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秋に響く「氷とアイスコーヒー」のひととき:屋上の静寂

 つい数日前までは、九月だというのに季節外れのうだるような暑さが続いていた。そして、三連休の最終日、ようやく空気が少しひんやりと感じられるようになった。友人に誘われて、彼のマンションの屋上でコーヒーを楽しむことになり、雲の間から差し込む光を見上げながら、季節の移ろいを少しだけ意識する。

こんな光の音がする夕方だった。


 玄関を開けると、黒猫がこちらをじっと見ていた。友人の家に入るたび、猫がどこからともなく現れるのがなんだか面白い。今日はマットの下に潜り込んでいる。


黒猫がマットの下に潜んで、こちらを見ている。


 友人と話しながら、エスプレッソメーカーでアメリカンコーヒーを作る。コポコポとお湯が沸く音が、出来上がりの合図。温かい香りが漂い、ほっとする瞬間。


エスプレッソメーカーがコンロの火にかけられている。


 コーヒーが出来上がるころ、私はコンビニのスイーツを半分に切って、お皿に並べた。アイスコーヒーとスイーツ、そして少し乾いた風が秋を連れてくる気がした。屋上に向かうと、買ってきたロックアイスがマグカップにカラカラと音を立てている。不規則な形の氷が、きれいな音を立てていた。


屋上から見えた太陽と空。




 屋上に出ると、空の雲の隙間から日が差し込んでいた。アイスコーヒーを飲みながら、ふと耳にした風の音が心地よい。季節の変わり目には、こうした些細なことがより敏感に響くものだ。

 昨日よりも冷たくなった風と、アイスコーヒー。このふたつの組み合わせが妙にしっくりくるのは、今がその「間」の季節だからかもしれない。そんなことを考えながら、アイスコーヒーの表面に漂う冷たい空気と一緒に、鼻に抜けるコーヒ一の香りを楽しんでいた。


雲の隙間から日が差し込む様子と、マグカップ。


 スイーツも完璧だ。コンビニで手に入るこのレベルの美味しさには毎回驚かされる。今日は、ローソンのデニッシュメロンパンチョコと、どらもっち ショコラ&ホイップ。口の中に広がるスイーツの甘さを味わいながら、少しずつ、季節が移り変わっていくのを感じていた。


(左)デニッシュメロンパンチョコと、
(右)Uchi Café×GODIVA どらもっち ショコラ&ホイップ。


 コーヒーが半分ほど残ったころ、風が少し強くなり、秋の気配がさらに濃く感じられた。飲みかけのコーヒーも、なんだかこの瞬間を待っていたかのように美味しく感じられた。


アイスコーヒーの残り。美味しさの余韻。


 夕日が建物の陰に少しずつ沈み、周囲が静かに色を変えていく。風が心地よく、空がほんのりとオレンジに染まっていて、秋を優しく告げていた。 


ボルドーの上下に、カーキのシャツ。
くすんだ色で少し秋を試して。


 風の音、氷の音、屋上で過ごす静かな時間。秋の始まりは、音と共にやってきた。そして、秋は、こうして静かに始まるのだ。


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