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大坂なおみの途中棄権とココ・ガウフの伏線回収:チャイナ・オープン2024

私がテニスの試合で一番好きな場面は、試合直後に選手同士が交わすコミュニケーションだ。

女子テニスのチャイナ・オープン(北京・WTA1000)は1日、世界ランク73位の大坂なおみと、世界ランク6位のココ・ガウフのシングルス4回戦が行われた。大坂は6-3, 4-6と、セットカウント1-1時点で途中棄権し、試合はガウフの勝利に終わった。両者の戦いは期待通りの白熱したものだったが、何よりも二人の友情がファンの心を打った。



2019年の全米オープン:初対戦

二人の関係が世界の注目を集めたのは、2019年の全米オープン。当時15歳のガウフが大坂と初対戦し、6-3, 6-0で敗れた。試合後、涙を流してコートを去ろうとするガウフに、大坂は「ロッカールームで一人で泣くよりはいいと思う。」と声をかけ、彼女と共にインタビューを受けることを提案。この瞬間は観客の心に深く刻まれた。(ガウフはほとんど強引だったが、「結果的には良かった。」と振り返っている。)

ガウフの両親もコートサイドでその様子を見守っていた。戸惑いながらもインタビューに応じるガウフの表情、そして彼女を見守る両親の穏やかな笑顔が印象的だった。



ガウフの成長

その後、ガウフは目覚ましい成長を遂げ、2023年には全米オープンでグランドスラム初優勝を果たした。一方、大坂は出産と休養を経て復帰し、再びトップレベルの競技に戻るための努力を続けている。それでも、二人の友情は変わらず、ガウフは「私たちの関係は、フェデラーとナダルのようなもの。」と語る(このセリフを堂々と言える彼女の自信がすごい)。対戦成績は昨日の試合前まで2勝2敗で互角だった。


昨日の再戦

チャイナ・オープンでの再戦は、出産後復帰した大坂にとって大きな挑戦となった。世界ランク6位のガウフを相手に奮闘する姿は、多くのファンの期待を集めた。しかし、セットカウント1-1となったところで、大坂は腰を痛め、途中棄権。試合は残念ながら彼女の敗退に終わったが、試合後に見せた二人の絆がファンの心に響いた。

大坂にとっては、これはパトリック・ムラトグルー(セリーナ・ウィリアムズの元コーチ)と共に挑んだ初めてのツアーでもあった。

(試合後の様子は、4:10~)



試合後の友情

試合後、二人は優しくハグを交わした。ガウフは大坂の体調を気遣いながら歩み寄り、彼女のラケットバッグを背負って共にコートを去る姿が見られた。15歳の時、涙を流すガウフに大坂がかけた言葉が、今度はガウフ自身によって返されたかのようだった。この瞬間は、多くのファンにとって特別なものだった(ここでついに5年越しの伏線が回収されたのだ)。

二人は一緒に試合を観たり、NBAを観戦に行くなどの親しい仲である。



二人の関係

大坂なおみとココ・ガウフの関係は、単なるライバルではなく、互いに成長し合い、テニスを通じて深い友情を築いている(とファンは思っている)。ガウフがチャイナ・オープンで見せた友情は、ファンに5年前のあの瞬間を間違いなく思い起こさせた。彼女たちの友情は、まさにフィクションを超えるリアルな物語だ。試合後の二人の姿は、(本人たちの気持ちはさておき)試合の内容を超えて、長年彼女たちを見守ってきたファンを引きつけた。

ラケットバッグを持った二人は、きっと感動的で高尚な会話をしているんだろうな、と想像する(実際には「腹減ったわ〜。」かもしれないけど)。

大坂の途中棄権は残念だったが、彼女たちの友情を目の当たりにできたことは、テニスファンとして大きな喜びだった。友だちっていいな。

ありがとう、なおみとココ。

試合直後、選手たちは必ずネット越しに握手を交わす。この瞬間、選手の性格や二人の関係性がはっきりと表れるので、ぜひ注目してほしい。私はいつも注目している。ちなみに、大坂なおみは、相手を待たせないように素早く駆け寄り、必ずお辞儀をする。



(番外編)

気性の荒いオスタペンコが、天敵のアザレンカ(戦績:0勝5敗)に5度目の敗北を喫したとき、彼女が差し出したのは手ではなくラケットだった。それに対して、ベテランのアザレンカはそんな無礼をさらりと無視する姿が見事。ここにも、またひとつのドラマがある。(その様子は、5:00~)

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