teacher Talk Timeの略だそうです。質問の仕方、質問の質、アクティビティのバリエーションを工夫することで教師が話す時間を極力減らすとのこと。特に印象に残ったのは「ご自分の授業をぜひ撮影してみてください。気づくことがたくさんあります。」という言葉です。教師は、生徒にはいろいろ言う割に自分を客観視したりメタ化するのは苦手な人が多いように思います。以前京都聖母にいた時、江藤は70人ほどの先生の授業動画を撮って、一緒に振り返りをさせていただいたのですが、先生にとって新鮮な気づきがたくさんありました。Reduce TTTを推進したいですね。
3)否定しない
生徒に、成長できると信じ込ませるような声かけが大事です。特にコミュニカティブな授業の中で、じっと生徒の発言に耳を傾けてフィードバック していくことは生徒の成長を大きく促します。
4)評価の抜本的見直し
近大付属のすごいところは、英語に限らず全教科の評価を抜本的に見直したところです。江藤がいた2017年ごろも個人的には定期考査5割、平常点5割とし、パフォーマンステストやエッセーのルーブリック評価を行っていました。しかし、残念なことにそれが他に波及することはありませんでした。そもそも誰にも話していなかったわけですし。笑
現在では、定期考査までの課題を4技能に体系的に組み直し、生徒にもルーブリックを渡し、目標とするとことを明確にしているとのことです。生徒も何をどうすればいいかが分かって、学習意欲もアップしそうです。
第三部:StagingとICQsとCCQsのワークショップ
第四部:教員のマインドセットについて
ちょっと長くなりすぎてきたので、続きは次のブログでどうぞ!
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